ローノイズ真空管アンプ(設計編3)

設計編3

オスの航空コネクタ(パネル用)使って感電リスクを下げる回路検討を行います。

単純な置き換え

まずはXLR5極を単純に航空コネクタに置き換えてみます。

5極コネクタの部分は両側がオスで図面上接続できませんが、間に両側がメスコネクタが付いたケーブルが入ります。このコネクタには、AC220VとAC11.3Vが印加されますが、両電圧は電源トランスユニットの電源スイッチをオンすると通電されます。ケーブルを挿さずに電源オン状態で、このコネクタのピンに触れると感電します。この感電リスクを下げる為の仕組みを考えてみます

感電対策

具体的には、電源トランスユニットの5極コネクタにケーブルが挿さっていない時には220Vがこのコネクタに通電されないようにする必要があります。物理的な方法と電気的な方法があるとおもいますが、自作では物理的な方法は難しいと考えて電気的な方法を検討しました。検討結果は以下のとおりです。

点線の右側がアンプユニット側で、左側が電源トランスユニット側です。電源トランスユニット側に12V駆動の電源リレート、その電源を追加しています。5極の航空コネクタには、AC220Vラインの他に、電源スイッチ用の配線をしています。電源スイッチ配線には、電源トランスユニット側で生成した12Vが印加されます。電源オンすると、電源トランスユニット側に追加したパワーリレーがオンして全体の電源が入ります。この回路の場合、5極の航空コネクタケーブルを挿さずに電源トランスユニットの電源を入れても、DC12V以外はコネクタ端子に印加されません。必要なXLRコネクタは5極の代わりに2極が必要となります。XLRコネクタ一覧を更新しようとサウンドハウスの商品ページを検索しました。あれれ!2極のXLRコネクタはラインナップされていません。仕方がないので、2極と3極のコネクタを5極で置き換える事にしました。回路図は以下のとおりです。

これでコネクタの部品調達もクリアできます。XLRコネクタ一覧は以下のとおりです。

3極のコネクタ群を削除できて結果オーライです。

アンプユニットのケース選定

元のアンプはリードのMK-380を使用しています。電源トランスユニットを削除できる事から、ワンサイズ下のケースを前提に検討をしてみます。下記がMKシリーズのサイズ概要です。

MK-350は、真空管ヘッドフォンアンプで採用した事がありますが、シャーシ内高がMK-380に比べて10mm低く40mmです。部品配置に気を使いましたが、今回もトライしてみます。配置検討は、シャーシ加工図を作成して大物部品の配置ができる事を確認しました。元々の1号機のシャーシ加工図は以下のとおりです。

中央の四角形が電源トランスです。これを外だしする代わりに1回り小さいケースに納める事になります。配置の検討結果は以下のとおりです。

奥行き方向寸法が30mm短くなった事から、出力トランスとバイアス基板をオーバーラップして配置しました。また、大型電解コンデンサ3本は電解コンデンサークリップを使ってシャーシ上に立てて配置します。電解コンデンサークリップは、以下のものをモノタロウで見つけました。

驚きの価格です。需要があまりない為と思われます。この加工図面には配電用のL字ラグリ板とテスターリード用のソケットなどの取り付け穴がありませんが、加工中に現物合わせで追加したいと考えています。まずはざっくり配置してみて、問題なく部品実装できそうな事が確認できました。加工前に改めて詳細確認の上で加工図をアップデートする予定です。次回は電源トランスユニットのケースを検討します。

 

つづく(設計編4)