ローノイズ真空管アンプ(製作編31)

製作編31

終段真空管のカソード電圧が設計値よりも低くなっている原因を特定します。一旦無帰還状態で音を聴き、特性測定の準備を行います。

終段真空管カソード電圧

前回掲載した、無信号時の各部電圧の測定結果を再掲載します。

終段真空管のカソード電圧は設計値17.3Vに対して13.5Vしかありません。この結果終段バイアス電流用回路が設計どおり機能していない可能性があります。原因を特定する為に、過去に製作したA級PPEL34バランスアンプを引っ張り出して確認してみる事にしました。設計は今回の製作で解体した1号機とほぼ同じです。

無信号状態で各部の電圧を測定してみました。上下逆さまに置き、ボトムカバーを外します。

結果は以下のとおりです。

どちらのチャンネルも16.9Vとほぼ設計値に近い値となっていました。この電圧はプレート電圧とグリッド電圧が同じであれば、真空管の特性によって決まります。製作で使用した真空管は1号機で使用してきましたが、その過程特性が変化したのでしょうか?両チャンネルともに同じ値なので特性の変化は考えにくいです。改めて電圧測定をしてみる事にしました。あ!測定のポイントを間違えていました。2号機ではR13は基板上に実装されていますが、今回の3号機は、真空管ソケットの端子に接続されています。本来、真空管ソケットの端子電圧を測定しなければなりませんが、基板の端子台の電圧を測定していました。改めて各部電圧の測定を行いました。結果は以下のとおりです。

終段真空管のカソード電圧はどちらのチャンネルもほぼ設計値となっていました。やれやれ・・・。回路図上には負帰還回路が記載されていますが、現状は未実装です。

音聴き

負帰還のない状態で一旦音を聴いてみます。その前に終段のバイアス電流バランスを確認してみます。チップジャックにテスターのテスト棒を挿すだけです。

写真では-40.5mVとなっていますが、変動しています。最終的な調整は負帰還をかけた後に行う事として、今回はこの状態で音を聴いてみます。マルチアンプシステム用の12chアッテネーターのLowチャンネルをアッテネーターとして使用しました。

リアの配線はこんな感じです。

スピーカーはFostexの16cmフルレンジFF165WKを純正のエンクロージャーに取り付けたものを使用しました。普段聴いている楽曲をいろいろと試してみました。以前にも感じましたが、無帰還アンプの音は音が前に飛び出してくる印象です。自由奔放で負帰還の抑圧から解放されたように感じます。いろいろ聴いて感じたのは、シンプルな録音の楽曲の音が私の好みでした。本格的な試聴は負帰還回路実装後に行いたいとおもいます。

周波数特性測定準備

この状態で特性の測定を行っておきます。測定は発振器の信号をバランス変換回路に入力し、それをパワーアンプに入力しました。スピーカーターミナルには8Ωのダミー抵抗を接続します。この状態で入出力波形をオシロスコープで観測してゲインを算出します。

信号を入力して波形を観測したところ、出力の極性が反転していました。

この回路で帰還をかけたら正帰還となって思いっきり発振するとこでした。スピーカーターミナルへの配線を逆にして対策します。

これで位相が正しく信号出力できます。念のため回路図を修正しました。

これで負帰還も安心してかけられます。次回は無帰還状態の特性の測定を進めます。

 

つづく(製作編32)