DACユニットの検討(製作編14)

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製作編14

LCDパネルの動作確認から再開し、ブレッドボードの電源のセットアップを行って、ブレッドボード上でLCDパネルのデモ表示をさせます。

LCDパネル動作確認

前回の記事で、実装したバニラシールド基板の動作確認は完了しました。バニラシールド基板に接続したLCDパネルのデモ表示はできたものの、暗い環境では視認できません。DACユニット実装時には、12chアッテネータの7セグ表示と同様にスモークのアクリル板越に表示させる予定なのでこの状態は問題です。デモ表示用のソースを改めて確認してみます。前回の記事で変更してみたコントラスコマンドの設定を変更してみましたが、状況は変わりません。他に関連コマンドがないか確認したところ、バックライト設定コマンドがありました。このコマンドは、サンプルコードからコピペしたものですが、コメント欄にWhiteの記載があったので、設定はそのままとしていました。

lcd.setBacklight(0, 0, 0); //Set backlight to bright white」

試しに3つある引数を全て255に変更してみました。あまり期待せずに電源オンしたところ、表示は改善して暗い場所でも視認できるようになりました。

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2行目のDAC-1の後ろの99の表示は、動作を確認するために1秒刻みで999までカウントアップさせています。右端の光っている部分はバックライト用のLEDからの光の漏れです。ユニット実装時は覆って光の漏れを防ぐ必要がありそうです。久々に動きのある製作で単純な表示ですが、眺めていても飽きませんでした。我ながら単純なものです。検討環境はこんな感じです。

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DACユニット用のソフト製作ですが、慣れないC++言語なので時間がかかりそうですが今から楽しみです。

ブレッドボード電源セットアップ

現状のブレッドボードは、2枚の基板を除き部品実装が完了していますが、基板間の配線は行っていません。初めに2枚ある電源基板の配線を行います。それぞれの電源基板の入力はトロイダルトランと接続します。写真は2個のトロイダルトランスの説明書です。

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上がアナログ+/-15V電源用で、下が+8V/+5V/+3.3Vのデジアナ電源用です。どちらのトランスも一次巻き線に120Vタップがありますが、今回は使わないので処理します。処理はいつもの用に端末用キャップを被せてシンシュロックで縛りました。

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AC電源コードは、廃棄家電からカットして保管していたものを流用します。念のため一次側に保護用のヒューズを入れます。事前に秋月電子から電線の途中に入れられるヒューズホルダを購入していましたが、ヒューズのサイズが通常使うものより大きく必要な電源容量のヒューズの手持ちがなく、10A品を暫定的に使用しました。

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このサイズの1A or 2A品のガラス管ヒューズはあるのでしょうか?次はトロイダルトランスの二次側の配線を行います。後でどのような実装になるかわからないので、トランスの電線は極力カットせずに長さを温存させています。気休め程度かもしれませんが、二次電線は撚って配線しました。

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2枚の電源基板はそれぞれ単品で通電確認は行っているものの、初めての火入れは緊張します。意を決して電源オン、何も起こりませんでした。テスタで各出力を確認しましたが、特に問題ありませんでした。一旦電源をオフして、以前に製作したマイコン基板用のDCプラグをマイコン基板に挿して、反対側を先ほど通電確認した電源基板の8V出力に接続しました。改めて電源オン。問題なくデモ表示の確認ができました。(本記事のアイキャッチ写真を参照)次回は基板間の接続を進めて、DAC基板1枚を使ったD/A変換動作確認を目指します。

 

つづく(製作編15)

DACユニットの検討(製作編13)

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製作編13

実装完了したバニラシールド基板の通電確認とLCDパネルを接続して動作確認を行います。

環境準備

バニラシールド基板の通電確認は、基板をマイコン基板に実装して行います。マイコン基板には、前回の記事で紹介した通電確認用のファームウェアを書き込んで動作させます。確認環境は、arduino統合環境をインストールしたPCとマイコン基板をUSBで接続すれば準備完了です。マイコン基板への電源供給は、USB経由で行われるので電源の接続は不要です。波形観測もできるようにオシロスコープを準備しました。(本記事のアイキャッチ写真参照)

通電確認

最初にマイコンに通電確認用のファームウェアを転送します。作成済みのソースコードを読み出して、IDEの矢印ボタンを押してファムウェアを転送ます。arduinoの統合環境IDEは、ファームウェア転送時も、必ずコンパイル動作が入ります。事前にコンパイル確認済みなので問題ないと思っていたら、コンパイルエラーが発生しました。え?と思いましたが、すぐに原因がわかりました。事前のコンパイル確認は別のPCで行っていたため、正しく環境設定されていましたが、今回のPCにはLCDパネル用のライブラリ設定を行っていませんでした。sparkfunからダウンロードしたライブラリを所定のフォルダにコピーして準備完了です。改めてファームウェアの転送を行いました。転送完了後にプログラムは自動的にスタートします。この状態で各端子の電圧を確認しました。特段問題がなかったので、一旦USB接続を外して電源を落として、レベル変換モジュールを装着しました。

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改めてUSBで接続してマイコンを動作させました。各端子の電圧は以下のとおり変化しました。

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VREF2は、LCDパネル側から3.3Vが供給されるためopenで問題ありません。他の端子電圧も特に問題ありませあんでした。

動作確認

動作確認は、LCDパネルを接続してデモ表示を確認します。LCDパネルの配線はピンヘッダを使うか迷いましたが、電線を直出しする事にしました。接続は+5V, +3.3V, GND, SCL, SDAの5本です。配線間違いを防ぐ為に最低限電線の色を選択しました。

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電線は少し長めとしました。早速バニラシールド上の端子台に接続して動作確認開始です。すでにファームウェアは転送済みなので、USBを接続すればプログラムは実行されます。一瞬、sparkfunのメッセージが表示されるものの、その後はうんすん状態です。ソースコードを眺めて見て関係しそうな箇所を探してみました。コントラスト設定が怪しそうなので、変更して試してみました。

オリジナル:lcd.setContrast(0); //Set contrast. Lower to 0 for higher contrast.

お試し修正:lcd.setContrast(5); //Set contrast. Lower to 0 for higher contrast.

残念ながら変化ありません。最初に戻りレベル変換が正しく動作しているか確認する事にしました。I2CのSCL信号を変換前後で確認してみました。

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黄色のラインがマイコン出力の信号で、青のラインがレベル変換後です。レベル変換が正しく動作していません。さらに確認のポイントを変えてみたところ、レベル変換モジュールへI2C信号が入力されていない事がわかりました。一旦バニラシールド基板を取り外して、配線を確認してみました。

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またやってしまいました。マイコンボードのSCLとSDA端子とレベル変換モジュールの各端子間の接続を忘れていました。やれやれ。追加配線を行いましたが、1本は被覆電線を使わざる得ませんでした。

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写真右上の配線が追加したものです。バニラシールド基板をセットして、レベル変換されたI2C信号を確認してみました。

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今度は正しくレベル変換されている事が確認できました。改めてLCDパネルを接続して、期待しつつUSBケーブルを接続しました。やった、デモ表示できました。しかし何か表示が変です。せっかくバックライト付きの黒バックグラウンドタイプのパネルを選定したにもかかわらず、暗い状態では表示が視認できません。

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ん~?次回は視認に関する不具合検討から再開します。

 

つづく(製作編14)

DACユニットの検討(製作編12)

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製作編12

arduino UNOと周辺回路接続用にバニラシールド基板に接続用回路を実装し、通電確認の準備を行います。

バニラシールド基板

バニラシールド基板とは、arduino用のユニバーサル基板で、マイコン基板のピンソケットに連結して搭載ができ、手軽にマイコン基板に周辺回路を追加する事ができます。

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写真左がバニラシールド基板です。いろんな色のラインナップが用意されていますが、今回は無難に青を選択しました。写真右がマイコン基板接続用のピンヘッダのセットです。写真中央は、バニラシールドに搭載するI2C用のレベル変換モジュールです。

バニラシールド基板実装

最初に連結用のピンヘッダを取り付けます。取り付けるピンヘッダは10極が1個、8極が2個、6極が1個です。傾かないように注意してハンダ付けしました。

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各ピンヘッダは最初に1ピンのみ仮止めして、仮止め部にハンダを当て直して傾きを矯正しいています。念のため、マイコン基板に接続してみました。

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問題なく取り付けができました。次に実装する部品の配置を検討します。6極、5極、3極の端子台とレベル変換モジュール実装用の8ピンDIPソケットです。まだDACユニットシャーシ内の基板配置を検討していないので、ブレッドボード上で無理なく配線できる事のみを考えて端子台の配置を決定しました。

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バニラシールド実装時に、マイコン基板に実装された部品の天面とのクリアランスが小さい箇所があるので、実装部品の配置検討時に考慮しました。最初にGND配線を行います。

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比較的すっきり配線できました。続いて電源配線をします。5V系と3.3V系の2系統です。3.3V系の配線で1カ所被覆電線を使用しましたが、ここまでは比較的すっきり配線できました。

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最後にI2Cのクロックとデータの配線を行います。できる限り被覆なしのジャンパ配線を心がけましたが、2本被覆線を使ってしまいました。

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これで配線完了です。

バニラシールド通電用FW

配線完了したバニラシールドの通電確認ですが、マイコンボードに搭載して端子台とレベル変換モジュール実装用のソケットの各端子電圧の確認を行います。その為には、マイコン基板の各ポートの設定は最低限行わないと、最悪基板を壊してしまいます。少し横道にそれてしまいますが、バニラシールド通電確認用のFWを作成します。折角なのでLCDパネル動作確認もできるように準備したいとおもいます。処理のフローは以下のとおりです。

1)初期設定

 ライブラリの設定(I2C, LCDパネル用)

 キー入力用ポート設定

2)デモ用表示

 LCDパネル動作確認用の表示

まずは、購入したLCDパネル用のライブラリをダウンロードします。sparkfunのページからダウンロード可能です。ライブラリ以外にLCDパネルの各機能をつかったサンプルソースコードも準備されているため、C++素人の私にもなんとか使いこなす事ができます。尚、arduino及びその統合開発環境については「チャンネルデバイダーのVR制御(構想編3)2018-06-08」を参照ください。

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LCDパネル動作確認用ファームウェアの概要は以下のとおりです。

・キー入力用のポートはプルアップ抵抗付きの入力ポート設定

・表示1行目は「Weekend Audio」

・表示2行目は「DAC-1」の後に0~999のカウントアップ

言語はC++ベースのarduino言語です。統合開発環境IDEarduinoのサポートページから無償でダウンロードできます。IDEはコードのedit、コンパイル、書き込み、デバッグができます。まずはコードを作成してコンパイルしてみました。

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IDEの画面は、上部に機能ボタンがあり、中央がエディター画面、下がステータス表示画面です。コンパイルは上部左側のチェック表示のボタンを押します。コンパイルの進捗が棒グラフ表示され、完了すると生成されたバイナリの情報がステータス画面に表示されます。結果は以下のとおりです。

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慣れないC++ですが、なんとかコンパイルまで成功しました。次回はバイナリをマイコンボードに転送して、バニラシールドの通電確認を行い、LCDパネルの動作確認を行います。

 

つづく(製作編13)

DACユニットの検討(製作編11)

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製作編11

SPDIF入力基板の実装とマイコンインターフェース回路の実装準備をします。

SPDIF入力回路基板

この基板には入出力の端子台以外に、パルストランス、抵抗、フィルムコンデンサしか実装されません。パルストランスは外部から入力された信号を入力部で絶縁して、波形のみ入力させる為に搭載します。デジットキット版を購入しようとしましたが、在庫がなかった為、パルストランス単体を購入してユニバーサル基板に搭載する事にしました。

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真中央の黄色の部品がパルストランスです。参考に添付されていた説明書を掲載します。

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デジットキットの説明書が流用されていました。掲載されている回路図の中のSPDIF入力の回路図を参考に実装を進めます。大物部品は端子台2個とパルストランスのみなので、初めに配置を決めました。

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パルストランスを寄せて配置したのは、DAC回路側に直列に0.1uFのフィルムコンデンサの実装を想定した為です。他実装する部品はSPDIF入力側に75Ωの入力抵抗のみです。

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ハンダ面はこんな感じです。

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特性インピーダンスは無視して配線しました。後で波形の確認をするつもりです。いつものように実装した基板をブレッドボードに装着してみました。(本記事のアイキャッチ写真参照)

マイコン周辺回路

マイコンボードはarduino UNOを使用します。

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12chアッテネータ製作時と同様にバニラシールド基板に端子台他必要な部品を実装する予定です。周辺回路としては、スイッチ3個とDAC基板2枚、LCDパネルです。DAC基板とLCDパネルはI2Cシリアルバスで接続します。

LCDパネル

先にLCDパネルの仕様を確認します。下記は今回使用するLCDパネルの入出力仕様です。

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電源は3.3~9Vなので、arduino UNOから5Vを供給します。注意が必要な点は、この基板のI2Cの電圧は3.3Vです。arduino UNOと接続する為には双方向のレベル変換回路を入れる必要があります。

I2C用レベル変換回路

秋月電子から実装済みのモジュールを購入しました。

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レベル変換モジュールには、実装済みの基板以外に4ピンのピンヘッダが2個同梱されていました。これを基板に取り付けると、8pinのソケットに挿して使用する事ができます。4ピンのピンヘッダを取り付けてみました。

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取り外しが大変なので、ソケットには挿さずに置いています。下記は添付された説明書に掲載されている回路図です。

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使い方はは2つあるVREF端子にそれぞれのI2C回路の基準電圧を入力する事でSCLとSDAがレベル変換されます。

マイコン周辺回路実装

バニラシールド基板実装前に回路図を作成しました。

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スイッチ3個は、6極の端子台に接続します。2枚のDACのI2Cバスは3極の端子台からデイジーチェーン接続をします。5極の端子台はLCDパネル接続用です。マイコン基板への電源供給は、マイコン基板に搭載されているDCジャックから8Vを供給します。最初に電源供給用のDCプラグを作成します。秋月電子からL型のプラグを購入しました。

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外形5.5mm内径2.1mmでセンタープラス仕様です。早速電線を接続してみました。

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電線をハンダ付けしてカバーをすれば完成です。マイコン基板に接続するとこんな感じになります。

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次回はバニラシールド基板にマイコン周辺回路を実装します。

 

つづく(製作編12)

DACユニットの検討(製作編10)

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製作編10

平衡不平衡変換基板の動作確認を行ってきましたが、今回は0dB信号再生時の動作シミュレーションを行います。

0dB信号入力シミュレーション

この基板の動作確認の最後は0dB信号入力時のシミュレーションです。方法は各系統に0dB再生時にI/V変換回路から出力される信号相当を入力して波形観測を行います。改めてI/V変換回路を掲載します。

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具体的には、2.3V~10.1Vがピークとなる7.8Vppの正弦波を差動入力して出力波形を観測します。実験では設定を間違えてしまい入力電圧が7.2Vppになっています。信号は発信器の2ch分の出力を使用します。私の使用している発信器は出力2ch分を独立して設定できるので、この発信器を使って差動信号を生成しました。

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50Ω負荷とすると出力レベルが上がらないため、今回の測定では外しました。また出力オフセット設定機能もありますが、上限で120%までのため、完全なシミュレーションはできませんでした。

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下記が設定を駆使して作った信号です。

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信号の下限値が0.44Vで上限値が8.16Vの7.72Vppの正弦波です。DCオフセット電圧が2V弱足りませんがこれで進めます。波形は1KHzですが、20KHzの確認も合わせて行いました。写真は1KHz入力時のRチャンネルHot出力は観測結果です。

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黄色が正相の入力信号で青が出力信号です。波形はモニタしていませんが、逆相の信号も同時に入力しています。また出力信号のモニタは端子台ではなく、オペアンプの出力端子を直接モニタしているため、出力分圧回路による減衰はしていません。入力7.2Vppに対して出力は14.4Vppとなっています。画面上、y1=7.2V、y2=-7.2Vと差動入力によって出力信号のオフセットもキャンセルされている事も確認できます。同様の観測を進めましたが各チャンネルで問題なかったので観測結果は抜粋して紹介します。下記はLチャンネル1KHz入力時のCold出力波形です。

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この波形も問題ありません。最後に周波数を20KHzに上げてみました。

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こちらも問題なく動作しています。市販のDACユニットの中には、0dBでクリップするものがあり、なおかつ音がいいと言われるものもあるそうです。昔のCDに比べて最近のCDの録音レベルが高くなっている印象があり、総じて音がいい気がしています。機器の性能アップもあるとおもおいますが、録音レベルアップによりそれぞれのブロックのDレンジが有効に使われている事も一因でしょうか?このDACの終段のオペアンプの出力は0dB時に15.6Vppとなります。それを差動出力するため、31.2Vppとなります。この時の各オペアンプ出力の実行値は約5.5Vrmsとなりますが、それが差動出力されるため出力は約11Vrmsとなり、それを約36%に絞って4Vrmsの信号とする予定です。こんな事を考えていると、早く音を聴いてみたくなってきます。上記のレベルを回路図上に整理してみました。

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次回はパルストランス基板の実装から再開します。

 

つづく(製作編11)

DACユニットの検討(製作編9)

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製作編9

平衡不平衡変換基板の通電と動作確認の続きを行います。

平衡不平衡変換基板動作確認続き

前回の記事でRチャンネル反転入力-Hot出力間の周波数特性の測定を行いました。今回は、Rチャンネル非反転入力-Hot出力間の周波数特性の測定から開始します。前回と同様の手順で入力1Vppと8Vpp時の周波数特性の測定を行いました。

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前回測定した反転入力系の結果とほぼ同等でした。参考として8Vpp入力時の応答波形を念のため掲載します。上が20KHz入力時、下が1MHz入力時の応答波形です。

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20KHz入力時は問題なく応答していますが、さすがに1MHz/8Vpp入力時の出力波形は、ほぼ三角波となってしまっています。実使用上はこのような高い周波数で大きな信号入力はないので問題ないと考えます。Cold出力系の測定も同様に行いましたが今まで測定してきた結果とほぼ同様でしたので、結果の掲載は省略します。

Lチャンネル通電確認

同様の手順でLチャンネル系の確認も行います。まずはオペアンプを装着せずにオペアンプソケットの各端子電圧を確認しました。3pinはGND電位のはずが値がふらついていました。電源をオフしてパターンを確認したところ怪しい点が見つかりました。

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上記の不良はすぐには見つからず、3pin付近をマクロレンズを装着したカメラで撮影して拡大したところハンダ不良が目視できました。年はとりたくないものです。再ハンダして確認したところGND電位となっている事が確認できました。

Lチャンネル動作確認

続いて、オペアンプを装着して信号の入出力を確認します。Rチャンネルと同様のセッティングをして電源オンしたところ、出力波形が発振していました。やれやれ!初めに電源-GND間のパスコンを確認しましたが、問題ありませんでした。パターン面をじっと眺めていたところ、入力端子台のGND配線を忘れている事に気づきました。

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基板実装はRチャンネルから行い、Lチャンネル実装完了間際は相当疲れていたため、注意力が散漫になっていた事が原因だと思います。追加の配線を行い再確認したところ発振は改善していました。

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R-ch同様に周波数特性の測定を行いました。反転入力、非反転入力、Hot出力、Cold出力についてそれぞれ測定を行いましたが、どの系統も特に違いがなかったので、代表としてLチャンネル反転入力Cold出力系統の結果を掲載します。

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オフセット調整回路動作確認

次はオフセット調整回路の動作確認を行います。信号を入力せずに出力をマルチメータで観測しながら半固定抵抗を回してみましたがほとんど調整ができません。下記が回路図です。

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電圧注入用のR07/R17の390KΩの半固定端子側の電圧をモニタすると、調整により電圧が変わっている事を確認できました。この事からR07/R17の抵抗値大きすぎる事が調整できない原因と考えられます。390KΩに100KΩ、47KΩとパラに抵抗を接続して調整動作を確認しました。

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徐々に調整感度は上がりましたが、今ひとつだった為、最終的にR07/R17の抵抗値を20KΩとしました。基板を荒らさずに4本の抵抗を交換する事ができました。

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下記が修正回路図です。

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次回は平衡不平衡変換基板の最後の確認項目の0dB再生時の動作シミュレーションを行います

 

つづく(製作編10)

DACユニットの検討(製作編8)

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製作編8

I/V変換基板組立の残りを行い、前回実装完了した平衡不平衡変換基板の通電と動作確認を行います。

I/V変換基板実装

製作編5で1KΩ抵抗4本の実装を残して終了していました。基板パターンは1/6Wサイズ前提で作られていますが、抵抗の在庫は1/2Wサイズのものしかなかった為、追加発注をかけていました。

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購入したものは、1/4W品でありながら1/6Wサイズ相当の小型金属皮膜抵抗です。さっそく実装してみました。

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キットの基板は、実装で余程の事をやらかさない限りおかしな事は起こらないので、通電確認は省略して後でまとめて動作確認を行います。

I/V変換回路

せっかくなのでI/V変換回路を改めて眺めてみました。下記が組立説明書に掲載されている回路図です。

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1KΩと2200pFで-6dB/Octの一次フィルターが構成されます。カットオフ周波数は約72KHzです。PCM1792Aは8倍オーバーサンプリングのデジタルフィルタが搭載され、フィルタの特性は下記のとおり謳われています。

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CDの場合fs=44.1KHzなので、デジタルフィルタが有効な4fs周波数は約176KHzとなります。上記の一次フィルターでは4fs周波数で-15dBも減衰できません。はたしてこんな軽いフィルターでいいのか気になります。仮にこの帯域以上の量子化ノイズが出力されても、High-ch用のパワーアンプが無帰還の真空管アンプの為、アンプの能力的にスピーカーまで出力される事はないので、現時点では気にせずにこのまま進める事にします。

平衡不平衡変換基板通電確認

最初にRチャンネルから行います。電源はユニバーサル電源から+/-15Vを供給しました。念のため過電流保護は50mAにセットしています。まずはオペアンプを装着せずに通電して、オペアンプ用ソケットの各端子の電圧を確認しました。念のため回路図(誤記訂正版)を再掲載します。

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電源端子以外は、GND電位で問題ありませんでした。一旦電源をオフしてオペアンプを装着します。秋月電子のMUSES01には8pinのソケットが添付されています。

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MUSES01のリードフレームは無酸素銅を採用しているため、端子の強度が弱くオペアンプの抜き差しで端子を曲げてしまう恐れがあります。添付のソケットに挿す事により、以降の抜き差しはソケットの端子が使われるので強度の問題はなくなります。リードフレームに無酸素銅を使用している意味がなくなる気がして、当初は添付のソケットを使用していませんでしたが、一回痛い目を見てから使用する事にしています。

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電源オンしましたが、出力オフセット電圧も問題なく正しく動作しているようです。続いて動作確認を行います。最初は1Vppの正弦波を入力して周波数特性を確認します。本記事のアイキャッチ写真が測定風景です。1KHzを入力して出力を40%に調整しました。下記が観測写真です。

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黄色が入力波形で、青が出力波形です。反転入力なので位相が反転しています。この設定で周波数を10Hzから1MHzまで振ってゲインの測定を行いました。次に0dB時を想定して入力電圧を8Vppに上げました。下記が周波数1KHz時の観測波形です。

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青が出力波形です。出力を40%に絞っているので波形のレベルは3.2Vppとなっています。特に波形の乱れはありません。1Vpp時と同様に周波数特性の測定を行いました。結果は以下のとおりです。

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出力を40%に絞っているのでゲインは約-8dBです。400KHzくらいまではフラットです。入力1Vppの時は、1MHzで約1dBゲインが上がっています。8Vpp入力時は約600KHzでピークとなりそれ以上の周波数で減衰していました。次回はRチャンネル非反転入力系の動作確認を行います。

 

つづく(製作編9)