High-ch用アンプ製作(製作編15)

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製作編15

出力トランスと入力の配線を行い、配線を完了させます。引き続き通電確認を行います。

出力トランス1次巻き線抵抗測定

前回の記事ではアンプ回路図を掲載しなかったので改めて掲載します。

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出力トランス1次巻き線の配線前に1次巻き線の直流抵抗の測定します。目的は、出力管のIp観測用です。具体的にはアイドル時の1次巻き線のドロップ電圧を測定してIpを算出します。左右チャンネルともに測定を行いました。

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両チャンネルともにプッシュプルの巻き線間で10%程度の差がありました。おそらく巻き数は同じになっていると考えられるので、巻き位置の差による平均コイル径の違いによる線長の差に起因すると思われます。掲載したシートは空欄のセルに端子間のドロップ電圧を入力するとIpが算出されます。

出力トランス配線

出力トランスの1次巻き線の端子は、中継する為にL字ラグ端子板に配線しています。初めにB電源をセンタータップに接続します。

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写真では見にくいですが、赤の被覆電線です。反対側は配電用の平ラグに接続しています。続いて双3極管の2つのプレートと1次巻き線を接続します。接続には黄色と灰色の被覆電線を使用しました。

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合わせて、1次巻き線ドロップ電圧観測用のチップジャック配線も行っています。Rチャンネルも同様に出力トランス1次巻き線の配線を行いました。

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続いて、2次巻き線の中点をGNDに接続します。巻き線にセンタータップがないので、2本の100Ω抵抗で疑似的に中点を作っています。

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配線経路は迷いましたが、接続長は長くなりますが、トランス1次配線に沿って敷線しました。

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入力配線

いつものとおりベルデンの2芯シールドケーブル1503Aを使用しました。ケーブル径が細く、敷線しやすい事と、シールド構造がしっかりしている事が選定理由です。初めにXLRパネルコネクタ側を接続します。私の機器は全て2ピン側がHotです。

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敷線は他の信号ラインと同様にシャーシの上部の端としています。反対側は初段グリッド配線中継用のL字ラグ板です。GNDの配線は、ショート防止の為に他の電線の黒の被覆を利用して保護しています。

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Rチャンネルも同様に配線しました。

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これで全ての配線が完了しました。

通電確認

最初に終段の真空管を挿さずに、ソケットの各端子電圧の確認を行います。

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B電源電圧は変動していましたが、観測時の値をそのまま記載しています。カソード端子は定電流源が動作していないため測定値が安定していませんでした。またグリッドも接地抵抗が約400KΩなので安定しませんが、結果は問題ないと判断しました。一旦電源をオフし、電源の残留電圧が下がってから終段の真空管を装着しました。

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はやる気持ちを押さえつつ、スピーカーターミナルにダミー負荷を接続してシャーシにアクセスできる状態で電源オンしました。ヒーターが暖まる音はしましたが、見た目には特段の変化ははありません。最初に終段ソケットの各端子電圧を確認しましたが、概ね問題ないレベルでした。続いて出力をオシロスコープで観測しました。発振してます。

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上の波形が出力で、下はC電源波形です。発振周波数は約50MHzでした。次の写真はC電源の入力部整流波形と終段のプレート出力をモニタしたものです。

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発振は常に起こっているのではなく、C電源の半波整流波形に同期して一部の期間で起こっている事を確認しました。真空管アンプ初の発振トラブルです。対策がながびかなければとおもいます。次回はこの発振対策を行います。

 

つづく(製作編16)

High-ch用アンプ製作(製作編14)

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製作編14

実装完了したバイアス調整用基板をシャーシに取り付けて終段の配線をおこないます。3本目の12AY7が届いたので製作を中断して初段のハムの確認を行います。

バイアス調整用基板取り付け

前回の記事で実装を紹介したバイアス調整用基板をシャーシに取り付けます。左右チャンネル専用基板なので、左右間違えずに最初にLチャンネル分を取り付けます。固定は2本のスタッドにねじどめしました。

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基板への端子台取り付け位置の検討時に事前確認を行っていたため他部品とのクリアランスは全く問題ありませんでした。続いてRチャンネル分を取り付けます。

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こちらは確認を怠ったため、-5VとGND端子台と平滑用電解コンデンサ間のクリアランスが比較的小さくなっていました。それでも問題なく配線できそうです。

終段配線

次は終段管のシールド配線(9ピン)を行います。HPアンプ実装時はヒーター配線のGND側を接続しましたが、ヒーター配線には大きな電流が流れていてGND配線電位も振られるため、今回はシールド専用に配線しました。

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終段真空管用ソケット9ピンに接続された黒の被覆の電線です。Rチャンネルも同様に配線しました。

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次は先ほど取り付けたバイアス調整用基板のC電源とGND配線をします。

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C電源配線は真っ直ぐ配電用ラグ端子板へ接続しました。メンテナンス時の取り外しに苦労しそうです。Rチャンネルも同様に配線しました。

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写真はGND配線しか写っていませんが、電解コンデンサとのクリアランスも問題ありませんでした。次はカソード配線を行います。初めにソケットの3ピンと8ピンをショートします。

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オレンジ被覆の電線です。さらに3ピンとバイアス調整用基板のカソード用端子台へ配線しました。

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Rチャンネルも同様に配線します。

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次は、グリッドバイアス配線を行います。バイアス調整用基板の端子台と、段間のカップリングコンデンサ終段側に配線します。

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灰色と紫の被覆電線を使っています。Rチャンネルも同様に配線しました。

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ここまでの配線でシャーシ内部は以下のとおりとなりました。

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3本目真空管確認

アマゾンに注文していた3本目の12AY7が届いたので先に確認を行います。正直なところあまり期待はしていません。念のため、オリジナル状態(2本目の真空管)の再確認を行います。バイアス用調整基板を取り付けたので、通電への影響を確認します。グリッドバイアス調整回路は正常動作、定電流源は非動作となり通電確認は問題ありません。写真が2本目真空管の再確認結果です。

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ハム波形は確認でいますが、和信号も14mVppと前回の結果よりもなぜかレベルが下がっています。気にはなったものの3本目の真空管に差し替えました。

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早速同様に波形を確認してみました。

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3度目の正直か?和信号にも全くハムが確認できませんでした。追加出費はありましたが、ハムに関しては拘った甲斐がありました。次回は全配線を完了させて通電確認を行います。

 

つづく(製作編15)

High-ch用アンプ製作(製作編13)

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製作編13

追加確認用の真空管が届いたのでハムの確認をします。引き続き終段バイアス調整用基板の実装を行います。

真空管追加確認

前回の記事でL-ch初段真空管の出力に真空管起因のハムを確認したため、追加で12AY7を発注しました。前回の購入時、アマゾンの在庫が1本だったため、コイズミ無線から購入しましたが、その在庫がそのまま残っていたため、その1本を購入しました。送料無料で2,436円で前回よりも安く調達できました。

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交換前にオリジナルの波形を再度確認します。双三極管のそれぞれの出力をオシロでモニタし、差がわかりやすいように、その加算信号を表示します。

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加算信号ハムは29mVppでした。はたしてこの信号レベルを気にする必要があるかは別として、R-chでは観測できない為に拘っています。早速真空管を交換します。

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交換後、期待しつつ波形をモニタしてみました。結果は以下のとおりです。

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残念ながら状況は全く変わりませんでした。逆にハムが観測されないR-chの真空管が正しく動作していない事も懸念されます。差信号では打ち消されてハムは観測されないので、このままとする選択肢もありますが、もう1本だけ確認してみる事として、さらに追加で真空管を注文する事にしました。

終段バイアス設定用基板実装

一旦初段のハムの件は保留して、製作を進めます。次は終段のバイアス設定用基板の実装を行います。下記回路の赤枠の部分を実装します。

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実装する回路は、グリッドバイアス調整回路と、プレート電流用の定電流回路です。最初に端子台の配置を決めます。-5VとGND配線を2極の端子台に、2つのグリッドとカソード配線を3極の端子台に配置しました。配線の都合を考えて、基板上端子台をアンプの内向き配置としました。

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シャーシ加工時にボリュームのみハンダ面に取り付けています。まずはグリッドバイアス回路を実装します。端子台とボリューム位置が固定されているため、いまひとつすっきり実装できません。

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続いて終段プレート電流用の定電流回路を実装します。回路図は抵抗の系列値を考えずにエミッタ抵抗を40Ωとしていた為、57Ωと120Ωの並列接続で代用しました。

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これで回路実装は完了です。

終段バイアス用回路通電確認

実装した2つの回路ブロックを別々に通電確認を行います。先に定電流回路の確認をします。実動作時の推定電圧から、カソード出力に5.1Vを印加し、GND配線をして通電しました。

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写真ではわかりにくいですが、定電圧用に実装したLEDは電流値10mAにもかかわらず、かなり明るく点灯しています。トータルの電流はほぼ設計どおりの41mAでした。

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続いて、グリッドバイアス調整回路の確認を行います。C電源のかわりに-5VとGNDを接続して、2つのグリッド出力電圧の確認を行いました。ボリュームMaxで、0V or -0.24Vと設計どおりの動作を確認しました。

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1枚目の基板の通電確認はこれで完了です。

2枚目実装&通電確認

2枚目の基板も同様に実装しますが、部品の配置を左右対称としています。1枚目と同様に最初にグリッドバイアス調整用回路を実装しました。

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続けて終段プレート電流用の定電流源も実装しました。(本記事アイキャッチ写真参照)写真は、トランジスタコレクタ配線を忘れていますが、通電前に気づき追加配線しています。1枚目と同様に通電確認を行いました。定電流値は1枚目よりもやや大きい42mAでした。

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グリッドバイアス調整回路も問題なく動作している事を確認しました。両基板のハンダ面はこんな感じです。

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次回は実装した基板をシャーシに取り付け、終段の配線を行います。

 

つづく(製作編14)

High-ch用アンプ製作(製作編12)

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製作編12

初段の配線が終わったので通電確認を行います。さらにトラブル発生。

初段通電確認

最初に真空管を挿さずに、初段真空管ソケットの各端子電圧の確認を行いました。

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高圧なB電源を引き回した後の最初の通電なので慎重に行います。各端子電圧の測定はテスタのリードによるショートに注意して行いました。結果は以下のとおりです。

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ヒーター回路の確認はすでに行っているので省略しています。B電源電圧は変動していましたが、測定時点の値を記載しました。結果は特に問題ありません。次は真空管を挿して通電確認を行います。B電源の残留電圧が下がった事を確認して、真空管を装着しました。

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再度ボンネットを取り付けて、初段真空管ソケットの各端子電圧が測定できる状態にします。電源オンすると真空管はチンチンと音を立てながらヒーターが点火しました。B電源電圧をモニタしつつ、安定を待ってから各端子電圧を測定しました。結果は以下のとおりです。

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L-chとR-chで様子が異なります。R-chの方がプレート電流が多めに流れています。またグリッド電圧が本来は0mVとなるところが、若干電圧が観測されました。グリッド電圧の状態はよくわかりませんが、L-chのプレート電流の合計が約2.1mAに対して、R-chの電流は2.3mAとやや大きくなっています。カソード電圧もL-chの約1.1Vに対してR-chは約0.8Vと低くなっています。大きな差ではありませんが、気持ちが悪いので対策検討する事にしました。プレート電流は定電流ダイオードで決まるので、R-ch側の定電流ダイオードを試しに交換してみました。結果は殆ど変わりませんでした。続いて、真空管起因の可能性もあると考えて真空管を左右チャンネルで入れ替えてみましたが、今回も結果は殆ど変化ありませんでした。今までの確認結果から原因は真空管ではなくR-chの配線を含む回路側と考えられます。次は真空管の発振を疑い、各部の波形をモニタしてみました。

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モニタした結果、発振波形は確認できませんでしたがR-chのプレート端子に僅かですがハムを確認しました。

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上の波形がプレート端子波形で、下がヒーター駆動波形です。プレートのノイズ波形はヒーター電圧と同期しています。下の画面コピーは初段の差動出力をモニタしたものです。

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センターの赤の波形は、オシロのMath機能を使って差信号を表示しています。差信号はハム波形が打ち消されている事がわかりますが、なんらかR-chはおかしいようです。原因を特定する為に、左右チャンネルの違いを整理してみました。

1)R-chの方が電源/GND配線が長い

2)R-chのヒーター駆動回路巻き線からC電源を生成している

2項について影響の確認をしてみる事にしました。C電源入力へ接続しているヒーター巻き線を一旦外して、L-ch用ヒーター巻き線から電源供給してみました。

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もともとの配線はショートしないようにテープで固定して、L-ch用ヒーター巻き線からワニグチ付き電線で電力供給をしました。結果は残念ながら変化ありませんでした。仮に変化があった場合は、対策に困ってしまうので逆に良かったとおもいます。次は、グリッド電圧が0mVからずれる点に着目し、入力回路の配線ループを可能な限り小さくする敷線変更を行ってみました。入力回路の敷線変更は以下のとおりです。

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効果を信じて改造したものの、結果は全く変わりませんでした。その他以下の確認も行いましたが全く変化がありません。

・グリッド入力抵抗を2.7kΩから5.6kΩに変更

・グリッドをダイレクトにGNDに接続する

できる事はやりつくしてしまった感じなので、少々なげやりに再度真空管を左右チャンネルで入れ替えてみました。あれれ?プレートのハムが消えている?!信じられない気持ちでL-chのプレート波形を確認したところ、ハムがL-chに移っていました。

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波形上がR-chで下がL-chです。今まで電流が大きくなる現象とハムは同一の原因と考えていましたが、ハムは真空管起因である事がわかりました。確認の経緯を改めて思い起こしてみましたが、真空管交換前に波形確認を行っていませんでした。またまたやれやれな結果となってしまいました。今週は疲れてしまったので真空管の追加発注を行って作業を終了しました。次回は真空管を交換して検討の続きを行います。

 

つづく(製作編13)

High-ch用アンプ製作(製作編11)

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製作編11

C電源の改造の続きを行う前に、念のため同電源回路を採用した真空管ヘッドホンアンプの確認を行いました。その結果・・・。

真空管HPアンプ電源確認

真空管HPアンプの電源回路は電源トランスは異なりますが、今回の回路と基本同一です。今回の対策改造案がスッキリしない事と、結果に違和感があった事から改造の続きを行う前に、真空管HPアンプのC電源出力を確認してみる事にしました。

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シャーシは製作中のアンプよりも一回り小さいMK-350を採用しているため、シャーシ内の雰囲気が異なります。

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早速、オシロスコープをC電源回路に接続して波形をモニタしました。

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最初にC電源出力をモニタしましたが、ハム等のリップルは観測されませんでした。次に三端子レギュレータ印加電圧を確認しました。

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最低電圧が3.11Vで製作中のアンプとあまり変わりません。この結果から先日の確認結果に対して疑念が膨らみました。

C電源波形再確認&再改造

C電源回路は、ダイオード1本を残して倍電圧回路改造をしているので、ジャンパ線を使って暫定的に元の回路に戻しました。基板をシャーシに取り付けて電源オンして改めて波形確認を行いました。

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上がC電源出力で、下が全波整流波形です。掃引速度を上げて観測してみました。

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出力波形は全波整流波形と似ていますが、周波数が約57KHzと全く異なり発振波形だった事を確認しました。やっぱり・・・。対策確認として出力端子台に100uFの電解を接続したところ発振は止まりました。

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やれやれ、またもやミス発覚です。気を取り直して、倍電圧回路改造を行った基板を再改造します。倍電圧回路用に追加した1000uFの電解の代わりに、発振対策用の100uFの電解を取り付けました。

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幸い、改造の規模は小さかったので電源基板もそれほど荒らさずに済みました。忘れないうちに、電源基板回路図を修正します。

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だいぶ回り道をしてしまいましたが、電源基板実装および通電確認が完了しました。

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初段の配線

初段の配線前に、電源およびGND配電ラグ板への配線を行いました。対象はGNDとB電源、C電源です。GNDのみ太い電線を採用しました。

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初段配線を行いますが、参考にアンプの回路図は再掲載します。

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最初に大物部品を取り付けます。対象は初段出力用のカップリングコンデンサです。JANTZENのCross Cap 0.47uFです。初段のプレートと終段の入力抵抗2.7KΩを介して終段のグリッドに接続しました。

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取り付け強度上心配ですが、運搬を考慮しないのでよしとしました。次は100KΩの負荷抵抗を介してB電源配線と、1mAの定電流ダイオードを並列接続して2つのカソードへ接続し、反対側をC電源へ接続しました。

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最後に、グリッドに2.7kΩの入力抵抗を接続し、それぞれ47kΩを介してGNDに接続しました。

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これで初段配線完了です。

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R-chの初段も同様に配線しました。真空管の位置がミラー対象となっているため、全く同じ配線はできませんが注意しつつ配線を完了しました。

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今回もミス連発でしたが、めげずに次回は初段の通電確認を行います。

 

つづく(製作編12)

High-ch用アンプ製作(製作編10)

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製作編10

前回、無駄な追加部品発注をしてしまいましたが、気を取り直してB電源の実装の続きと通電確認を行います。

B電源残りの配線

いつものとおり、電源基板に実装するものとシャーシに実装する物を分けてみました。

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赤枠内の部品は、基板外に実装します。前回までの実装で電源基板に実装するB電源回路部品の搭載は完了しています。残りはリップルフィルタ用トランジスタとそれ以外の回路接続です。トランジスタは、全波整流回路、出力用端子台と離れているため被覆ジャンパで接続しました。

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白の電線がリップルフィルタベース配線で、黄色の電線がコレクタ配線です。続いてシャーシに取り付けるリップルフィルタ用トランジスタの加工を行います。各端子に電線を接続するために端子をカットしています。

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各端子に電線をハンダしました。

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端子間のショート防止用に熱収縮チューブを被せます。アマゾンで熱収縮チューブセットを購入していますが、こんな時便利です。

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最適な径のものを選び、適当な長さにカットして端子部に被せてドライヤで加熱しました。次に取り付け用の穴をシャーシにあけます。穴径はφ3.2で、電源基板の接続用端子台の横に、出力トランスの位置を考慮して穴位置を決めました。

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穴開け後は十分にバリをヤスリでとっておきます。トランジスタの取り付けは、シリコンシートをシャーシとの間に挟み、プラネジで固定しました。端子台への配線は見栄えを考慮してフォーミングしています。

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これでB電源回路の実装は完了です。

B電源通電確認

改造中のC電源はトランスの2次端子を入力端子台と接続せずに、念のため電線をセロテープでショートしないように固定しました。B電源回路のみ周辺部品と接続して通電確認の準備完了です。

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電源コードを接続して電源オンします。あれ電源ランプが・・・?C電源が動作していないので点灯しないのは当たり前ですが、反射的に電源をオフしてしまいました。改めて電源をオンします。電源の負荷は、出力部に接続した100KΩのみなのでほぼ無負荷状態です。各部の電圧を確認しました。

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無負荷状態なので設計値よりも全般的に電圧が高いですが特に問題はありません。各部の波形確認は真空管を接続して負荷をかけた状態で行う予定なので今回はスキップします。

B電源改造続き

作業の週と記事の分割は完全に同期していません。基本は土日の作業を翌週に2つの記事にしますが、作業内容により2本の記事に対して足りなかったり多かったりします。今回は足りずにこの部分で週をまたぎました。注文していた追加部品が届きました。案の定梱包はスカスカです。

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修正回路の問題点

改造残りのダイオードを取り付けますが、その前に修正回路図を改めて確認したところ大きな問題が有ることに気づきました。この回路では、ヒーター回路とC電源回路でショートが発生し、最悪部品を壊してしまうところでした。前回ダイオードの在庫があったら、間違いなくこのミスに気づかずに通電確認を行っていたとおもいます。一番簡単な修正方法は、C電源と共用しているヒーター回路のGND接続をカットする事ですが、この場合、片チャンネルのヒーター回路がGNDに対して約8V基準でAC駆動される事になります。

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この状態の影響を考えてみましたが、初段の12AY7はヒーター回路を12Vac駆動する事も可能で、修正回路2は初段のヒーターを12Vac駆動した時と動作的に大差ないとの結論に至りました。できれば、初段のヒーター回路はGND基準で駆動して終段のヒーター回路を上記の対策回路のとおり駆動する方が左右チャンネルのバランス面で勝っていますが、ヒーター配線の改造を考えると二の足を踏んでしまいました。やれやれ、今回はミスの連鎖状態となってしまいました。次回はC電源の改造からスタートします。

 

つづく(製作編11)

High-ch用アンプ製作(製作編9)

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製作編9

B電源用の全波整流回路の実装が終わりましたが、次は先にC電源回路実装を行います。

C電源回路実装

改めて電源回路図を掲載します。

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回路はヒーター巻き線6.2Vを半波整流後、三端子レギュレータで5V生成する簡単な回路です。全回路部品を基板上に実装します。残るB電源用配線を考慮して部品はできる限りコンパクトに実装しました。

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後の配線を考慮するために、B電源用リップルフィルタのダーリントン用のトランジスタのみ実装しました。

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実装したトランジスタへの配線を考慮して三端子出力と出力用端子台間の配線を行いました。配線はこんな感じです。

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C電源回路通電確認&電源ランプ配線

出力用端子台に1KΩの抵抗を接続して通電確認を行いました。

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三端子レギュレータの入力電圧は8V弱でしたが、出力は5V出ていたので動作は問題ないと考えて、電源ランプの配線を行いました。電流制限用の抵抗の実装を忘れてしまったので、ランプ側に390Ωを接続する事にしました。ランプ側にカットした基板を取り付けランプ間の端子がショートするのを防ぎます。この基板に電流制限用の抵抗を実装して基板上へランプ配線を行いました。

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ランプ配線は、シャーシ板金側に沿って敷線しました。

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シャーシ板金側の赤黒の平行2芯電線がランプ配線です。この状態で通電確認を行います。無事ランプ点灯の確認ができました。

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C電源各部波形確認

出力用端子台に1KΩの抵抗を接続しているので、C電源は実動時と同等の負荷状態となっています。念のためオシロスコープで各部の波形を確認しておきます。三端子レギュレータにかかる電圧波形を確認します。

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最低電圧は2.74Vでした。リップルは440mVppです。さらに念のため出力電圧をACモードで確認したところ、リップルが全く除去されていませんでした。実装を確認しましたが問題ありません。改めて使用している三端子レギュレータの仕様書を確認しました。次のグラフは、入力電圧vs出力電圧特性です。

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グラフを見る限り、入力電圧に7.74Vあれば5V出力される事がわかります。次のグラフは、リップル除去比周波数特性です。入力は半波整流なので入力周波数は50Hzですが、Vin=-10Vの特性なので参考になりませんでした。

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仕方がないので、入力を急遽倍電圧回路に変更する事にしました。回路図を修正します。

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(この回路には大きな問題点があり、次回記事で再変更します)

この倍電圧回路は、EL34ppアンプのC電源回路として実績があります。ヒーター巻き線の余りが5Vacしかなかった為に採用していました。早速回路変更を行いました。電解コンデンサの在庫は有ったので実装しましたが、整流用のダイオードの在庫がなく、今回の完成をあきらめました。

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今回の電源回路は、真空管HPアンプ回路をベースとしています。真空管HPアンプは各種の対策を行ってハム対策を行いましたが、感度の高いヘッドフォンを接続して聴いている際に、時折ハムが微かに聞こえる事がありました。全段バランス構成となっている為に電源リップルの影響は受けにくい回路となっていますが、商用電源電圧が下がった際に発生している可能性もあるので、このアンプの製作後に確認してみたいとおもいます。

部品発注

ショットキーバリア整流ダイオードですが、単価20円です。これだけで送料500円をかける事はもったいないので、在庫箱を確認してM3x8mmのプラネジと放熱シートを合わせて発注しました。それでも送料は購入価格と同等で、言い方を変えると2倍の金額で部品購入した事になります。以後設計は慎重に行いたいと反省しました。次回は先にB電源回路の実装を行います。

 

つづく(製作編10)