終段スイッチング電源検討(製作編59)

製作編59

スイッチング電源のケースの温度上昇試験を行います。

スイッチング電源温度測定結果1

過去に一度スイッチング電源の温度を測定した事がありました。その時の結論は、「なんらかの対策が必要」でした。

上記がその時の結果です。途中までトップカバーを被せた状態で観測し、温度が安定したタイミングでトップカバーを外しています。この結果からトップカバーに穴を開け、効果が足りない場合に備えて、低騒音ファンを取り付けました。

低騒音ファンを動作させると、音が筐体内部で共鳴して聞こえます。できればファンを動作させずに済ましたいと思います。

スイッチング電源温度測定2

上記経緯から、まずはファンを動作させずに温度測定を行います。ヒートシンク温度測定時と同様に、熱電対式温度計を使って、熱電対をスイッチング電源のケースに貼り付けて測定を行います。

熱電対の貼り付けは、前回同様にセロハンテープを使っています。今回の測定温度範囲では、貼り付けに問題ありません。測定間隔は1分としています。結果は以下のとおりです。

結果を見ると、まだ完全に温度平衡状態にはなっていませんが、ファンの開口の効果は認められるものの、十分ではありませでした。平衡温度は、60℃を越えると考えられ、室温が20℃強の状態なので、夏場には70℃を越える可能性があります。どうしたものか…。

ファンモーター動作

続いて、ファンモーターを動作させてスイッチング電源温度上昇に対する効果の確認を行います。参考にファンモーターの仕様を再掲載します。

型式:VENTO120-BKCWW

電圧:12V

電流:0.16A

風量:45.3CFM

風圧:0.68mmH2O

ファンモーターの電源は12Vの為、マイコン用電源から供給しました。トップカバーを閉めた状態で、一旦温度平衡させてその状態でファンを動作させてファンの効果を確認します。従って、ファンモーターの電源線はアンプの外に出して好きなタイミングで電源オンできるようにしています。

ファンモーターを停止させた状態でアンプの電源をオンし、温度平衡を待ちます。目安はスイッチング電源の筐体の温度が60℃です。60℃に達した時点でファンモーターを起動して、スイッチング電源の筐体温度をモニターしました。結果は以下のとおりです。

赤が-12V電源で、青が+12V電源の結果です。-12V電源は、マイコン用電源と+12V電源に挟まれているため、+12V電源よりも温度が高くなっています。グラフの5分のタイミングでファンモーターを起動させました。その結果、電源温度は一気に下がっています。風量は大きくありませんが、ボトムカバーに開けた穴から外気が入り、電源の筐体を冷やしてそのまま暖められた空気がファンで機外に排出されます。

安定温度は、-12V電源が約48℃で+12V電源が約46℃でした。今回測定時の部屋の温度が約25℃だったので、夏場の環境でも問題のない温度となっていると考えられます。但し、ファンモーターを動作させる場合の課題は以下の2点です。

1)動作時の騒音

2)誘導磁気によるノイズ

1項については、アンプ完成後にケースを正しく組み上げた状態で騒音確認をしてみたいとおもいます。2項は、今回の1つの目的のハムノイズの観測時に動作の影響確認をしてみたいとおもいます。次回はアンプの周波数特性の測定を行います。

 

つづく(製作編60)