High-ch用アンプ製作(製作編17)

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製作編17

注文したインダクタが届いたので、発振対策の続きを行います。

発振対策2

前回の記事で発注したインダクタが届きました。

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2品種がラジアルリードタイプで、1品種がトロイダルコアタイプです。実装を考えると、1番小型なラジアルリードタイプで対策したいところです。改めて電源回路図を掲載します。

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検討をどちらのチャンネルで行うかを決めるために、現状で終段の真空管を片チャンネルのみとして発振波形を比較してみました。

■Lチャンネル発振波形

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■Rチャンネル発振波形

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Rチャンネルのヒーター回路からC電源を生成している事からRチャンネルの方が状況は悪いと予想しましたが、結果は逆で、Lチャンネルの方が状況が悪い事が確認できました。検討はLチャンネルで行います。初めにLチャンネルヒーター回路のホット側にインダクタを取り付けてみました。取り付けたインダクタは今回購入した中で1番小型な10uH品です。

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残念ながら状況はあまり変わりませんでした。さらにヒーター回路のGND側にも追加しました。

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今度は期待しつつ、電源オン。おっ、発振消えました。

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良かった。続いてこの状態で外したRチャンネルの終段真空管を取り付けて状況を確認しました。

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やっぱりな結果です。めげずに、Rチャンネルのヒーター回路にもインダクタを取り付けます。トータルで4個取り付けました。

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期待しつつ電源オン。やりました、発振とまりました。しばらく様子を見た上で、電源オン・オフも繰り返しましたが問題ありません。これを対策とします。4個のインダクタの実装をどうしたものかと暫し考え、インダクタの天面に両面テープを貼ってシャーシ接着し、且つ、リードとともに固定する事にしました。

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見た目も最低限許せる範囲で実装ができました。ヒーター回路へのインダクタ挿入は特性への影響もないと考えられます。最終的な対策回路は以下のとおりです。

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初段電流調整

初段の電流設定用の定電流ダイオードを20本購入した為、初段製作時に気になっていたL/Rチャンネル間の電流値のアンバランスの解消検討をします。参考に製作時の測定結果と回路図を改めて掲載します。

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Rチャンネルの定電流ダイオードを選別によって選定します。測定回路は、実使用状況に合わせました。

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地道に1本1本測定を行います。

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結果は以下のとおりです。あまり細かく分けても仕方がないので、小数点以下2桁目を四捨五入しています。

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後の事も考えて結果毎に分けて保管しました。

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1.0mA品から2本を取り出し、Rチャンネルの定電流ダイオードと交換しました。電源オンして、初段真空管の各ピンの電圧を再測定します。結果は以下のとおりです。

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いい感じに動作点が揃ったとおもいます。

終段真空管の選別

次はIp調整がしきれなかったRチャンネルの終段真空管を交換してみます。改めて前回の測定結果を再掲載します。

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RチャンネルのIpがボリュームをめいっぱい回しているにもかかわらず、プッシュプル間の偏差が10%以上残っています。何も考えずに、在庫真空管と交換してみました。バイアス調整用のボリュームを回しても、出力トランス1次側のドロップ電圧が変化しません。どうやらこの球は不良のようです。気を取り直して、さらに交換してみました。この真空管はちゃんと動作してます。今回はそこそこ調整できました。合わせてLチャンネル側も再調整をおこないました。

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これで調整も含めて製作は完了です。次回は周波数特性の測定を行います。

 

つづく(まとめ編1)