DACユニットの検討(まとめ編1)

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まとめ編1

ブレッドボード版のDACユニットが完成したので設計と評価のまとめを行います。

DACユニット設計概要

今回の製作は、デジットキットのDAI基板、DAC基板、IV変換基板を流用して、同軸デジタル信号入力、アナログバランス出力のDACユニットです。DACはICをモノラル動作させて特性の改善を図っています。全体のブロックは以下のとおりです。

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パルストランスを搭載した絶縁基板、平衡不平衡変換回路基板、電源基板は自作しています。各基板について簡単にまとめます。

絶縁基板

この基板は、同軸デジタル信号をパルストランスを使って送り出し側の装置と絶縁しています。写真は搭載したパルストランスFC13-31です。

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説明書としてデジットキット版のドキュメントが添付されていました。

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DAI基板の入力側にCとRが実装されていた為、この基板には最終的に端子台を除きパルストランスのみの実装となりました。上記の写真のコンデンサはショート、抵抗はカットしています。動作時の二次側の波形はこんな感じです。

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DAI基板

この基板は、デジットキット「DAIトランシーバ実験基板WM8805_G Rev.2」を一部改造して使っています。この基板にはWolfson社のWM8805と12MHzのクロック用に高精度発振モジュールが搭載されています。写真はキット組立後の外観です。

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回路図は以下のとおりです。

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搭載されたDAI ICで同軸デジタル信号を24ビット左寄せのオーディオシリアル信号に変換しています。写真はオーディオシリアル信号出力のLRCKとBCKのモニタ結果です。

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このDACユニットはDACをモノラルモード動作させるために、DAC基板を2枚使用します。2枚の基板にオーディオシリアル信号を出力するために改造を行なっています。内容はR15Gを取り外し、CN10Gの3pinとCN9Gの3pinを接続して、CN9Gを2個目のオーディオシリアル信号出力としました。DAI ICの設定は、基板に搭載されているジャンパピンの差し替えで必要な設定が行う事ができたので、ハードウェアモードで使用しています。

DAC基板

デジットキット「D-Aコンバータ単独基板 DAC_1792_B」を使用しています。搭載DACバーブラウンのPCM1792Aです。組立後の外観は以下のとおりです。

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下の図が回路図です。

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入力はオーディオシリアル信号で出力はバランスの電流出力となっています。モノラルモードで使用しているため、R+/R-/L+/L-の4つの信号がバランス電流出力されます。出力電流仕様は以下のとおりです。

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PCM1792AはマルチビットとΔΣ変換のハイブリッド構成のICで、マルチビット方式とΔΣ変換方式のいいとこ取りをして、リーズナブルな価格で最高の性能を提供する事がこの方式の狙いです。このDACには強力なデジタルフィルタが搭載されていて、その特性は以下のとおりです。

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この基板をモノラルモードで使用したため、2枚実装しました。モノラルモードの設定は、基板上のジャンパピンでは対応できないため、I2Cコントロールによるソフトウェアモードで使用しました。ソフトウェアモードで利用可能な機能は以下のとおりです。

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今回はこれらの機能を使用する為にI2Cバスでコマンドを発行しました。バス上のアドレスは、基板上のジャンパピンで設定可能です。

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L-chを0xFF、R-chを0xFEとして使用していますが、1つのI2Cバスで最大4個のDAC ICに対して簡単にコマンド発行できる仕様となっています。次回もまとめの続きを行います。

 

つづく(まとめ編2)