マルチアンプ実験5(番外編27)

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番外編27

NS-1000Mのフルマルチアンプ駆動化に弾みをつけるために実験を行いました。

3Way駆動アンプ

現在、NS-1000Mのセミマルチアンプ駆動環境のパワーアンプは、LowがBTL方式A級DCパワーアンプで、Mid/HighはバランスA級EL34プッシュプルパワーアンプです。これを3wayフルマルチアンプ駆動にするためには、もう1台ステレオパワーアンプが必要になります。まずは現状の手持ちアンプを使ってシステム構築するつもりです。まだチャンネルデバイダの製作が残っていますが、今回は簡単な実験をしてアンプの選定をしてみます。Low用のアンプは現在使用中のBTL方式A級DCパワーアンプで決まりです。従って、MidとHigh用のアンプを決めたいとおもいます。以降が現状の私の手持ちアンプです。

ステレオDCパワーアンプ

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このアンプは私が所有するパワーアンプ中で唯一、バランス対応していません。私が学生時代に設計製作し、数年前にメンテナンスを行ったものです。メンテナンスの様子は、「DCパワーアンプメンテナンス 2016-08-20」で紹介しています。終段はAB級動作で、負荷8Ω前提の場合、1WまでA級動作をする設計です。特徴は、終段のトランジスタに、今ではなかなかお目にかからない、キャンタイプのNEC製のコンプリメンタリEBT(エミッタバラストトランジスタ)を採用している点です。

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電圧増幅段の電源には、チョークインプット方式を採用しています。

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音は、比較的重心が低くおっとりした感じです。

BTL方式モノラルパワーアンプ EPM-30inv(エルサウンド

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ワイエー電子製のパワーアンプです。2015年末にオーディオの趣味を再開した際に、パワーアンプを自作するまでの間のつなぎの為に購入したものです。価格は1台88,000円です。今ではほとんど使用していませんが、自作のDCパワーアンプを壊してしまった際のピンチヒッターとして使用しました。仕様は以下のとおりです。

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音は比較的硬めで、低音はBTL方式なりの駆動力をもっていますが、色づけされた印象です。中高域の特徴が低音の色とし聴こえている感じがします。

バランスEL34パラレルシングルアンプ

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このアンプはシングルアンプに魅了される方が多く、その秘密をさぐるために設計・製作しました。先に製作したプッシュプルアンプと音の比較をする前提で、使用する部品を極力揃えるため、終段をパラレルシングル方式としました。本記事のアイキャッチ写真はこのシングルアンプと比較元のプッシュプルアンプを並べたものです。見た目はほとんど変わりません。以下が回路図です。

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回路図のとおり、オーバーオールの負帰還はかけていません。無理してパラレル駆動にした事と、バイパスコンデンサを欲張らなかったため、パワーアンプとしては帯域が広くありません。

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言い過ぎかもしれませんが、FM放送の特性とでもいいましょうか?それでも再生される音は、音楽性が高く悪くはありません。ホール感、奥行き感の再現はいい感じです。

バランスA級EL34プッシュプルアンプ

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私初の自作真空管アンプです。何も知らない中、情報をかき集めて設計・製作しました。終段の電流原にはトランジスタをつかったハイブリッド方式です。

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先日の記事でも紹介したとおり、運用の途中でオーバーオールの負帰還を外して使用しています。

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帰還を外した方が高域特性は悪くなりますが、音はのびのび鳴る印象の為、帰還無しを選択しました。話は遡りますが、初めて真空管アンプの音を聴いたときは、「なんて響きが美しいんだろう」と感じました。それもあり、現状のセミマルチアンプ駆動システムのMIDとHIGH用に使っています。

選定

上記の紹介から半ば結論がでていますが、LOWは記事の冒頭で書いたとおり、BTL方式A級DCパワーアンプで決まりです。MIDとHIGHは響きの美しい真空管アンプを使用しますが、帯域の狭いシングルアンプをMIDとするとHIGHがプッシュプルアンプと言うことになります。事前の検証として現状のセミマルチアンプ駆動環境のMID/HIG用のアンプをプッシュプルアンプからシングルアンプに切り替えて音を聴いてみました。

MID/HIGHシングルアンプ駆動

MID/GIGHのアンプをすぐに切り替えられるように、真空管アンプを2段積みして試聴を行いました。

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シュガーはお年頃/井筒香奈江(LINDEBAUM)

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ベースの音が厚く、ふっくらした感じに聴こえます。女性ボーカルが自然な感じで聴きやすいです。奥行き感をより感じます。

木星/(惑星)

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ホール感の再現性が良いです。音楽性豊かに鳴る印象です。

■FARANDOLE/Bob JamesBob James TWO)

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中域が厚くなり奥行き感が増して聴こえます。反面、高域のキラキラ感は後退します。低音も厚く聴こえます。

上記の結果から、このシングルアンプをMID用として試してみる事にします。その際のHIGH用は、プッシュプルアンプとなります。何れにしろ、早く3way用のチャンネルデバイダつくらなくては。

 

おわり(番外編27)

チャンネルデバイダーのVR制御(まとめ編2)

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まとめ編2

前回に引き続きATTユニット製作のまとめを行います。

マイコン基板

今回の製作で単純にリレーを使って分圧させるだけではおもしろくないので、私のオーディオ製作では初となるマイコンを使って、リレー制御することにしました。マイコン基板の選択肢はいくつかありますが、以前にジグ用途で一度さわった事のあるArduino UNOを選択しました。価格は3,240円(2018/12 amazon価格)で入手性も良く、開発用の統合環境が無償でダウンロードできます。Arduino UNOの仕様を再掲載します。

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統合環境(IDE)はエディタとコンパイラ、デバッカで構成されます。趣味の開発環境としては十分です。

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ソフトはArduino言語ですが、ほぼC++と同仕様です。私はC言語で実用ソフトを組んだ経験がなく、心配な部分もありましたがネット上にいろんな情報があり、なんとか完成させることができました。キーのチャタリング処理、割り込みを使った表示の点滅処理、I2Cのコマンド発行等、トレーニング用とも言えるソフト仕様で、デバッグを楽しむ事ができました。何れかの機会に、また使ってみたいと思います。

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リレーのマイコン制御は、リレー動作のばらつきによる切り替え時の不定状態を回避するために、切り替え前100msでミュート処理をして分圧設定を切り替えて、100ms後にミュートを解除させています。実用上、この処理は違和感はありませんでした。

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表示基板

Arduinoの周辺ユニットとして販売されている中から4桁の7セグLED表示ユニットを選択しました。コマンドはI2Cによるシリアル入力です。正面パネルへの取り付けを考慮して基板を2段構成として実装を行いました。

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7セグの点灯部のみ見せる為にスモークタイプのアクリル板をカバーとして採用しました。アクリルの加工も初めてでしたが、ほぼ満足できる見栄えに仕上がりました。詳細はケース加工の章で振り返ります。デバッグは、シールド基板に7セグモジュールを実装して行いました。ネット上にサンプルコードがあったため苦労せずに実装ができました。デバッグ時に割り込み処理内で暴走するバグが発生しましたが、これもネット上の情報に助けられてつぶす事ができました。

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ケース加工

ケースはタカチ電機のUS-320LHを選定しました。以前にバランスHPアンプ製作時に使用したものです。今回の製作では実装する基板数が多いため、大きめのケース選定をしましたが、これでもギリギリのサイズです。リアパネルには、XLRパネルコネクタが全部で12個つきます。手加工しきれないと考えて、タカチの加工サービスを利用しました。CADの図面データを準備すれば、1台の加工でも対応してもらえます。

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見積もりを確認後、12日で現品が到着しました。ケース代込みで26,767円でした。

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さっそくXLRパネルコネクタを取り付けようとしたところ、取り付け用のネジの位置が少しずれていて、合計24の穴の後加工を行ったのは苦い経験です。

フロントパネル加工

今回の一番のポイントは、センターに表示用の角穴を開けて、全面をスモークのアクリル板で覆う構造の実現です。近くのホームセンターで使えそうなアクリル板を調達しました。アクリルサンデーEXブルースモークタイプです。厚みが2mmで全光線透過率は19%のものです。

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アクリル板の加工用に購入したものは、プラバン用のカッターと、アクリル板用のツールとして販売されている穴開け用のビットです。

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専用ビットは刃が半月状になっていて、大量に発生するアクリルの切り子が逃げやすい構造になっています。加工はパネルサイズにカットする事と、穴開けのみなのでそんなに大変ではありませんでした。

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組立

今回は、実装基板および部品のサイズと比べてケースサイズに余裕がなかったので、思いの外実装に苦労しました。特に3枚目のATT基板3の実装では、投げ出してしまいたい衝動にかられました。実装上の工夫としては、基板間隔が稼げないために、隣り合う基板の実装高さを変えて、端子台への配線をやりやすくしました。それでもフロントおよびリアパネルの実装部品との干渉を確認しつつなので、自由に高さを設定できずに苦労しました。

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それでもなんとか全基板を納める事ができましたが、万が一故障したときの修理を考えると正直うんざりしてしまいます。

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構想開始が2018年の6月で、完成が2018年の12月なので、今年の後半はほぼこのATTユニットをつくっていた事になります。最終ゴールは、NS-1000Mのフルマルチアンプ駆動なので、まだ一通過点ですが、ゴールを目指して引き続き製作を続けていきます。長い間おつきあいいただきありがとうございました。

 

おわり(まとめ編2)

チャンネルデバイダーのVR制御(まとめ編1)

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まとめ編1

12chATTユニットが完成したので設計・製作をまとめます。

ATTユニット

NS-1000Mをマルチアンプ駆動してみたいとずっと昔から考えていました。一方、バランス駆動にこだわるため、ステレオ3wayのマルチアンプ駆動を行うためには、12ch分のアンプが必要となり、そのボリューム制御に12連ボリュームが必要です。現状のシステムのセミマルチアンプ駆動環境では、4連ボリュームを2個使ってしのいできましたが、それを3個にすると著しく使い勝手が悪くなるので躊躇していました。そんな中、ユニバーサル基板に実装可能な小型信号用リレーが目にとまったため、それを使って12chのATTユニットの製作を決めました。

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ATT基板

現状のシステムを使っていくつかのシチュエーション時の音量を設定して、その際にチャンネルデバイダ出力ボリュームの減衰量を測定しました。その結果最低限8ステップあれば実用に耐えるATTユニットが構成できると判断して、それぞれの音量時の減衰量を回路に落とし込みました。ミュート状態を含めた9ステップを6個のリレーで構成します。選定したリレーが"2c"タイプなので、バランス回路を6個のリレーで実現できました。

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選定したリレーは小電力仕様で、操作コイル定格は12V/13mAです。接点は信号用として一番信頼性の高いと言われる金クラッドタイプではありませんが、選択肢がないのであきらめました。

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実装は、私の標準基板を使用して4ch分(1way分)を実装します。リレー12個を乗せると、制御回路用のICの実装スペースしか残らず、分圧抵抗は部品面に実装する事にしました。実装には手間がかかりましたが、実装後は安定しています。

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今回は3way用なので、この基板を3枚製作しました。

バッファ基板

Dレンジの観点から今までの製作ではバッファアンプを常にフルボリュームで動作させて、出力ボリュームでレベル制御させてきました。ATTユニットの構想時点で検討しましたが実用時の使い勝手を考えると、今回はATT基板の後段にバッファアンプ基板を配置せざるを得ませんでした。

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トータル12チャンネル分を1枚の基板に実装するため、オペアンプは2in1のMUSES01を選定しました。チャンネルでバイダーの改造で結果が良かったMUSES03に後ろ髪を引かれましたが、1枚の基板に12個のDip8pinの実装はできそうになかった事と、オペアンプの購入価格が21,000円から30,000円に上がってしまうので断念しました。回路図は以下のとおりですが、実装確認時に発振対策を行ったため各オペアンプ出力にダンピング抵抗100Ωを追加しています。

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左右独立電源としたため、電源用の2個を含めて3極の端子台を14個搭載しています。

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入出力信号用の端子台を段違いにしているのは、配線間違いを防止するためです。使用した端子台には色違い品があったため交互に並べても良かったかもしれません。

電源基板

ATTユニットで必要な電源は、バッファアンプ用の+12/-12V電源とデジタル回路用の+12Vと+5Vです。折角の自作なので、できる範囲で贅沢な設計と考えてアナログとデジタル電源をトランスから独立とし、バッファアンプ用の電源は、さらに左右独立としました。デジタル用の+12V電源は、リレー操作コイルの消費電流が大きい為専用として、デジタル用+5V/+12Vとリレー用+12Vの計3系統の出力としました。トランスはいつも使用しているトロイダルトランスをアナログ電源用とデジタル電源用に2個搭載しました。回路図は以下のとおりです。

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2系統ある+12V電源の三端子レギュレータは、データシート上は放熱が不要と読みとれましたが、信頼性を考えて小型のヒートシンクに実装しました。先の「安定化電源の性能改善(2018-4-13)」記事の検討結果から、三端子レギュレータの出力には、一切の電解コンデンサを実装していません。この対応が吉と出たかはなんとも言えませが。次回もまとめの続きを行います。

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つづく(まとめ編2)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編39)

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製作編39

最後のATT基板3の単体動作確認が終わったので、ATTユニットに組み込みます。

ATT基板3組み込み

現状のATTユニットの内部は以下の写真のとおりです。

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写真の下段中央右よりのスペースがATT基板3を組み込む位置です。すでに配線がかなり込み入ってきているので、はたしてちゃんと実装できるか不安が過ぎります。基板を正規の位置に装着するためにフロントパネルを外しました。じゃまな配線を基板面より上に持ち上げて、なんとか正規の位置に基板を配置できました。そこで大きな問題が発覚しました。バッファ基板の電源用端子台とATT基板3のアナログ信号出力用端子台が対向して配置されますが、その間のクリアランスがほぼ2芯シールド線の外形寸法レベルしかありません。

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どちらの基板もフロントパネルとリアパネル実装部品との干渉を回避するために高さを変える事ができずに、段違い実装を採用する事ができませんでした。仕方がないので、この部分の2芯シールド線の端末は特別な加工をしてクリアランス問題を回避する事にしました。写真は、シールド用のドレインワイヤに他の電線から外した被覆を被せて延長し、端子台への接続時に電線の外形のシース部が端子台の上にくるように工夫しました。

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XLRパネルコネクタ配線

ATT基板2実装の際には、リアパネルを外してXLRパネルコネクタへの配線を行いました。今回は配線が増えた為、リアパネルを外して作業しやすい状態に向きを変えるためには、多くの電線の接続を外す必要があるため断念しました。仕方がないので接続するXLRパネルコネクタをリアパネルから外して電線を接続後に戻す手順で作業を進める事にしました。

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対象のXLRパネルコネクタは全部で4個です。極性を間違えないようにハンダ付けして、線長は少し長めにカットして反対側の端末処理はXLRパネルコネクタを元に戻してから行います。

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残りの配線は、5Vと12Vの電源と、制御線及びGNDの計8本です。電源線3本はATT基板2の端子台から供給します。制御線5本は、ATT基板2の制御線デイジーチェーン用端子台と接続します。ATT基板3にもデイジーチェーン接続用の5極の端子台を取り付けましたが、不要でした。将来なんらかの事情で他のATT基板と入れ替える事を考えると必要なので良しとします。これで全ての配線が終わりましたが、配線がかなり込み合っています。

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正直なところ、ATT基板3の実装は思いの外大変で途中で投げ出したくなりました。それでもギリギリ他の部品と干渉する部分がなかったので、なんとか実装を完了させる事ができました。万が一の故障時の修理を考えると頭が痛いです。一旦、この状態で音聴きによる最終動作確認を行います。

最終動作確認

先日再構築したNS-1000Mのセミマルチアンプ駆動環境に戻します。ATTユニットの接続は、ch1~ch4と今回実装したch9~ch12を使用します。

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いつものとおり、ATTユニットから電源オンしていきます。デモ表示がスタートして正常に起動しました。ボタンを押して減衰量を切り替えてみますが、3枚の基板に実装されたリレーが同時に動作するため、最初よりも力強い動作音に聞こえます。他の機器の電源をオンしてCDの再生をスタートさせます。問題なく動作しました。

仕上げ

一旦ユニットをシステムから取り外し、トップカバーを開けて配線の結束を行います。結束にはヘマタンタイトのインシュロックを使用しましたが、こんな物も近所のスーパービバホームで手に入りますので便利になったものです。

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若干すっきりしましたが、そもそも配線が多いのでこんなものでしょうか?最後にケース付属のゴム足を貼りつけて完成です。構想開始が6月で、完成までに約7ヶ月がかかりました。いろいろありましたので、次回はおさらいをかねて今回の製作のまとめを行います。

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つづく(まとめ編1)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編38)

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製作編38

ATT基板3の実装を完了させます。

ATT基板実装続き

本題記事が尽きたので、今回はいきなり実装の続きを紹介します。前回、制御用回路のICソケットまわりの配線が完了しました。ICへの接続を確認するために、通電確認を行います。電源端子台から12Vと5Vを供給してICソケットの各端子電圧を確認します。下図は各端子の電圧のまとめた物です(再掲載)。

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電源はいつものとおり、ユニバーサル電源から供給しますが、念のためユニバーサル電源の過電流防止回路の電流値を12Vと5Vともに100mAに設定しました。

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HCT139A用ソケットから順番に確認していきます。全ソケットの端子電圧確認が正常終了するかと思った最後のTD62308BP用ソケット電圧確認で、8pinの電圧が異常となっていました。5Vを示すはずがオープンになっています。ハンダ面を目視確認しましたが、正しく配線はされているようです。電源側からテスタで当たったところ、途中の接続がイモハンダとなっていました。見た目には問題あるようには見えませんでした。

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写真中央の配線がL字部分のハンダ付けです。再度コテを当て直して改修しました。

被覆電線配線

その前に、TD62308BPの各2ch分の入力を接続して、IC2個で8chの入力を4ch分にします。接続は抵抗のリードをコの字にフォーミングして行いました。

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被覆電線の初めの配線は、トランジスタアレイ出力とリレー操作コイル間の接続です。黄色の被覆電線を使用しました。

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配線の経過はすっ飛ばして省略していますが、詳細を知りたい方はATT基板2の実装記事を参照してください。残りは、トランジスタアレイの入力配線と、制御信号デイジーチェーン出力用端子台配線です。トランジスタアレイ入力配線は白の、デイジーチェーン配線は緑の被覆線を使用しました。

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これで最後のATT基板3の配線は完了です。

ATT基板3単体動作確認

単体動作確認の前に、念のため配線確認を行います。方法は、ICを実装せずに12Vと5V電源を供給してICソケットの各端子電圧を確認します。

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ここでも確認が問題なく完了すると思った4つめのTD62308BPの入力端子の確認で、他の入力端子と違う電圧を観測しました。IC未実装時は、本来はオープンの為、不定の電圧を示しますが、時々5V近い電圧表示になります。テスタのリードの接触圧を変えると表示も変化します。ハンダ面を見たところ、被覆電線の配線に怪しい部分がありました。

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写真中央やや右寄りの位置にハンダ付けされている白の電線が異常を示したICソケットの端子に接続されています。確認の為に接続を外して見たところ、下の写真の状態が確認できました。

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同じ失敗を繰り返していますが、より耐熱性の高い被覆電線が捜せません。それまではこのような接続確認は省略できませんね。ようやっとICの実装をします。過去にソケット実装時に足をおもいっきり曲げてしまった苦い経験があるので、慎重に挿入します。単体動作確認は、制御入力端子に所定の電圧(5V)を入力してATT回路の応答を確認します。確認はアナログ入出力端子台間の抵抗値とアナログ出力とGND間の抵抗値です。制御入力は、ユニバーサル電源から直接5Vを供給しました。確認の結果、特に問題はありませんでした。確認結果を念のため整理します。

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これでATT基板3の動作確認は完了です。次回は最後のATT基板をATTユニットに組み込みます。

 

つづく(製作編39)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編37)

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製作編37

NS-1000Mを使ったセミマルチアンプ駆動環境の再構築がようやっと完了したので音を聴いてみます。平行してATT基板3の実装も続けます。

NS-1000Mセミマルチアンプ駆動

久しぶりにNS-1000Mの音が聴けます。しばらくの間、ロクハンフルレンジを使っていましたが、正直なところ物足りず、オーディオショウで高価なシステムの音を聴く機会があったので、早く自分のレギュラーシステムの音を聴いてみたいと思っていました。ATTユニットの電源をオンし、次にチャンネルデバイダのボリュームを絞ってから電源オンします。最後にDCパワーアンプ真空管パワーアンプの電源を入れます。チャンネルデバイダのウーハー用ボリュームをMAX、スルーチャンネル用ボリュームはMAXからやや絞った位置にします。CDの再生をスタートさせてATTユニットの減衰量を下げてゆきます。

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ATTユニットを含めて正常に動作しています。チャンネルデバイダスルーチャンネルのボリュームをMAXにしても対策によって歪みは発生しませんでした。久しぶりにNS-1000Mの音を聴きましたが私には、この音がしっくりきます。インターナショナルオーディオショウでいつかのシステムの音を聴きましたが、その多くのシステムのスピーカーは、バスレフポートをもっていました。音のバランス、低音の明瞭度ともに良好でしたが、低音が作り込まれた印象が拭えませんでした。必ずしも嫌いなわけではありませんが、密閉型のNS-1000Mのウーハーを強力に駆動したときの低音が私には合っているようです。ATTユニットの追加によりシステム内にアンプが1段増えましたが、心配していた程の影響はなさそうです。あえて印象を上げるとすると、Dレンジがやや押さえられた感じがします。

NS-1000Mセミマルチアンプ駆動試聴

■卒業写真/井筒香奈江(LINDENBAUM)

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ウッドベースとボーカルのシンプルな楽曲です。マルチアンプでダイレクトに駆動された1000Mのウーハーがウッドベースを躍動的に再現します。銅鳴りも誇張なく自然にかつダイナミックに。ややハスキーなボーカルも定位良く再現します。

■断頭台への行進/小林研一郎幻想交響曲

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ホールの奥行き感、響きが良く表現できています。ハリのあるティンパニィの音、ドスンと体に響くドラムの音、聴き入ってしまいあっというまの演奏でした。

■Take Me The Mardi Gras/Bob James(BJⅡ)

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低音が自然な感じで鳴ります。1000Mのfoは40Hzですが、もっと低いところまで再生されている印象です。管楽器再生もさえ渡っています。今後フルマルチアンプ駆動環境にしたときに、この音がどのように変わるか今から楽しみです。

ATT基板実装続き

今回は、制御回路用のICソケットの実装から再開です。16pin DIPソケット4個を仮止めします。続いて、電源および制御信号入出力用の端子台を取り付けます。前の基板の実装に従って、最初にGNDラインを敷線します。そのGNDラインと制御信号入力端子台間にプルダウン用抵抗330kΩを取り付けます。次に5Vラインを敷線しす。最後に12Vラインを敷線します。12Vラインは、リレーの操作コイル用端子片側に接続した電源供給ライン2本へジャンパを使って接続するのみです。

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電源系の回路でパスコン接続が漏れていました。前の基板の実装に従って取り付けようとしたところ、以前の基板は12V電源用のパスコンのもう一方の端子がGNDではなく+5V電源に接続されている事に気づきました。ATT基板3は、このパスコンの実装を正しく変更しています。

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今回はここまで。次回はATT基板3を完成させます。

 

つづく(製作編38)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編36)

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製作編36

NS-1000Mを使ったセミマルチアンプ駆動環境の再構築を完了させて音だしを行います。

セミマルチアンプ環境再構築

前回、セミマルチアンプ駆動環境を再構築を開始しましたが、接続用のXLRケーブルが足りなくなり、アマゾンプライムで発注した所で終わっていました。アマゾンプライムの規定どおり、翌日の夕方に注文したXLRケーブルが届きました。さっそく配線を完了させて音だしを行います。

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発振対策

接続を完了させて、システムの電源を入れます。入れる順番は、ATTユニットが最初で、次にチャンネルデバイダですがボリュームを絞ってから電源を入れます。残りのDCパワーアンプ真空管アンプの電源を入れれば再生スタンバイです。チャンネルデバイダのボリュームをMAXに上げてからCDの再生をスタートさせます。再生がスタートした時点でATTユニットの減衰量を下げていきます。音がでましたが、歪んでいます。この歪みは、チャンネルデバイダのスルーチャンネルのボリュームをMAX位置から少し下げると改善する事がわかりました。再生を止めて、チャンネルデバイダの出力を確認してみました。

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スルーチャンネルのボリュームをMAXにしたところ、発振を確認しました。

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周波数は約1.6MHzで、レベルは4.2Vppです。ボリュームを絞ると発振が止まります。この現象は、ATTユニットのバッファアンプの発振と同じであると気づきました。

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上図はチャンネルデバイダの回路図ですが、スルーチャンネルのボリュームに2kΩを使っています。ボリュームをMAX位置から絞ってゆき、ボリュームの入力と出力間を50Ω以上とすると発振が止まる事がわかりました。この間の抵抗がダンピング抵抗として働き、発振が止まるようです。スルーチャンネルのボリュームをMAXで使う事はないため、運用上は問題なさそうですが、気持ちがわるいのでダンピング抵抗を追加して対策する事にしました。基板を取り外して、スルーチャンネル用の端子台(写真右下)の脇に、ダンピング抵抗として100Ωを追加しました。

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この改造で、スルーチャンネルボリュームMAX時のレベルが約0.4dB下がりますが、実用上の問題はありません。もう一方のチャンネルも同様に改造して、基板を元通りに戻しました。

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念のため、ウーハー用のチャンネルの確認を行いましたがこちらは問題ありませんでした。使用しているオペアンプが異なる事と、500Hz以上を減衰させている事に起因すると考えられます。本題から大きく脱線してしまいましたが、これで音だしが再開できます。

ATT基板3実装続き

前回、ミュートを含めた分圧抵抗の実装まで完了しました。今回は倍率抵抗切り替え回路の実装からスタートします。

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回路は、アナログ信号の入力端子台からアナログ信号ライン間に3kΩと27kΩ抵抗が直列に接続され、リレーで27kΩがショートされる構成です。これら抵抗も半田面に取り付けます。先の基板に従って実装を行いました。

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写真のとおりトリッキーな取り付けですが、2枚のATT基板の実績から意外と安定しています。ここまで実装が完了した段階で、減衰回路ブロックの動作確認を行います。ユニバーサル電源から12Vをリレーの操作コイルにダイレクトに供給して、それぞれの動作状態で所定の減衰量になっている事を確認します。具体的には、アナログ信号の入出力間と出力-GND間の抵抗値を測定します。

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全てのリレーを動作させるため、操作コイル用端子にワニグチでつまむ為にリードをハンダ付けしました。

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分圧抵抗回路の確認は、ミュートを解除する必要があるので、ミュート用リレーと対象の抵抗切り替え用のリレー2個を動作させます。地道に、全12個のリレーを動作させて確認を行いましたが特に問題はありませんでした。今回はここまで。次回は、今度こそセミマルチアンプ環境の音だし確認と、ATT基板の実装の続きを行います。

 

つづく(製作編37)