ローノイズ真空管アンプ(製作編33)

製作編33

完成したローノイズ真空管アンプに負帰還をかけて音を聴き、特性の測定の準備を行います。

負帰還回路追加

改めて回路図を掲載します。

負帰還回路は、解体した1号機の部品を使用します。10pFはデップマイカコンデンサーで最近は調達先が少ない上に、価格が高くなってい為です。抵抗は30kΩと3kΩの直列接続しています。真空管アンプ2号機は、負帰還回路の引き回しが悪かった為、負帰還回路実装後にハムノイズが増えてしまいました。今回は対策として、負帰還回路の配線に2芯シールド線を使用してノイズの悪化を防ぎます。すでに出力の中点電位出しの為の100Ω抵抗への配線は、2芯シールド線のシールド電線で行っているので、芯線に負帰還用部品を接続してそれをさらにスピーカーターミナルに接続しました。

入力側の配線は、中点電位配線の際に接続済みです。

これで負帰還回路実装は完了です。

音聴き

負帰還なしの音を聴いた時と同じセッティングとしました。スピーカーはFostexの16cmフルレンジユニットFF165WKを純正のバスレフ型エンクロージャーに収めたものです。さっそく音楽を聴いてみます。負帰還は多量にかけているわけではなので、ゲインは下がった印象はありません。帰還なしの時の音が飛び出してくる印象は後退し、逆に繊細な印象が加わりました。この状態の方がいろんな楽曲に合いそうです。久しぶりにBob JaesのOneを通しで聴いてしまいました。なかなかいい感じです。

筐体を1回り小さくしたせいか、真空管の発熱による温度上昇が激しいです。現状、室内の温度が26℃くらいなので、問題ありませんが真夏の再生にはエアコンが必須と思われます。

周波数特性測定準備

周波数特性測定ブロック図を再掲載しました。このシステムで使用しているアンバランス-バランス変換装置のブロック図は以下のとおりです。

この装置の場合、ボリューム位置によって出力インピーダンスが変化します。今回製作したアンプはHot/Coldともに反転アンプ構成となっているため、負帰還をかけた時のアンプゲインが前段アンプの出力インピーダンスの影響を受けてしまいます。正確な周波数特性の測定を行うために、急遽アンバランス-バランス変換ボリュームを改造する事にします。

アンバランス-バランス変換ボリューム改造

オリジナル状態のアンバランス-バランス変換ボリュームの機内はこんな感じです。

当初オペアンプ構成だったものを、ディスクリート構成に改造しています。これを簡単に改造する為にオペアンプ構成に戻します。具体的には以下のブロック図相当に実装し直します。

オペアンプはMUSES8920Dを使用します。このICはすでに生産終了となっていて、秋月電子の在庫もないようです。販売終了のアナウンスがされた時点で10個購入しておいたものです。音は明るい感じで、価格とのバランスが魅力でしたので販売終了は残念です。それでは早速製作を開始します。

アンバランスバランス変換ボリューム基板製作

まずは大物部品の配置を決めます。今回の製作の大物部品は端子台とICソケットです。信号の流れに沿って配置してみました。

右端の2極の端子台はアンバランス入力です。バッファー用オペアンプソケットを破産で隣がボリューム出力用端子台です。基板内部の配線改善の為に、電線を斜め挿しするタイプの端子台を選定しました。その隣がボリューム入力用端子台です。その左側がバランス信号変換用オペアンプと出力用の端子台です。大物部品のレイアウトが決まったので次回は実装を進めます。

 

つづく(製作編34)