製作編22
前回の記事で作成したバスケーブルを使って、2枚のDAC基板のモノラルモードの動作確認を行います。
モノラルモード動作確認
確認用に簡単なプログラムを作成しました。アドレス4FhのDAC基板に対して10秒毎にMONO-L, MONO-Rのコマンドを発行して、L-ch 1KHz 0dBのトラックを再生してDAC基板出力を確認します。作成したプログラムのソースは以下のとおりです。
改造したバニラシールドにバスケーブルを接続しました。
電源オンして、L-ch 1KHz 0dBのトラックを再生します。波形モニタのポイントは、IV変換基板出力の下記のポイントです。
最初の10秒は波形が出力され、続く10秒はゼロ出力となる事を確認しました。下図が出力波形です。
DACは単純にモノラルモードで動作するだけではなく、バランス出力を前提としてch2を反転して出力している事が確認できました。念のため、1KHz -60dB再生時のノイズレベルの確認も行いましたが、ステレオモード時と変わりはありません。
バスケーブルをつなぎ替えて、もう1枚のDAC基板も同様の確認を行いました。下図は1KHz -60dB再生時のノイズレベルの確認結果です。
1枚目の基板と結果に違いはありませんでした。
ステレオバランス出力モード確認
これが最終的な動作モードとなります。具体的には2枚のDAC基板にそれぞれMONO-L/MONO-Rの設定を行います。この為にI2Cアドレスが4Ehとなるバスケーブルを作成しました。バス用のピンヘッダの1ピンを空いている電源用ピンヘッダを利用してGNDに接続します。写真は作成したケーブルのコネクタ部です。
写真右側の3極のコネクタを空き電源ピンヘッダに接続します。次の写真が実際に接続した状態です。
使用したプログラムのソースのMain関数は以下のとおりです。
IV変換基板出力は全部で8chありますが、全て正常に出力されている事が確認できました。以上の確認によって、この構成でステレオバランス出力ができた事になります。
無音時の確認
以前の確認で無音トラックの再生時も波形出力されている事を確認していましたが、この波形がディザか否かを確認します。確認はPCM1792AのInfinite Zero Detect Mute Control機能を使用します。この機能はレジスタ19で設定できます。
この一覧中のINZDビットで上記機能を制御できます。下記がINZDビットの詳細です。
NZD=1とする事で無音時に完全にMute状態となります。この設定をMono R-chのみに行って、2枚のDAC基板出力を比較してみます。下記が確認用に作成したプログラムのソースコードです。
このプログラムを使って無音トラック再生時の出力波の確認を行いました。下図が比較結果です。
下の波形がINZD設定を行ったDAC基板出力です。思ったとおり、Mute処理をすると波形出力が止まる事が確認できました。この結果から上の波形はPCM1792Aが生成しているディザ信号である事が確認できました。現状はIV変換回路の1次のフィルタのみで量子化ノイズを落としていますが、追加でフィルタが必要となりそうです。次回はIV変換基板出力と平衡不平衡基板を接続して、全基板の動作確認を行います。
つづく(製作編23)