真空管アンプのハム対策(番外編35)

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番外編35

真空管HPアンプのハム対策を続けます。

トランスの取り付け向きの変更

ネット上の情報に従って、出力トランスの取り付け向きを90°回転させて効果の確認を行ってみます。取り付けネジを外して向きを変更しようとしましたが、配線長が足りずにそのままの状態では試す事ができませんでした。仕方がないので、つっぱる配線を継ぎ足して向きを変えられる状態としました。写真はアンプのリア側から撮ったもので、出力トランスを90°回転させた状態です。

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ネット上の情報のとおり、ハムのレベルは明らかに下がりました。固定方法は、当初L字アングルを使って、出力トランスのオリジナルの取り付けフランジを使う事を考えましたが、L字アングル自体の取り付けに場所が必要で追加工も必要となるため、出力トランスの取り付けフランジを90°曲げて、当初の取り付け穴に固定する事としました。

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取り付け強度は明らかに不足しますが、自室使用に限定される事と、別途トランスカバーを考える事として、この方法で進める事としました。写真は配線をフォーミングして実際に取り付けた状態です。

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反対のチャンネルも念のため事前に効果の確認を行いました。

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同様の効果が確認できた為、正式に取り付けを行いました。写真は両方のチャンネルの出力トランスの固定を変更した状態です。

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さすがに格好が悪い事と、ネジのゆるみで出力トランスがぐるぐる回ってしまう事を防ぐ為にトランスカバーを検討してみます。以前にアマゾンで真空管を検索した際に目についたアルミ製のトランスカバーを探しました。

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1個2,480円です。サイズ的にも十分で、シャーシ上にも搭載できそうです。注文して数日で到着しました。本体は胴の部分と蓋の2ピース構成です。蓋と本体取り付け用にM4のネジが8本付属します。寸法図は見つからなかったので、寸法測定して加工図を作成しました。

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トランスを取り付けた状態で、ポンチが打てるように図面を工夫しています。具体的には、加工図を写真のとおり切って(一点鎖線がカット用線)出力トランス部に被せます。

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この状態で、取り付け用のネジ穴のセンター各4点にポンチで印を付けます。加工図を剥がして、シャーシ内の部品の配置の都合で、各カバー固定用に3点に4.2mmのドリルで穴をあけました。写真はカバーの胴の部分を取り付けた状態です。

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だいぶ見た目が変わりました。最後にトランスカバーに蓋を取り付けるとこんな感じになりました。

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見た目だけでは、出力トランスが電源トランス以上に立派に見えます。尚、本記事のアイキャッチ写真は、ボトムカバーを取り付けた状態の写真です。この状態で、万が一出力トランスの取り付けネジが緩んだとしても、トランスカバー内でトランスの向きが動くだけなので、故障時のリスク低減ができると思います。

ハムの確認

事前の確認時と同様にカナル型ヘッドフォンをヘッドフォン端子に接続して耳に装着します。この状態で電源オンすると、従来は電源オンの瞬間からプリウス低速走行時の疑似モーター音ににたハム音が大きく聞こえましたが、対策後はわずかに聴こえるのみです。カソードが暖まり、アンプが動作を始めると、負帰還によってわずかに聞こえたハムも全く聞こえなくなりました。当面、この状態で運用したいとおもいます。今回の教訓としては、実使用状態を考慮した出力トランスの配置の事前確認は必須と感じました。5回に渡り、番外編としてハム対策を行いましたが、そこそこの効果が得られたので今回で終わりとします。おつきあいありがとうございました。

 

おわり(番外編35)