2017東京インターナショナルオーディオショウ(番外編10)

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番外編10

HPアンプ製作は佳境ですが、昨年に引き続き東京インターナショナルオーディオショウを見学してきましたので、2回に渡ってレポートします。

2017東京インターナショナルオーディオショウ

今回は35回目で、9/29(金)~10/1(日)の3日間、有楽町の東京国際フォーラムで開催されました。私の自宅は小田急沿線ですが、新百合ヶ丘多摩急行に1回乗り換えで日比谷まで行き、そこから5分程で会場につきました。アクセスが良いです。今回は高校時代の同窓の仲間と事前に連絡をとって現地合流していっしょに見学してまわりました。

トライオード

昨年は、山崎社長の講演が大変良かったので、今回も訪れてみました。せっかくなので朝倉怜士先生の講演時間に合わせて入場しました。今回の講演の対象製品はミュージックサーバーcocktail audio X50とX35です。

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フロントには、スロットインのCDプレーヤと、7インチのTFTディスプレイがあり、内蔵するストレージに保存されたオーディオファイルをリモコンとこの表示パネルを使って検索して再生します。背面にHDMI端子を持ち、市販のテレビに接続すれば表示パネルの内容を大画面に写すことができます。

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X50とX35の違いは、X35はオールインワンタイプで100W+100Wのデジタルアンプが内蔵されているため、スピーカーを接続するだけで利用可能です。一方、X50はDACすら内蔵しないため、別途USB-DAC等のD/Aコンバーターが必要となります。無駄なくユーザーのこだわりのDACを使うことができる仕様となっています。価格はX50が380,000円で、X35が280,000円といいお値段です。朝倉怜士先生の講演の紹介の前に、今回デモで使用された機器を確認しておきます。スピーカーはスペンドールのSP200で、パワーアンプはTRX-M845です。昨年の講演で使用されたものと同じです。詳細は2016年10月7日の記事を参照ください。

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デモはX50で行われたため、D/A変換としてDAC212SEが使用されていました。オランダのDiDit High-End社製で、定価は450,000円です。DAC出力でバランス信号を生成するバランス出力タイプのDACで仕様面で好印象です。

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それでは、朝倉怜士先生の講演を紹介します。

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スピーカーやパワーアンプのデモと比べてミュージックサーバーのオーディオ的なデモは難しい面があると思いますが、それをカバーするように冒頭からゲスト紹介がありました。ケンバニストの塚谷水無子さんです。

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9/13(2017年)にキングレコードからリリースされたばかりの新譜BACH ORGAN WORKS2から「トッカータとフーガ」がデモに使用されました。

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このアルバムは、オランダの聖ローレンス協会のパイプオルガンが使用されたとの事ですが、1725年に製作されたもので、ヨーロッパ屈指のオルガンだそうです。小柄な塚谷さんが、大型のパイプオルガン挑むときの苦労話など楽しく聞かせていただきました。音は荘厳な感じで、使われたシステムと良くマッチしていました。その後は通常どおり朝倉先生持参の音楽ソースの演奏となりましたが、その中でStereo Soundが今年(2017年)の8月にリリースした太田裕美「心が風をひいた日」から木綿のハンカチーフが演奏されました。リマスタの際にダイレクトにDSD化されたとの事で、70年代の音源とは思えない鳴りっぷりでした。

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全般的に、パワーアンプTRX-M845とスピーカーSP200の音を聴いた印象ですが、オーディオサーバーX50を印象付ける講演の工夫が感じられました。

リンジャパン

老舗のメーカーなので知っていましたが、ブースを訪れるのは初めてです。写真のとおりすごくシンプルな試聴室です。

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今回聴いたものはEXAKTシステムです。構成としては、ヘッドユニットとEXAKTエンジン搭載のスピーカーです。スピーカーまで音楽信号をデジタル伝送し、スピーカーの中のEXAKTエンジンでデジタル処理で帯域分割して、スピーカー毎にD/A変換するマルチアンプのシステムです。

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デモされていたのは、フラグシップのKILIMAX EXAKTで、ヘッドユニットが機能により1,600,00~2,800,000円です。

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EXAKTエンジン搭載スピーカーは350/1でペアで7,500,000円もします。スピーカー内には6チャンネル分のアンプを内蔵しています。非常に高額なシステムですが、音は色付けがなく、こんな高いシステムに対しておこがましいですが、私のシステムの狙う音の方向と同じ様な印象で好感がもてました。

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フォステクス

オーディオ製作を行っている人にはこのブースは外せません。このコマのデモ対象は、先月発売された20cmフルレンジユニットFE208-Solとその関連製品です。その本題に入る前にYT88-Sol+FE88-Solのデモが行われました。

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従来のエンクロージャはYK-88-Solで、塗装色がパーシモンオレンジで好き嫌いが出そうな仕様でした。YT88-Solはショウ開催時点では公式発表されていないようですが、写真のとおり落ち着いた色の仕上げになっています。

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デモは永井龍雲のギターの弾き語り曲で、このスピーカーにマッチした選曲でした。ボーカルが明瞭で、フルレンジならではの定位感がよかったです。それでは本題のFE208-Solのデモを紹介します。20cmフルレンジユニットですが、-Sol型番が示すとおり、2層抄紙ESコーン、大型フェライト外磁型磁気回路、銅キャップが使用されています。マグネットは通常使用される物を2段重ねされていてユニット重量が8.7kgもあります。

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マグネットの内側には銅キャップが挿入されて低歪みの磁気回路に仕上げられています。

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この強力な磁気回路と軽量な振動系により、Q0=0.15の特性となっていてバックロードホーン用としてまとめられています。今回のデモでは、いっしょに製品化されたバックロードホーン型スピーカーボックスに取り付けられていました。ホーン長は190cmでこの組み合わせの際の能率は100dBを越えるとのことでした。ユニットが35,000円でスピーカーボックスが1台200,000円と1本あたり235,000円といい値段になっています。

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音は中域が明瞭で、低音はふっくらした感じで鳴ってました。合わせて製品化されたホーンツィーターT90A-Superが途中から追加されました。

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内磁型のマグネットが採用されていますが、最初はアルニコマグネット3個で企画スタートしましたが、価格が10万円を越える状況となり、2個に見直された経緯が説明されました。それでもオリジナル製品T90の2倍となっています。ネットワークは0.68uFのコンデンサ一発で接続され、その際のクロスオーバーは30KHzとの事でした。こんな高いクロスオーバーで有無の違いがでるか疑問でしたが、付けた時は低音も生き生きなっているように感じました。ツイーターの定価が39,000円なので、組み合わせ価格は274,000円となり、私の使っているNS-1000Mの2倍以上の価格になります。昔の感覚では高級スピーカーとなります。製品によらず1980年代の常識で考えると製品価格はありえない程高くなっています。売れる数を考えたら仕方ないでしょうか?少し残念だった点は、技術系の方の説明に共通している言えるようにおもいますが、せっかく部品等の現品を持参されて手に持つのであれば、もっとしっかり見せて欲しいとおもいました。部品現品を見られるのはこのような講演の魅力の1つだと思います。次回、つづきのレポートをします。

 

つづく(番外編11)