終段スイッチング電源検討(製作編21)

製作編21

アンプ基板の通電準備が完了したので、通電と調整を行います。

通電環境準備

アンプ基板は、+/-12V電源を2系統必要ですが、通電確認の際は1つの+/-12V電源で駆動します。電源供給はユニバーサル電源を使用します。過電流保護は70mAに設定しました。各部電圧はマルチテスターで測定し、出力はオシロスコープで出力波形をモニタします。セットアップ環境は、本記事のアイキャッチ写真のとおりです。

通電確認

まずはボリュームがプリセット状態で電源オンしてみました。案の定回路は発振しています。出力波形は以下のとおりです。

発振周波数は5.18MHzです。一旦電源を切り、発振対策をします。発振対策用にコンデンサを4種類購入しています。

22pF品は間違って10個入りを8袋買ってしまいました。他は8個なので正規の袋ではない為、容量表記がありません。久しぶりにLCRメーターをひっぱり出して測定をしてみました。

残念ながら容量が小さすぎてunknown表示となっています。もしやと思い、現品を6倍のルーペで確認したところグレーの文字で容量表記がされている事に気づきました。購入したコンデンサは10pF, 12pF, 15pFでした。気づいたタイミングはすでに22pF品取り付け後だったので、回路図どおり22pFで発振対策を行いました。取り付け位置は、2段目PNPトランジスタのベースとコレクタ間です。取り付けがし易いように、トランジスタのリードをカットせずに残していました。そこへコンデンサを取り付けます。

改めて通電確認を行います。電源配線をやり直して電源オンしたところ、発振が止まっている事を確認しました。

調整

調整のポイントは、2段目の差動アンプの電流とバランス、そして出力オフセットおよびドライバー段のバイアス電流です。改めて回路図を掲載します。

半固定抵抗をプリセットしている為に、回路は以下の状態となっていました。

1)ドライバ段のバイアス電流は設計値よりも大幅に小さい

2)出力オフセットは大きくないもののそれなりにある

3)2段目の差動アンプ回路電流は設計値よりも小さい

1)項は負帰還がかかっているので、オフセットが小さくなるように回路が辻褄を合わせています。そのしわ寄せが2段目差動アンプのバランスに現れます。具体的には出力と反対側のトランジスタ電流が小さくなる事で出力オフセットが小さくなるように2段目差動アンプ出力側のトランジスタ電流が決まっています。従って調整の順番は、以下となります。

1)R12の電圧が設計値となるようにVR2を調整する

2)出力オフセットが小さくなるようにVR1を調整する

3)ドライバ段のトランジスタのエミッタ電圧が設計値となるようにVR3を調整する

上記を何回か繰り返して行うと調整完了です。調整後のドライバ用トランジスタに触ってみると、熱いながらもずっと掴んでいられる状況でした。調整後のユニバーサル電源の供給電流は以下のとおりでした。

+12V電源が55mAで、-12V電源が49mAでした。この差は初段のブートストラップ回路の基準電圧生成用に+12V電源から4.8mA消費している事に起因しています。各部電圧は以下のとおりです。

1枚目の基板の調整は無事に完了しました。2枚目以降の基板の調整は次の記事で報告します。

 

つづく(製作編22)