オシロFFT活用検討(運用編1)

運用編1

製作したフィルタ回路を使って自作アンプのハム特性の測定を行います。

追加測定準備

前回の記事で、アンプの出力に接続するダミー抵抗を作りました。フィルター回路へは、ダミー抵抗の両端から信号入力します。残るGND入力の接続に困ってしまいました。シャーシがGNDに落ちているのでワニグチで加えて接続する事も可能ですが、測定結果に疑義が発生する事からやめました。ブログ開設時に購入したバランスモノラルアンプに付属されていたアンバランス用に入力アダプタがある事を思いだし、確認してみました。

分解してみると、アンバランス入力がHotピンへ入力され、GNDがColdピンとGNDピンに接続されていました。

意図は理解できますが、バランスアンプのメリットを殺してしまう使い方だとおもいます。このアダプタのGNDおColdピンの接続をカットしてRCAコネクタのGNDをフィルタ回路のGND端子へ接続するようにしました。

こんどこそ測定準備完了です。

ハム観測1

最初はトランジスタアンプのハムの観測をします。対象のアンプは現行のマルチアンプシステムのHigh-ch用のアンプとLow-ch用のアンプとします。High-ch用のアンプは一般的な構成で、リファレンスとして観測します。このアンプの内部は以下のとおりです。

電源回路図は以下のとおりです。

終段用コンデンサインプット電源の平滑用電解コンデンサは33,000uFx2です。電圧増幅段用電源は三端子レギュレーターを使用しています。Low-ch用アンプは、トランスのみ別筐体に納める事で大容量化しています。

終段用の電源は単純な全波整流回路ですが、整流用の電解コンデンサとして10,000uFx10個を使用しています。このアンプの電源回路は以下のとおりです。

アンプ本体の構成は、電源トランスが無い分シンプルとなっています。電圧増幅段用の電源は、誤差アンプにオペアンプを使った安定化電源を採用しています。今までの経験では、終段用電源のトランスや平滑用コンデンサの容量アップをすると、低音の安定感が増す事を体感していますが、音質上の弊害はあまり意識した事はありませんでした。それ以外の弊害としては、トランスの唸りが増す事や、電解コンデンサへのチャージのピーク電流が高くなる事による電解コンデンサの温度上昇、物量増に伴う筐体の大型化等ありましたが、メリットとデメリットの差し引きでプラス判断を行ってきました。2台のアンプのハム測定により、電源の大容量化にともなうデメリットをハムレベルの観点で数値化してみたいとおもいます。どちらのアンプも全波整流回路を使用しているので、ハムの基本周波数は100Hzとなります。

測定

最初にHigh-ch R-chのアンプのノイズ特性を測定してみます。本記事のアイキャッチ写真が測定風景です。測定はAVE64設定として、ジャンパSWを切り替えてHot, Cold, Balanceの3モード測定しました。結果は以下のとおりです。

上からHot, Cold, Balanceモード時の結果です。それぞれのピークレベルは-82.8dB, -78.4dB, -92.0dBでした。Balanceモードではハムが打ち消されて小さくなっているように見えます。-92.0dBの正弦波のピークレベル相当の電圧は10uVpp(0.4x10E(-92/20))となります。この値がどういったレベルなのか正直のところよくわかりませんが、次回測定するLow-ch用アンプの結果と比較してみたいとおもいます。

 

つづく(運用編2)