終段スイッチング電源検討(製作編12)

製作編12

変換基板に実装したDualJFETのIDSSを測定し、アンプ基板の実装準備の為にケースの検討を行います。

Idss測定の目的

IdssはJFETの基本パラメーターでゲートをソースと同電位とした時のドレイン電流です。今回のIdss測定の主目的はチップパッケージのJFETが確実に実装されている事の確認です。1チップDualタイプの本部品ではあまり必要はありませんが、Idssのペア特性の確認も合わせて行います。

Idss測定

測定回路は以下のとおりです。

トランジスタのhfe測定に使ったジグに、Idss測定に必要な部品も実装されています。ジャンパ線を使って回路を構成しました。

ジグの8ピンのソケットに、JFETを実装した変換モジュールを装着します。ジャンパ線を差し替えて1回路づつ測定を行いました。測定結果は以下のとおりです。

8個のFETのIdssの最小値は3.4mAで最大値が4.4mAでした。ペア特性も良好です。この4個を使ってアンプ基板の実装を進めます。

アンプ基板実装準備

アンプ基板実装する為には、端子台の位置を決める必要があります。今回は私にとってトランジスタアンプ初のBTLステレオアンプ構成となるために、慎重に端子台の配置を決めたいとおもいます。今回使用するケースも従来のトランジスタアンプと同様にタカチ電機工業製のHYシリーズを使用します。

HYシリーズはサイドパネルがヒートシンク構造となっている為、パワーアンプ用のケースとしては最適です。今回はBTLステレオ構成となるため、片側のサイドパネルに2つのアンプを実装する必要があります。検討が必要な項目は実装スペースと放熱特性です。HYシリーズのラインナップを確認すると、奥行き寸法が最大で330mmです。縦寸法は133mm, 147mm, 177mmが採用候補となります。高さ133mmのものは、過去に使用実績があるため、見た目の統一感がとれる事からまずは133mm前提で検討してみます。下記が高さ133mm、奥行き330mmのHYシリーズのサイドパネルの図面です。

図面からサイドパネル内部有効寸法を使って型紙をつくり、そこに基板と実装部品を並べてみる事にしました。内部有効寸法は288 x 124です。まずはA3用紙に印刷してみました。

印刷した外形図にそって切り取り、早速必要な基板と部品を並べてみました。基板は以前に私の標準基板に実装したもので代用しています。終段用のトランジスタは、プッシュプルの1ペアのみ配置してみました。

この結果から、H:133mm, D:330のケースに十分実装可能である事がわかりました。次は放熱特性の確認を行います。改めて回路図を掲載します。

以前掲載した回路図は終段のトランジスタの回路番号が重複していたために、修正しています。この回路図から、1つのアンプの終段の消費電力は19Wとなる事がわかり、BTL分でさらに倍の38Wが片側のサイドパネルで消費されます。一方このサイドパネルの熱抵抗は、先に掲載したのサイドパネルの図面の左下に掲載されていて、0.89℃/Wです。この値を使うとサイドパネルの温度上昇は以下と算出できます。

Δt = 0.89 x 38 = 33.8℃

仮に外気温が30℃とした場合、サイドパネルの温度は63.8℃となりやや温度は高いですが問題ないレベルと考えられます。ケースの幅寸法は、別途実装する電源やマイコン、オフセット検出基板を配置してみて決めたいとおもいます。

 

つづく(製作編13)