無帰還広帯域真空管アンプ(製作編11)

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製作編11

ヒーター配線が完了したので点灯確認を行い、B電源の評価の続きを行います。

ヒーター点灯確認

事前の通電確認で真空管ソケットのヒーター端子の電圧確認を行っているので問題なく点灯確認ができるはずです。意を決して電源オン。各真空管のヒーターがゆっくりと赤くなっていきますが・・・。R-chの初段の真空管2本のヒーターが点火しません。事前の通電確認では問題なかったのに??一旦電源を落として配線を確認します。すぐに原因がわかりました。配電用のL型ラグ部のいもハンダでした。再度ハンダし直して、改めて電源オンしました。無事R-ch初段真空管のヒーターも点灯しました。

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現状のシャーシはこんな感じです。

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真空管のヒーターは、ソリッドステートにはない暖かみを感じます。音は出なくとも、眺めているだけで心が和む気がします。いくらでも見ていたいところですが作業が進まないので切り上げます。6本の真空管を取り外してB電源の検討が再開できるようにします。

B電源検討続き

前回の確認では、負荷電流を56mAまで流しました。負荷用の抵抗(4.7kΩと10kΩ)を追加で5組購入したので、動作確認を再開します。

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前回の検討では、負荷抵抗を平型ラグ板とGND配電用のLラグ板に取り付け、各抵抗を電線で接続しました。作業性が悪く危険なので、平型ラグ板のみで構成できるように、片側のラインをGND接続しました。負荷抵抗を両側の端子に取り付けてその抵抗同士を接続するだけです。

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最大10kΩと4.7kΩの直列抵抗を9個パラレル接続まで確認しました。最大負荷時の負荷抵抗は約1.6kΩとなります。結果を表にまとめました。

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最大負荷時の負荷電流は92mAで、その時の出力電圧は147Vまで下がりました。リップル電圧も大きくなりましたが、動作上は破綻していませんでした。参考に最大負荷時の波形の観測結果を掲載します。

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上からそれぞれ出力電圧、リップル電圧、チョークコイル印加電圧の観測結果です。チョークコイルには全波整流後の全振幅電圧で振れていますが、チョークに流れる電流はリップル電圧の観測結果から途切れてなさそうです。状況を理解しやすいように結果をグラフ化してみました。

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まずは負荷電流vs出力電圧です。電流が増えると出力電圧は下がっていますがチョークコイルの抵抗成分に起因すると考えられます。アンプの消費電流の設計値は66mAですが、その時の出力電圧は約155Vと設計値よりも約10V低くなっていました。次は負荷電流vsリップル電圧をグラフ化しました。

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負荷電流が30mAを越えたあたりからリップル電圧が安定しました。これが臨界電流なのでしょうか?以上の結果から、チョークインプット電源としては、それなりに動作している事が確認できました。

B電源課題

本アンプに上記で動作確認を行ったチョークインプット電源を使用する場合の課題を整理します。

1.臨界電流を流す為のブリーダ抵抗を取り付けると、実動作時の出力電圧が設計値よりも下がる

2.それなりの電流を流さないと初段の真空管の絶縁定格を越えてしまう

2項は出力電圧を180V以下とする必要がありますが、その場合30mA以上電流を流す必要があります。ブリーダ抵抗で30mA電流を流してしまうと、終段が動作した際のトータルの負荷電流は約100mAとなり、電源電圧が設計値よりも大幅に下がってしまいます。さてどうしたものか・・・。次回の記事までに対応を考えたいとおもいます。

 

つづく(製作編12)