製作編5
前回、アンプの通電確認を完了したので、次はトランス、基板のケースへの実装を紹介します。
フロントパネル
はじめにトランス、基板の配置を決めますが、各部品と外装部品のクリアランス確認用にフロントパネルを組立ます。取り付ける部品は、トグルスイッチ、電源ランプ、スイッチガードだけです。下記が加工用図面ですが、丸穴だけなのでパネル厚3mmあっても自前の加工ができます。
配置検討
フロントパネル、リアパネルに外装部品を取り付けた状態で、トランスと基板の配置を検討します。写真は一次検討時の配置案です。この案検討時は、ヒートシンクに基板実装しておらず、写真ではきれいに収まっていますが、ヒートシンク上の基板とトランス間のクリアランスが確保できなかったため見直しました。結局左右のトランスの位置を入れ替え、電力増幅段用のトランスの向きを横から縦位置に90°変えて必要なクリアランスを確保しました。電圧増幅段用電源基板脇の部品は、電源とGNDを中継するためのLラグ端子です。写真では6Pタイプを3個配置していますが、見直しの結果2個に減らしました。
GNDライン設計
BTL方式は、GNDラインにスピーカー電流(大電流)が流れない事も大きなメリットですが、GND電流が流れることを前提に一般的なGNDライン設計を行っておきます。理想は1点アースですが、配線の都合もあり、電流容量の大きいラインの共通インピーダンスを極力減らすために以下の点を考慮しました。
・シャーシGNDは、6PLラグ固定用端子の1カ所とする
・他アース端子は、上記端子並びの3端子を1φポリウレタン線で接続し準備する
・Lラグ固定用端子から電流容量の大きいライン順(下記)に接続する
電力増幅段用トランスセンタータップ
電力増幅段基板GND
電圧増幅段トランスセンタータップ
電圧増幅段電源基板GND
アンプ基板GND
バランス入力部GNDは、アンプ基板入力部のGNDに接続します。
ポリウレタン線
いままでの記事の中で、何回か登場していますが、配線インピーダンスが気になる部分にφ1mmのポリウレタン線を使っています。ポリウレタン線は、一般的にエナメル線と呼ばれるものですが、絶縁用被覆にポリウレタンを用いたものです。商品説明によれば、ハンダ時の熱で被覆が溶けるためハンダ付け可能とされていますが、弱電用ハンダコテでは、被覆が溶けるまでに長時間加熱する必要があるため、あらかじめハンダ部を金ヤスリで擦り被覆を剥がして使っています。
トランスと基板の実装
上記で検討した配置ベースで、底板の加工図面を作成します。トランス固定用ネジはφ4で、基板固定は、φ3のスタッドを使用します。Lラグもφ3のネジで固定しますが、穴位置は、他部品実装後にクリアランスを確認して決めました。
電源基板はあらかじめLラグ配線を行い、底板への固定は両者同時に行う事で作業性が良くなります。部品を全て固定して必要な配線を行います。実装する部品と比べてケースサイズに余裕がないことと、ケースが厚く配線がケースの奥底となり作業性が悪く、ごちゃごちゃした配線となってしまいました。組立中に気づきましたが、ケースの構造を維持したまま、放熱器を外すことができません。理由は、放熱器と前後のパネルを連結しているネジにアクセスするためには、天板および底板を外す必要があるからです。あらかじめ、連結ネジアクセス用に底板にφ5程度の穴をあけておくと、修理時の作業性が格段に良くなるとおもいます。今後の課題としたいとおもいます。次回はいよいよトータルの通電確認と音だしをします。
つづく(製作編6)