EL34ppパワーアンプ製作2(製作編16)

f:id:torusanada98:20200105115202j:plain

製作編16

全ての配線が終わったので、通電、調整を行います。

通電確認1

最初は終段の真空管を挿さずに、通電して真空管ソケットの各端子電圧を確認します。参考として、回路図を再掲載します。

f:id:torusanada98:20200105115224p:plain

初段の真空管は先日の通電確認実施後、装着したままとなっています。確認結果は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200105115303p:plain

表中の朱記の2点の電圧が異常です。まずは真空管No.3の5pinの配線確認をしてみます。確認の結果、初段のカップリングコンデンサと5pinの配線が電源ラインに接触している事を確認しました。

f:id:torusanada98:20200105115346j:plain

配線時に気づくべき内容ですが、見過ごしていました。余分な芯線をカットしました。回路へのダメージを心配しつつ回路図を眺めたところ、330KΩを介して-5Vの三端子レギュレータおよび、調整用ボリュームに接続されていたため、ダメージ無しと判断しました。もう1点は、Lチャンネル真空管No.2の入力バイアス電圧異常です。基板単体で確認を行ったにもかかわらず異常値となっています。一旦基板を取り外してハンダ付けの怪しい部分を再ハンダしたところ改善しました。端子台への配線時に基板に応力をかけた為に、ハンダ外れが発生したと考えられます。

通電確認2

次は、終段の真空管を装着して通電確認を行います。一旦Rチャンネル分の真空管を取り付けて確認を行います。取り付け前に、真空管の組み合わせを決めます。2種類の真空管の出力抵抗rpが揃っていると仮定すると、総合のゲインは各段のgmの積に比例します。左右チャンネルのゲイン差にはある程度目をつむり、HotとColdのゲインを合わせる事を優先して組み合わせを決めました。そもそもrpが揃っている前提としている為、どの程度意味があるかはわかりませんが、自己満足の世界です。

f:id:torusanada98:20200105115426p:plain

総合ゲインについては、完成後の周波数特性測定時に確認したいとおもいます。上記の結果に従ってRチャンネル用の真空管を取り付けました。

f:id:torusanada98:20200105115505j:plain

EL34は出力トランスと高さがほぼ同じため、安全にシャーシ裏の電圧を確認できるようにボンネットを装着します。キズ防止の為、ダンボールをボンネットに貼り付けました。

f:id:torusanada98:20200105115551j:plain

電源オンし、ヒーターが安定して点灯をしてから各端子の電圧を確認しました。特に問題なかったので、Lチャンネル分の真空管をさらに取り付けて各端子の電圧を確認しました。

f:id:torusanada98:20200105115705j:plain

こちらも同様に問題ありませんでした。各端子電圧の確認結果は、Ip調整後に回路の各部電圧確認結果としてまとめて紹介します。

Ipバランス調整

これは終段の2本のEL34のIp値を合わせる調整です。2本の真空管の特性が揃っている事が前提ですが、Ip値を合わせる事で、偶数時の歪みが打ち消されて歪み率の改善させる重要な調整です。測定にはチップジャックを設けたB電源と、各真空管のプレート間の電圧を測定し、測定済みの出力トランス一次巻き線の直流抵抗値を使ってIpを算出します。算出したIp値が終段の2本のEL34で揃うようにIpバランス調整用ボリュームで合わせ込みます。調整結果は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200105115752p:plain

表中の「赤-赤」と「赤-白」は測定したチップジャックの色を示しています。良好に調整できたとおもいます。調整後のアンプ各部の電圧は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200105115836p:plain

設計値よりも終段のIpがやや小さく(約67mA)、カソードの電圧は約4V低くなっていました。この結果定電流源回路のトランジスタ印加電圧は4V弱となってしまいました。トランジスタの動作が心配となりデータシートを確認したところ3V電圧がかかればある程度の特性となる事が確認できたので、問題なしと判断しました。

f:id:torusanada98:20200105115922p:plain

これでアンプは一通り調整は完了しました。調整後のアンプは以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200105120024j:plain

見栄えは1号機とほぼ変わりませんが、電源スイッチで見分ける事ができます。次回は音出しとまとめを行います。

 

つづく(まとめ編)