無帰還広帯域真空管アンプ(製作編26)

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製作編26

終段バイアス電流設定基板の実装を行ない、通電確認を行います。

バイアス電流設定回路実装

改めて実装する回路図を掲載します。赤枠点線内の回路です。

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最初にグリッドバイアス回路を実装します。390Kと47K抵抗をそれぞれ2本と0.1uFのコンデンサを実装しました。これでこのブロックの全部品の実装完了です。

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両面基板を使用しているので、半固定抵抗の端子配線も問題ありません。半固定抵抗実装側(ハンダ面)は以下のとおりです。

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配線1カ所で被覆電線を使用しました。ここまでの実装をもう1枚の基板で行います。部品を左右対称の配置としているので、実装中にあたまが混乱します。混乱に拍車をかけるのが、部品の端子配列は非対象な事です。注意深く実装進めてなんとか完了しました。

定電流回路実装

実装部品は、トランジスタ、CRD、LED、抵抗の4点です。トランジスタは異常時を想定して400V耐圧品の2SC3631を選定しています。下記が特性の抜粋です。

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最初にトランジスタを仮止めします。放熱性を考えて端子長を長めに取り付けました。また、2枚の左右対称の基板を考慮して部品を縦位置に取り付ける事で、端子配置の非対称性の影響をなくす事ができます。次にエミッタ抵抗を取り付けます。これも縦方向取り付けができました。

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エミッタ抵抗は抵抗値57Ωと特殊です。系列表を確認しましたが、192系列にも存在していませんでした。特殊用途で作られたものでしょうか?最後にLEDとCRDを取り付けて完成です。全部品縦方向取り付けができましたので、もう1枚の基板は非対称配置に悩まずに実装できました。

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通電確認

最初にグリッドバイアス調整回路の確認を行います。実使用状態に合わせて、-5Vを入力して出力電圧の確認を行います。

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確認の状態は半固定抵抗センター位置と左右にフルに回した3ポイントとしました。結果は以下のとおりです。

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ボリュームセンター位置は、おおよそのポイントなので参考値です。続いて定電流回路の通電確認を行います。このブロックの確認も実使用時に合わせて5.5Vの電源を供給しました。最初にR-ch用基板の確認を行いました。

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10mAの電流ですが、LEDは明るく点灯しています。電流値は以下のとおりでした。

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設計は30mAでしたが、31mA流れています。各部の電圧は以下のとおりです。

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最後はL-chの定電流回路通電確認です。R-chと同様に接続して電源オンしました。あらら、過電流保護回路が働いてしまいました。

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保護電流値は40mAで、出力電圧が2.81Vまで下がり安定しています。基板を確認したところ、原因がすぐに判明しました。CRDの実装ミスです。

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トランジスタの真ん中の端子がコレクタで、右側がベースです。CRDはコレクタ側からベースに電流を流しますが、反対に実装されていました。予備のCRDと交換しました。

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修正の結果、R-chと同じ定電流値を確認しました。

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各部の電圧は以下のとおりです。

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CRDを選別した事もあり、ほぼ設計通りの値となっていました。次回は基板をシャーシに取り付けて、初段の配線を完了させます。

 

つづく(製作編27)