真空管アンプ負帰還(設計編)

設計編

EL34ppアンプの入力バッファを設計します。

電源確保

スペースもあまりなので、オペアンプを使って入力バッファをつくる方針としました。その為には+/-電源が必要なので電源確保の検討をします。下記が現状のEL34ppアンプの電源回路図です。

使えそうなトランス二次巻き線は6.3V/3A x3と5V/xA x1です。全て使用されています。ヒーター回路に使っている6.3Vを仮に全波整流すると理想的には7.8V(6.3 x1.41-1)くらいになります。括弧内の最後の-1はブリッジダイオードのVfx2です。7.8Vあれば、三端子レギュレータで5Vの電源は確保できそうです。念のため、NJM7805FAの仕様書を確認してみました。下記は入力電圧vs出力電圧のグラフの抜粋です。

これを見ると、6.6V以上の電圧が確保できれば5Vの安定化電源が構成できそうです。同様にマイナス側(NJM7905FA)についても確認してみました。

マイナス側はプラス電源よりも優秀で-5.9V以下の電圧が確保できれば-5V安定化電源が構成できそうです。次に使用する二次巻き線について検討します。回路図をみると3つのヒーター巻き線は以下のように使用されています。

・左右チャンネル初段真空管

・左チャンネル終段真空管

・右チャンネル終段真空管

ノイズ面や左右チャンネルへの影響を考慮して、終段真空管用の巻き線2つを使用する事とします。但し現状は同相で使用されているため、+/-電源用AC出力としては良くありません。念のため波形をオシロで確認してみました。結果は以下のとおりです。

予想どおり同相で駆動されています。波高値は8.8Vppでした。電圧は想定どおりです。次にR-ch真空管用ヒーター電源の位相を入れ替えてみます。具体的には、現状はトランス巻き線の0V側をGND接続していますが、それを6.3V側につなぎ替えます。

この状態で改めて波形を確認してみました。

R-ch真空管用ヒーター駆動波形は反転した事が確認できました。この状態で念のため音を聴いてみましたが問題ありませんでした。これで平滑用電解コンデンサの容量を適切に確保できれば、三端子レギュレータ用の電源としては問題ありません。

オペアンプ選択

音の好みからMUSES01を使おうと思い、データシートを確認しました。残念ながら動作電源電圧は+/-9V~+/-16Vとの事で使用できません。続いてMUSES8920を確認しました。このオペアンプの動作電源電圧は+/-3.5V~+/-17Vなので使用可能です。次に+/-5V電源で使用した際の出力最大電圧を確認します。電源電圧が+/-15V、負荷2KΩ時の標準最大出力は+/-13.8Vとなっていました。電源電圧+/-5V時も同様な動作をすると仮定した場合、出力電圧は+/-3.8Vとなります。今回の入力バッファとして使う上では問題なさそうです。

バッファーアンプゲイン設計

2017年2月10日の記事によると、無帰還時アンプゲインが12.4倍、負帰還時が6.9倍で負帰還が約5dBかかっています。帰還回路は踏襲する予定なので、音質比較する上で都合が良いように、負帰還分を増幅する事にします。ゲインは約1.8倍となります。それを回路図に落とし込みました。

回路図は何のひねりもありませんが、これで進めていきます。次回は部品発注をして製作を進めます。

 

つづく(製作編1)