ローノイズ真空管アンプ(製作編30)

製作編30

引き続き通電確認を行い、結果を確認して必要な対応を行います。

Rチャンネル通電確認結果検証

前回Rチャンネルの通電確認を行いましたが結果の検証が不十分でした。改めて結果を掲載します。

終段のカソード電位が設計値と比べてかなり低くなっています。電源電圧が設計値よりも高くなっている影響かと思いましたが、プレート電圧が高くなると、電流が流れ易くなる為、逆にカソード電圧は高くなるはずです。この電圧(13.5V)では、定電流回路が設計どおりに機能しない恐れがあります。詳細の検討は、Lチャンネルの確認をした後に考えたいとおもいます。

通電確認続き

せっかくなので今回の本題であるローノイズ性能の確認をスピーカーを接続してノイズを聞いてみる事にしました。

写真のスピーカーのユニットは、FostexのFE-83Enです。出力音圧レベルは88dN/W(1m)です。エンクロージャーは学生時代に買ったスピーカーの流用です。天面に貼られたシールは、社会人になった際に先輩との二人部屋を考慮して買ったWalkman professional WM-D3に貼ってあったものです。余談はさておき、無信号状態のノイズをこのスピーカーで聞いてみました。スピーカーを耳に押し当てると、わずかにホワイトノイズが聞こえて、ハムノイズも僅かに聞き取れるレベルでした。負帰還をかけるとレベルはさらに下がると考えられます。ハムノイズの測定は別途行いますが、まずまずではないでしょうか?続いてLチャンネル終段の通電確認を行います。

これで全真空管が動作する事になります。今まで電源電圧の上昇を防ぐ為に取り付けていたダミー負荷用の100kΩの抵抗を外しました。

Lチャンネルの各部電圧は以下のとおりです。

最終的な電源負荷状態でも電源電圧が設計値よりもやや高くなっていますが、初段真空管のヒーター電流を別トランスから供給するように変更した為、トランスの負荷が減った事による影響かもしれません。終段管の発熱が若干増えますが大きな影響はないと考えます。終段バイアス電流調整用のボリュームはセンターですが、Lチャンネルも調整不要でした。ペア管を購入した効果でしょうか?終段のカソード電圧はRチャンネルと同様に設計値よりも下がっています。

終段定電流回路再検討

原因はさておき、終段の定電流回路の動作を検証してみます。定電流回路のみ抜き出して各部電圧と推定値(括弧内の値)を追記してみました。

コレクタ電位を測定していなかったので、R13を流れる電流値を特定できませんが、59mA~69mAの間と考えられます。その時のコレクタ電位は9.5~9.9Vとなりますが、この場合、定電流ダイオードにほとんど電圧がかかりません。おそらく定格の10mA流れていないと推測されます。この状態はR13の抵抗値を下げると改善できます。ショートした場合の動作を検証します。

この場合は、定電流ダイオードに3.5Vかかり、ぎりぎり定電流ダイオードの動作範囲に入っています。対策はこの方法としたいとおもいますが、どうして以前の設計値を比べて電圧が下がったのかが謎のままです。過去に製作した同回路構成のアンプが1台あるので、確認してみる事にします。次回は終段バイアス用定電流回路の変更を行い、無帰還状態で音を聴いてみたいとおもいます。

 

つづく(設計編31)