DACユニットの検討(製作編33)

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製作編33

実験基板を使った動作確認が終わったので、実装用のミュート回路を作成して回路実装を行い最終動作確認をします。

実装用ミュート回路

基本回路は変わりませんが、リレーを2個駆動する必要があるので、実験回路をベースとして修正します。部品点数は増えますが、終段の駆動用トランジスタはそれぞれのリレー用に専用としました。

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リレーの操作コイル電流は12.5mAで、2SC1815のhfeは200以上の為、ベース電流は0.06mA以下となります。負荷が2系統となっても初段のトランジスタの動作に影響がないレベルなので、初段のトランジスタはこのまま1回路としています。

ミュート回路実装

先日の記事でも掲載した実装する基板の写真を再掲載します。

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実装スペースがなくミュート用のリレーは基板からはみ出した状態です。左上の空きスペースに制御回路を実装するため、電源およびGEN_FLAG入力用の3極の端子台を左端に配置します。終段のトランジスタは、実装スペース効率をあげる為、各リレー脇に配置する事にしました。写真は実装完了した基板の部品面です。

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リレー脇には、終段トランジスタ以外に逆起電力吸収用のツェナーダイオードとエミッタに接続されたダイオードおよびベースの入力抵抗を配置しています。ハンダ面はこんな感じです。

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だいぶごちゃごちゃさせてしまいました。せっかく基板をとりはずしたので、出力のボリュームと並列に0.01uFのコンデンサを取り付けています。

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目的はディザ信号を減衰させるためで、本当は0.022uFをとりつけたかったのですが、手持ち在庫がなくこの容量値としました。フィルタをモデル化して追加前後のDAC出力以降の周波数特性をグラフ化してみました。

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あまり特性を欲張らずにいい感じで追加できたとおもいます。

動作確認

最初は基板単体で、ミュート回路のみ動作させてみます。ユニバーサル電源で12Vと3.3Vを供給して、3.3Vの供給オンオフで所定の電流が流れる事を確認します。所定の配線を行って電源オンしました。3.3Vをオンした場合は電源電流が約1mA、オフすると約26mA流れているので、GEN_FLAGの入力により、2個のリレーが正しく動作していると判断しました。次に基板をブレッドボードに搭載して動作確認を行います。配線の本数がとにかく多いので、間違えないように接続を戻しました。

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確認は音で判断するので、出力にXLR変換コネクタも接続して真空管ヘッドホンアンプへ接続しました。ヘッドホンアンプをオンCDの再生をスタートします。あれれ?Rチャンネルの音がでません。単体動作確認では問題なく動作していたのに・・・。Rチャンネルのコレクタ電圧をモニタしたところ、Highレベルでミュートがかかりぱなしの状態となっていました。せっかく多くの配線を再接続したのに、すぐに取り外しです。基板の配線を見て、すぐに原因がわかりました。終段トランジスタ保護用に追加したツェナーダイオードをGNDに接続するところ、間違ってアナログの+15V電源に接続されていました。基板単体の動作確認では、アナログ用の+/-15V電源は接続していなかった為、問題なく動作したと考えられます。さっそく配線を修正して再確認を行ったところ問題なく動作しました。ミュート解除時にツェナーダイオードを負荷として終段のトランジスタに過電流が流れて両素子を破壊した事を心配をしましたが、トランジスタのベース電流を押さえていたため、そんなに大きなコレクタ電流は流れなかったようです。ヘッドホンをしたまま、ディスクのローディングを繰り返しましたがノイズの発生はありませんでした。実装状態の波形も念のため確認を行いました。

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上がRチャンネルで下がLチャンネルです。黄色が終段のトランジスタのコレクタ電圧で、青色はGEN_FLAGです。どちらも想定どおりの波形となっていました。ミュート回路追加で6日間も使ってしまいましたが、これで完成です。次回はようやくブレッドボード状態での音聴きをします。

 

つづく(製作編34)