真空管アンプのハム対策(番外編33)

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番外編33

EL34SGLパワーアンプのハム対策検討の続きを行います。

新たな対策検討

前回は、入力回路配線変更と銅板によるシールド対策が期待した程の効果がなかった為、新たな対策を検討します。前々回の記事の最後に書いた透磁率の高い材料を磁界を誘導する形で置いてみる事にしました。まずは金属の透磁率を確認してみました。理解しやすいように真空の透磁率との比を示す比透磁率を確認してみます。空気中はほぼ比透磁率は1なので、比透磁率がその材料の空気中と比べた磁束の通し易さを示す事になります。注意点としては、一定量の磁界を越えると磁気飽和して比透磁率は1に下がるので、効果を保には、ある程度の厚みが必要となります。

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手軽に入手可能な材料で比透磁率が高いものは鉄です。まずは初段の真空管にスチールの缶を被せてみる事にしました。スーパーに適当な缶を探しにいきました。目についたのは、トマトジュースの缶でした。片側を缶切りで全面カットし、洗って乾燥させて真空管に被せてみました。

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最初はそのまま被せてみました。銅板の時と同様にかぶせる際には、ハムの高調波が消えて効果がありますが、手を離すと効果がなくなります。次に、シャーシに触れる缶の縁の部分に絶縁テープを貼って被せてみました。残念ながら状況は全く変わりませんでした。せっかくなので、電源トランスに対策を試してみました。手頃な缶がなかった為、16cmの鉄製の片手持ち鍋を被せてみましたが、これも効果がありませんでした。一旦シールドによる対策検討はあきらめて、他の対策検討を行います。

回路対策

だめもとの範疇ですが、手持ちの100uF/400V品の電解コンデンサを効果がありそうな部分に追加接続してみました。対象は電源回路です。

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上記回路で400V品の電解コンデンサが実装されている3カ所に順番に接続して効果を確認しました。

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最初はトランジスタを使ったリップルフィルター用の電解コンデンサに追加接続します。元々、100uFが接続されているので、追加接続で2倍の容量になります。ショートしないようにワニグチクリップ電線で接続して電源オンしました。結果は残念ながら効果はありませんでした。その後、初段の平滑用電解コンデンサと、大元の平滑用電解コンデンサ部に接続して確認をしましたがどちらも効果はありませんでした。対策のアイデアが尽きたので、EL34SGLアンプの対策検討は一旦終わりとします。今回の検討でやや効果があった項目は、入力の配線変更のみでした。

せっかくなので

この機会に、ハムの問題が発覚していないEL34ppアンプの確認を行ってみます。このアンプは、マルチアンプシステムのツイーター駆動用として使用しているので、万が一ハムが出力されていると、直結しているツイーターに悪影響を与える事になります。このアンプもEL34SGLアンプと同様に、製作当初は負帰還をかけていましたが、運用の途中で帰還を外しました。回路上に残骸が残っているので、不要な配線と部品を削除したいとおもいます。検討用に、ヘッドフォン接続用ジグを出力に接続し、シャーシ内をいじる為に、ボンネットにダンボールを貼り付けて検討可能な状態としました。ボトムカバーを外すとこんな感じです。

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真空管アンプ製作1号機なので、最近の製作と細部が違っています。この状態でハムを確認してみました。ヘッドフォンを接続して電源オンします。ほぼホワイトノイズですが、その奥の方にかすかにハムが聴きとれます。製作した3台の真空管アンプを比較すると、初号機が一番優秀です。対策検討する必要がないレベルですが、次回負帰還の残骸の削除を行い、確認を行います。

 

つづく(番外編34)