ローノイズ真空管アンプ(製作編32)

製作編32

無帰還状態で周波数特性と出力ノイズスペクトラム測定を行います。

周波数特性の測定

改めて周波数特性測定系のブロック図を掲載します。

入力信号Hot/Coldともに200mVppの正弦波としました。ゲインは約20dBなので差動出力で約4Vppとなります。観測時の入出力波形を参考に掲載します。

波形は上から10Hz, 1KHz, 20KHzです。黄色が入力波形で青が出力波形です。全てLチャンネルのHotの結果です。10Hzの出力波形は少し歪んでいますが、出力トランスの影響と考えられます。20KHzでややゲインが下がっています。結果をグラフにしてみました。

大変素直な特性となっています。低域は10Hzまでフラットですが、出力トランスの性能のおかげだと思います?高域は10KHzからゲインが下がり初めていますが、帯域幅としては、30KHzくらいです。400KHzあたりにこぶがありますが聴感上の影響はないと考えられます。同様にRチャンネルも測定してみました。

結果はLチャンネルと同様な特性となっていました。両チャンネルともに差動出力ゲインもグラフにしてみました。

高域のこぶが若干緩和されてさらに素直な特性となっている事が確認できました。

ハムノイズ測定

今回の製作のねらいはローノイズですが、ハムノイズの測定をします。測定は過去に製作したアンチエイリアスフィルターとオシロスコープFFT機能を使って行います。アンチエイリアスフィルターには、差動信号を入力してHot, Cold, 差動それぞれの出力を切り替えて観測できるようになっています。回路図は以下のとおりです。

フィルターは12dB/Octのアクティブフィルターを2段直列接続しています。フィルター特性は以下のとおりです。

カットオフ周波数は約500Hzで、肩特性は-24dB/Octです。ジグ基板の外観です。

写真中央の上寄りに4極のジャンパースイッチがありますが、これでHot/Cold/差動と出力を切り替えます。低周波ノイズスペクトラム観測システムのブロック図を掲載します。

測定環境をセットアップします。

このシステムで観測した出力ノイズの周波数スペクトラム結果を掲載します。

上からHot, Cold, 差動出力のノイズスペクトラムです。0dBは4Vppに相当します。結果は16サンプルを平均化しています。参考としてEL34ppA級バランスアンプ2号機のノイズスペクトラムを掲載します。

結果は誤差範囲かもしれませんが今回のアンプの方が若干低ノイズとなっています。正直なところ、もう少し改善していると思っていました。逆に考えると2号機のトランス配置は絶妙だったのかもしれません。次回は負帰還をかけて音を聴いてみます。

 

つづく(製作編33)