設計編3
サブウーハー用のチャンネルデバイダー機能を含むボリュームユニットの設計をします。
カットオフ周波数
構想編でカットオフ周波数は100Hz以下とする方針を決めていましたが、まずは100Hzで検討してみます。二次のLPFの伝達関数は以下となります。
G(jw) = H0 x w0^2 /((jw)^2 + w0/Q x jw + w0^2)
ここでH0=1 w0=1とすると上記の大きさは以下となります。
|G(jw)| = 1 / SQRT((1-w^2)^2 + (w/Q)^2)
ここQはクオリティファクターです。二次のベッセルフィルタの場合Q=SQRT3なので上記の式は以下となります。
|G(jw)| = 1 / SQRT((1-w^2)^2 + 3 x w^2)
これをカットオフ周波数を100Hzに正規化してグラフ化してみました。
グラフには、二次フィルタを直列に接続して四次フィルタの特性も記載しています。この場合のカットオフはずれてしまいますが、気にしない事にしました。正直なところ数式は正しいか自信がありませんが、特性グラフがほぼ想定どおりなのでこのまま検討を進めます。設計前にスピーカーの特性の推定もしてみます。まずはFE103EnとL12-44の周波数特性のグラフから数値を拾って計算用の特性グラフを作成しました。
グラフは上からFE130En, LS12-44, 数値を拾った周波数特性です。最初に上で計算した四次のLPF特性とLS12-44の周波数特性を合成します。
これがサブウーハーチャンネルの周波数特性となりますが、レベルのピークは30Hzとなっています。これであればNS-1000Mのマルチアンプシステムにも使う事ができそうです。次にFE103Enの周波数特性に上記のサブウーハーの特性を重ねてグラフ化してみました。その際にサブウーハーのレベルを+4dBしてバランス調整をしています。
100Hzあたりにディップができていますが、まずはこの状態で設計を進めてみます。製作時には、フィルタ定数を簡単に交換できるように工夫する予定です。
フィルタ設計
以前にチャンネルデバイダを設計した際には、エクセルを駆使して定数を決めましたが、今回はネットで公開されている大川電子設計様のツールを利用しました。カットオフ周波数を100Hz, クオリティファクターをベッセル特性となる1/SQRT3(0.577)としてツールを実行しました。結果は以下のとおりです。
このツールは、CRを系列値で算出してくれるのですごく便利です。算出値も現実的な値となっていました。算出された周波数特性と群遅延特性を参考に掲載します。
これを直列に接続して-24dB/OctのLPFと使用します。
回路設計
構想編で作成した回路図に上記で決定した定数を追記しました。
全帯域を受け持つバッファのみMUSES01にしました。私の音の好みによる選択です。今回はサブウーハーをR-chのみとしています。LPFのバッファはゲインを6dBもたせてレベルバランスをとれるようにしています。このバッファもMUSES01にする事も考えましたが、高いのでLFPで使用するMUSES8920としました。MUSES8920はMUSES01に比べて圧倒敵にGB積が大きいのでアクティブフィルタには適していると考えて選択しました。
次回は電源回路の設計を行い、部品の発注を進めます。
つづく(設計編4)