番外編32
今回はマルチアンプシステムのスコーカーチャンネル用のEL34SGLパワーアンプのハム対策を行います。
EL34SGLパワーアンプ状況
製作後の確認で、スコーカーに耳を近づけるとハムが聞こえましたが、リッスニングポイントでは聞こえないレベルだったので、対策を見送っていました。その後、システムを3wayマルチアンプ化した際に、スコーカーとツィーターのアッテネータも削除した事で、スピーカーの実効的な能率が高くなり、ハム問題が健在化していました。このアンプは差動入力で初段を定電流ダイオードを使用した差動アンプ構成をとっている為、同相入力のノイズに対しては強くなっています。
ハムレベルの確認
スピーカーでハムのレベル確認では効果がわかりにくいため、ヘッドフォンで確認する事にしました。ヘッドフォン接続用にちょっとしたジグを作成しました。
この接続アダプタをアンプのスピーカーターミナルに接続します。インピーダンスをあわせる為に、並列に10Ωの抵抗も接続しました。
この状態で一旦ハムのレベルを確認します。入力を無信号状態で電源オンします。とてもヘッドフォンアンプとしては使えない状態のハムのレベルです。但しL/Rチャンネルはほぼ同等のレベルで高調波も含んでいます。気を取り直して検討の準備を進めます。検討時にアンプを逆さに置く必要があるので、ボンネット上に保護用のダンボールを貼り付けました。
これで検討用の準備は完了です。
2匹目の狢
前回の改善検討で効果のあった入力配線のループ縮小による対策を行ってみます。写真は、入力回路配線部分です。R-chの配線は外した後ですが、L-ch配線は大きなループができています。
このアンプですが製作当初は負帰還構成をとっていて、途中で無帰還に変更した事から、負帰還回路用の一部の抵抗が実装されたままとなっていました。
具体的にはR05とR06は外していましたが、R03とR04が実装されたまま残っていました。今回の対策で残った抵抗も外してしまう事にしました。写真は対策後の入力配線です。
だいぶ配線がすっきりしました。期待しつつ電源オンしてハムのレベルを確認します。やや改善したものの残念ながら抜本的な効果はありませんでした。他の対策を探すしかありません。
追加対策検討
真空管HPアンプの検討時と同様に、感電に注意しつつノイズに関連している回路を探してみました。触ればノイズが増える部分はありましたが、現状聞こえているノイズがそのまま増えるようなポイントは見つかりませんでした。
アンプの部品配置の影響
本アンプは初段に12AX71本と、終段がシングルデュアル構成の為、EL34が2本の構成です。この為、初段真空管を電源トランス前に配置し、終段をその脇に2本並べて配置しています。
初段は差動構成としていますが、ノイズに敏感な部分の為配置の影響が気になりました。試しに、前回の記事で購入した銅板を電源トランスと初段真空管の間に挿入したところ、高調波ノイズが押さえられました。但し銅板がシャーシに触れると効果がなくなります。また、銅板を絶縁した状態で間に置いても効果あがありません。
私が手に持って間に挿入している時のみ改善効果があります。理由はわかりませんが、これでは対策がとれません。他の方法を検討せざる得ません。次回は対策検討の続きを行います。
つづく(番外編33)