評価編4
ジグが完成したのでお試しで製作した安定化電源にジグで負荷をかけてみます。
お試し負荷試験準備
負荷試験は使用環境であるチャンネルデバイダに製作した安定化電源を組み込み、トランスから電力供給した状態で確認すべきですが、その前にお試しでユニバーサル電源環境で確認を行います。前の記事でも書いたとおり、私のユニバーサル電源は+/-それぞれ各2チャンネルの出力を持っていますが、2チャンネル目の仕様が変わっています。
+/-電源1チャンネル目はそれぞれ0~18V/1.8A出力ですが、2チャンネル目は+電源が0~8V/2Aで、-電源は0~6V/1Aです。製作した安定化電源を正しく動作させるためには+/-16.9Vが必要なので1チャンネル目を使わざる得ません、仕方がないのでジグ回路を2チャンネル目を使って+/-6Vで動作させる事にしました。半固定抵抗のDC調整感度が半分になりますが、幸いオペアンプもエミッタフォロワも正しく動作します。
お試し負荷試験
上記のとおり安定化電源およびジグをユニバーサル電源と接続します。評価対象の安定化電源+出力をジグの負荷電流インに接続します。念のためユニバーサル電源の過電流保護を全出力ともに100mAに設定しました。さらにジグへ発振器を接続します。緊張しながら電源オンしました。ユニバーサル電源の表示を安定化電源供給電流に切り替えます。ジグの半固定を回し負荷電流を上げていきます。50mAまで上げたところで発振器の周波数を100Hzにセットして出力を上げていきます。その時の50Ωの負荷抵抗にかかる電圧と安定化電源の出力電圧をポケットオシロでモニタしました。
波形は負荷電流が平均52mAで正弦波状に36.4mA~67.6mA変動している事を示しています。青のラインは安定化電源出力をACモード最大感度でモニタしていますが、電圧変動が確認できません。周波数を上げていくと100KHz付近で電圧変動が観測できました。低周波数域の電圧変動観測にはプリアンプが必要です。
本記事のアイキャッチ写真はさらに周波数を300KHzまで上げた状態です。負荷変動に制御が追従できずに電圧変動が起こっています。続いて方形波応答を見てみます。発振器の周波数を1KHzにセットしました。
負荷電流の立下がりで電圧変動が発生しています。この部分を拡大してみました。
この波形を見ると、負荷が軽くなった事に過剰にフィードバックがかかっている様に見えます。この応答波形については別途考えたいとおもいます。念のため負荷電流の立ち上がり部分も拡大してみました。
出力電圧に若干の変動が見えますが、いい感じでフィードバックがかかっています。ここまでのお試し負荷試験を整理します。
・ジグで想定どおりの負荷試験ができる事が確認できた
・安定化電源周波数特性を見るためには、ポケットオシロの感度アップが必要
・方形波応答負荷電流立下がりで過剰な応答をしている
一旦負荷試験を中断してポケットオシロの感度アップの為のプリアンプを作ります。
ポケットオシロプリアンプ設計
私のポケットオシロはDSO203という機種で、購入して1年程度たちます。
価格は2万円でお釣りがきますが、趣味の範疇ではそこそこ使えています。なにより、波形が見える事は、精度はなくても見えない事と比べて大きなメリットがあります。1年間使用して一番不満な点は、最大感度が50mV/Divという点です。かねがねこのポケットオシロ用のプリアンプを作りたいと考えていましたが、今回必要に駆られて重い腰を上げる事にしました。早速、設計構想を整理します。
・ゲインは10倍の正相アンプとする
・今回の用途からAC入力モードを設ける
・最低限の入力保護を付ける
上記を回路化していきます。AC入力モードは単純なCRの1段フィルタで構成します。カットオフは低い程使い勝手が良いです。CRフィルタ出力をオペアンプを使ったボルテージフォロワで受けてCRフィルタへの次段の影響をなくします。ボルテージフォロワへのダイレクトな入力端子も別途設けて、DCアンプとしても使えるようにします。このボルテージフォロワ出力をオペアンプを使った正相アンプで10倍に増幅します。ゲインは10倍に調整できるように帰還ループに半固定抵抗を入れます。アンプの保護としてボルテージフォロワの入力にダイオードを2個入れて絶対値で0.6V以上の入力が入らないようにします。本当はこの保護ダイオード自体の保護も考える必要がありますが、運用でカバーする事にします。図はこれを回路化したものです。
次回はこの前段アンプの定数を決めて実装を進めます。
つづく(評価編5)