終段スイッチング電源検討(製作編51)

製作編51

製作したデータロガーを使用してアンプ終段のバイアス電流値の変化を観測します。

データの保存

前回の記事で作成したデーターロガーの精度確認を行いましたが、データの取り込みに関しての説明が漏れていました。過去IDEでは、シリアルモニタ画面の表示をコピー&ペーストができましたが、今使用しているIDEでは、全データのコピーができませんでした。ネット検索したところ、Teratermを使用するとシリアルモニター出力を簡単にログ保存できる事がわかりました。早速ダウンロードして、立ち上げてみました。起動後にシリアルデータを選択したところ、以下のダイアログが表示されてモニターできません。

IDEのシリアルモニタ機能をオンしていた事に気づきオフにして、再度Teratermを起動したところ、無事シリアルモニタ出力をログ取り込みする事ができました。

これで観測準備完了です。

終段バイアス電流モニタ準備

改めてアンプの回路図を掲載します。

R-chはアンプが冷えている時に発振する為、L-chを使って測定します。測定ポイントは、Hot側のパラレルプッシュプル構成となっている片側のコンプリメンタリペアとしました。信号の引き出しは、ICのリードを掴むチップリードを使用しました。

これでエミッタ抵抗のトランジスタ側のリードを掴みます。オシロスコープのGNDの配線は迷いましたが、アンプのFGとしました。接続してアンプの電源をオンしたところ、発振波形が観測されました。

電源投入後のリレーオフ状態では、発振していませんが、オンになった瞬間に発振してしまいます。測定用のチップリードを外すと発振が止まる事から、L-chも発振余裕があまりない状態の様です。やれやれ、せっかくデータロガーを製作したのにどうしたものか・・・。

電源ノイズ対策見直し

アンプの発振対策を進めるにあたり、フェライトコアを使った電源ノイズ対策の見直しを行います。きっかけは、R-chのドライバ電源ラインにフェライトコアを取り付けると、アンプがおもいっきり発振する現象を確認したからです。

フェライトコアは、コモンモードノイズを熱に変えて減衰させますが、その帯域にインピーダンスが発生する事を意味します。そのインピーダンスは、抵抗性であれば問題ありませんが、おそらくインダクタンス特性を持つと考えられます。今回は、コモンモードノイズと、発振周波数の周波数が近く、コモンモードノイズに有効な電源ラインに取り付けたフェライトコアは、発振現象に対しては悪影響を与えた為に発振したのではと考えました。そこで、スイッチング電源のACライン以外の電源線に取り付けたフェライトコアをすべて一旦取り外してみました。その状態の電源ノイズは以下のとおりです。

正直なところ、そんなに悪くなった気がしません。

発振対策

この状態で改めて、L-chにデータロガー用のチップリードを取り付けて発振対策を行いました。まずはいろんな配線に触って、発振の状態を確認しました。その結果、温度補償用のトランジスタ配線にフェライトコアを取り付けると、改善する事がわかりました。

これで終段バイアス電流の観測ができます。

終段バイアス電流観測

Arduino UNOとPCを接続し、PCでTeratermを立ち上げれば、測定準備完了です。あとはアンプの電源を入れてヒートシンクの温度平衡を待つのみです。

念のため、測定値をオシロスコープでモニタして発振していない事を確認しています。測定は1時間強行いました。ログを保存し、CSVファイル化してexcelで読みとってグラフ化しました。結果は以下のとおりです。

電源オン後、約2分でピークに達し、その後は減少しています。温度補償用のトランジスタを、終段トランジスタの背中に付ければ、このような温度補償の遅延の発生を防ぐ事はできますが、メンテナンス製が悪化します。NPNとPNPで電流値がアンバランスですが、並列接続されたコンプリメンタリトランジスタとのバランスと、接続しているスピーカーの影響によるものと考えます。設計値は3.8Aですが、攻めた設定はできなかった事からこのような結果となっています。さて次回は何をしようかじっくり考えてみます。

 

つづく(製作編52)