終段スイッチング電源検討(製作編9)

製作編9

製作に備えて終段用トランジスタの選別を行います。

終段トランジスタ

終段のトランジスタは、サンケン電気の2SC3851Aとコンプリメンタリ品の2SA1488Aです。前回の記事でも触れたとおり、発注時2SC3851Aの在庫がなく11月入荷予定となっていました。仕方がないので2SC3851Aは手持ち在庫を使用し、在庫が豊富にある2SA1488Aを20個注文しました。手持ち在庫品の両トランジスタのhfe分布は以下のとおりです。

見てのとおり、両トランジスタの分布の中心は離れていて、マッチペアを取り尽くした状態です。

2SA1488Ahfe測定

過去に作成したhfe測定ジグを引っ張り出し、PNPパワートランジスタhfe測定用にジャンパピンを使用して回路を組みました。回路図と現物は以下のとおりです。

過去に測定済みのトランジスタは、番号を振った袋に入れて保管しています。

手順は、ICソケットにトランジスタをセットして、電源オンし、エミッタ抵抗の両端電圧が1Vとなるようにボリュームを回してベース電流を調整します。その時のベース抵抗印加電圧を確認してベース電流を算出します。エミッタ抵抗の両端電圧の観測は、調整しやすさから、アナログ式のテスターを使用しています。

hfe測定時のトランジスタの消費電力は0.4Wですが、それでも徐々に温度が上がります。温度が上がるにつれて、Vrbが減少し、Icが増えていきます。テスターの値が安定するまで待ってからVrbをメモします。20個の測定は地道で、無心に行いました。結果は以下のとおりです。

表の網かけ部分が今回測定したトランジスタの結果です。手持ち在庫品に比べてhfeが高くなっています。先ほど掲載したhfe分布グラフに測定結果を追記してみました。

今回のトランジスタのhfe分布は、手持ちNPN品の分布よりも逆に高くなっていて、効率良くコンプリメンタリペア品の確保はできませんでした。選別結果は以下のとおりです。

残念ながら4ペアしか選別する事ができませんでした。今回の製作では、トータル12ペアが必要です。追加で2SA1488Aを購入しても必要数量確保できるとは思えません。さてどうしたものか・・・。

ドライバ段トタンジスタ

2021年の後半に余ったケースを利用して、High-ch用のトランジスタアンプを製作しました。その時にドライバ段と終段で使用したトランジスタが余っている事を思い出しました。東芝製2SC3422Y/2SA1359Yです。当時もコンプリメンタリペア選別を行いましたが、その時の結果を確認してみました。

編みかけのトランジスタは使用済みですが、まだペアが残っていました。今回ドライバ段のみの使用なので4ペアあれば済みます。念のため特性比較をしてみました。

ドライバ段はバイアス電流が39mAでアイドル時の消費電力が0.3Wなので十分な特性です。念のため、放熱器なしの場合の許容損失も確認してみました。

これも問題ありません。ドライバ段をこのトランジスタに変更する事で、終段に必要なトランジスタのペア数を12から8に減らす事ができました。今回は水色の網かけのペアを使用します。

忘れないうちに回路図に反映しておきます。

あと4ペアの確保を追加で2SA1488Aを購入で対応する覚悟を決めました。次回は他のトランジスタの選別を行います。

 

つづく(製作編10)