無帰還広帯域真空管アンプ(製作編25)

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製作編25

初段の配線をきりのいいところまで行い、終段のバイアス設定基板の実装準備をします。

耐圧保護回路基板配線残り

前回の記事でL-chの入力配線まで行ったので、R-chの配線を行います。電線の被覆色はL-chと同じとして黄と橙を使用しました。まずは黄色の配線です。(本記事アイキャッチ写真参照)写真ではわかりずらいですが、R-ch初段のプレートと耐圧保護回路基板を接続している黄色の被覆の配線です。続いて残りの入力配線を橙の被覆電線で行いました。

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配線の状態はこちらの写真の方がわかりやすいです。真空管側の配線は以下のとおりです。

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初段電源配線

初めに電源基板出力と配電用平ラグ間を接続します。赤の被覆電線を使用しました。

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初段の電源は、SRPP等価抵抗動作する真空管の1ピンと6ピンです。両ピンと上記で準備した配電用平ラグ間を赤の被覆電線で接続しました。

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同様にL-chの電源配線も行いました。

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配電用平ラグの周りの電線が込み合ってきました。

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平ラグ左側の電線をもう少し左にずらした方がハンダ作業がやりやすかったです。

出力トランス巻き線抵抗測定

改めて回路図を掲載します。

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出力トランスの一次巻き線の抵抗は、終段のバイアス電流観測に使用します。測定ポイントは、電源に接続された端子と、プッシュプル真空管のプレートに接続された2カ所間です。測定結果は以下のとおりです。

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測定は、テスタのリードを直接接触させたときの測定系の抵抗値を差し引いています。L-ch/R-chともに、黒-灰間の抵抗値の方が黒-赤間の抵抗に比べて2割程度高い値になっています。巻き位置の違いによる電線長の違い起因と考えられます。各抵抗による電圧ドロップ値から終段のバイアス電流を算出します。気が早いですが、バイアス値調整用のシートも作成しました。それぞれの電圧ドロップ値を入力するとバイアス電流が算出されます。

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終段バイアス用基板実装準備

シャーシ加工時に調整用半固定抵抗の穴の位置だし用に半固定抵抗をテープで貼り付けた基板を取り出して、シャーシの取り付け用のスタッドに装着しました。

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初めに端子台の位置を決めます。実装する回路は下記回路図の赤枠点線内の回路です。

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回路は2つのブロックで、終段バイアス電流設定用定電流回路と、プッシュプルのバイアス電流バランス調整用回路です。必要な入出力は、終段グリッド電圧調整用に2極と-5VとGNDおよび、終段プッシュプルのカソード電流出力でトータル5極が必要です。これを3極と2極の2つに分けて実装する事にします。配線先に位置を考えて写真のとおりの配置としました。

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右の2極がカソード電流出力とGND用で、左の3極が-5Vと2本のGND電圧調整用です。写真はL-ch用ですが、R-ch用は左右反転した配置としています。この基板は、スタッド固定用の穴が2個のみなので、いつもの基板実装時のスタッドによるスタンド構造がとれません。仕方がないので、ダンボールとスタッドで簡易的にスタンドを作成しました。

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スタンドの四隅はネジの頭が見えていますが、後でスタッド下とクリアランスを合わせるために、ネジの頭を下側に変更しました。基板の固定はナットでいちいち固定するのは効率が悪いため、端末保護キャップをスタッドのネジに被せて固定させます。

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これで基板実装準備は完了です。次回は実装を行います。

 

つづく(製作編26)

無帰還広帯域真空管アンプ(製作編24)

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製作編24

耐圧保護回路基板のシャーシ取り付けが終わったので配線および通電確認を行います。

ヒーター配線

初めに制御対象となる初段SRPP等価抵抗動作をする真空管のヒーター配線を取り外します。

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写真中の片側3本ある真空管ソケットの真ん中のソケットが対象で、ヒーター配線はソケットの下側から立ち上がっている2本です。給電は初段差動入力用の真空管のヒーター端子から行われていたので容易に取り外す事ができました。耐圧保護回路からの配線は、従来と同様に2本の電線をよって使用しました。あとで配線の確認がしやすいように、被覆の色を黒と茶色にしています。(オリジナルは黒と緑色)初めにL-chを配線しました。

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配電用の平ラグの脇の電線です。続いてR-chも同様に配線し、耐圧保護回路基板のGND配線も行いました。

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電線が太めの束となってしまったので一旦束線しています。これでヒーター配線は完了です。

制御線配線

耐圧保護回路入力配線の前に、基板取り付けの際に取り外した-5V(C電源)の配線をやり直します。具体的には電源基板と配電用平ラグ間の接続です。

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写真中央の青の被覆の電線です。続いてL-chのプレート電圧モニタ用の入力配線を行います。片チャンネルあたり2本必要なので黄色と橙の被覆電線を使用しました。

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先に配線した-5Vラインといい感じの位置関係となりました。ここまで配線を行った時点で基板取り付け後の通電確認を行っていない事に気づきました。万が一初期トラブルが発生すると今までの配線の接続を外して確認作業が必要となります。この作業は手間がかかるので配線は中途半端な状況ですが、ここで耐圧保護回路基板の通電確認を行います。すでに基板への電源配線が終わっているので、製作中のセット全体に通電します。単体確認と異なる点は、耐圧保護回路基板への電源供給がDC8VからAC6.2Vに変わる点です。確認のポイントは、リレー動作時に三端子レギュレータに十分な電圧がかかっている事を確認します。という事で、波形確認用にオシロスコープをセッティングしました。(本記事のアイキャッチ写真参照)改めて耐圧保護回路の回路図を掲載します。

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装置に電源ケーブルを接続し、どきどきしながら電源オンしました。

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特段異常な事は起こらず、電源ランプも正常に点灯しています。この状態は、真空管が未装着のため、耐圧保護回路の入力はGNDレベルとなり、リレーは動作状態となっています。早々に半端整流出力波形をモニタしてみました。

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波形は2V/divでDCモードで観測したものです。最低電圧が8Vとなっていて三端子レギュレータには最低でも3V以上かかっている事が確認できました。これであればわざわざ低損失タイプの三端子レギュレータを使わなくても良かった事がわかりました。電源をオフするとリレーが切れる動作音が聞こえます。正しく動作していると言えます。残りの確認は、初段の配線完了後に実際に真空管を装着してヒーターの点灯確認をする予定です。また合わせて信号入力時の誤動作しない事も確認してみたいとおもいます。次回は残りの初段の配線を完了させてヒーターの点灯確認を行いたいとおもいます。

 

つづく(製作編25)

無帰還広帯域真空管アンプ(製作編23)

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製作編23

実装完了した耐圧保護回路基板をシャーシに取り付けます。

基板取り付け準備

基板は前回の単体動作確認を行った状態になっています。初めに実装後に動作状態をモニタするために、リレーの駆動信号モニタ用のポストを取り付けました。2極品を使い、片側をGNDとしています。

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次は単体動作確認用に取り付けた47kΩ4本を取り外しました。

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これで基板取り付けの準備は完了です。

シャーシ状態

久々にシャーシ登場です。今までの記事で説明できていない配線処理を基板取り付け加工前に説明します。最初は初段の配線です。まずはグリッド抵抗を真空管ソケットの端子に取り付けます。少しでも帯域を広げる為に、従来2.7kΩとしていた値を1kΩに変更しています。

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差動入力の為、片チャンネル当たり2本です。次はSRPP等価抵抗値を決めるrk=2kΩを取り付けます。SRPP用真空管ソケットの2ピンと3ピン間に取り付けました。

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さらにrkを取り付けたカソード用の端子と入力側真空管のプレート用の端子間を接続しました。

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写真中の黄色の被覆の電線です。中途半端ですがここまで配線処理を行っていました。

シャーシ加工

耐圧保護回路基板取り付け加工を行います。取り付け場所を確保する為に、配電用の平ラグ板を取り外します。

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基板をシャーシに置いてだいたいの取り付け場所を決めます。

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決めた位置に未実装の基板を置いて、基板取り付け用の穴の位置出しを現物合わせで行いました。

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以前の記事で説明したとおり、写真左側2箇所のみスタッドを立てます。右側は基板にスタッドを取り付けて固定は省略します。印をつけた場所にポンチで位置だしをしました。

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位置出ししたポイントにφ3.2の穴を開けました。一旦スタッドを取り付けましたが、その脇の電源電圧確認用のチップジャックの取り付けができなくなるために、取り付けたスタッドを外して先にチップジャックを取り付けました。

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シャーシ上面はこんな感じです。

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2本立てたスタッドに基板を取り付けます。

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余裕はありませんが、基板をなんとか取り付けられました。一旦基板と取り外し、配電用の平ラグの取り付けを行います。現物合わせで取り付け用の穴の位置だしを行いφ3.2の穴を開けました。スタッドを取り付けて平ラグを固定しました。写真は改めて耐圧保護回路基板も取り付けた状態です。

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写真には、終段バイアス調整回路基板も写っていますが、干渉確認用に仮取り付けした状態です。基板の取り付けが進むと、ねじ締めがやりずらくなるので、ここで終段のバイアス電流確認用のチップジャックを取り付けます。片チャンネル2個です。黄緑と白を選択しました。取り付けはこんな感じとなりました。

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最後に配電用の平ラグから取り外した配線を元どおり取り付けます。平ラグの取り付け位置が変わった為に、配線長を調整しました。

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これでシャーシは耐圧保護回路基板を取り付けた状態で元に戻りました。次回は耐圧保護回路配線と通電確認を行います。

 

つづく(製作編24)

無帰還広帯域真空管アンプ(製作編22)

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製作編22

耐圧保護回路の通電確認から再開します。

通電確認

前回は、初めて使用する低損失の三端子レギュレータの通電確認で余計な時間をかけてしまいました。とほほ・・・。気分を一新して通電確認を再開します。まずは外してしまった三端子レギュレータを基板に元どおり実装しなおしました。幸いそんなに基板を荒らさずに済みました。改めてユニバーサル電源の過電流保護電流値を60mAに設定しなおします。

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耐圧保護回路に電源を接続してオン。あらら、三端子レギュレータが正しく動作していません。ハンダ面を確認したところすぐに原因がわかりました。三端子レギュレータのGND配線が正しく接続されていませんでした。改めて電源オン。

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出力電圧は7.99Vで消費電流は1mAとようやく正常動作させる事ができました。前回は全く無駄な確認をしていた事に改めてショックを受けました。この状態で、オペアンプ用のソケットと74HC21用ソケットの各端子の電圧を確認します。オペアンプ用ソケットの端子電圧は問題ありませんでしたが、74HC21の電源配線が間違っていました。出力配線と電源配線が逆となっていました。下記写真の上が間違った状態で、下が修正後のものです。

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基板下側の赤の被覆の電線が電源配線です。このままICを装着して電源オンしていたらロジックICを壊してしまうところでした。

IC装着

初めに1つだけオペアンプを装着して動作確認を行います。

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動作確認は、基準電圧調整用の半固定抵抗を回してオペアンプのコンパレータ動作の確認です。通電確認用に前回の記事で改造した回路図を掲載します。

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動作確認用に追加した抵抗(47kΩ x4本)にDC8Vを入力します。従って各オペアンプのマイナス入力は約2.9Vです。本来の動作は、このDC8V側が変動してコンパレート動作をしますが、今回の確認では基準電圧設定用の半固定を調整してオペアンプのプラス入力が2.9Vでコンパレート動作をする事を確認しました。

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黄色のラインが基準電圧で、青のラインがオペアンプ出力です。正しくコンパレート動作をしている事が確認できました。もう1つのオペアンプも装着して同様の確認を行いました。続いて74HC21を装着します。

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見た目はなかなかいい感じです。動作確認は上でオペアンプの確認を行った方法と同じです。あれれ?基準電圧調整用の半固定をまわすと、74HC21の出力は反転するものの、リレーの動作音が聞こえません。ユニバーサル電源の電流値も変化なしです。リレー操作コイルの制御側(トランジスタのコレクタ側)の電圧をモニタしましたが、常に約5Vで変化がありませんでした。一旦電源をオフして配線確認を行いました。制御用トランジスタのコレクタ配線にイモハンダが見つかりました。前回の無駄な確認の中で、各ブロックを切り離して状況確認し、それを戻した時の不手際でした。まさにミスの連鎖です・・・。再ハンダして正常に動作する確認がとれました。リレーオン状態の本回路の消費電流は約30mAでした。ようやく泥沼から脱出です。少し記事が短いですが、今回の対応で疲れ切ってしまったため、続きは次回とします。

 

つづく(製作編23)

無帰還広帯域真空管アンプ(製作編21)

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製作編21

実装完了したヒーターカソード耐圧保護回路の通電確認及び、単体の動作確認を行います。

通電確認準備

改めて回路図を掲載します。

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入力は初段の差動アンプのプレート電圧を前提としていますが、単体の通電確認ではその電圧に相当する高電圧を準備できません。仕方がないので、入力の分圧抵抗を変更して単体の通電確認で使用する電源(8V)を分圧する仕様に変更します。8Vを分圧してオペアンプの入力が約2.5Vとなるように分圧用に抵抗を選定します。

2.5 = 27k x 8 / (R + 27K)

R = 59.4k

手持ちの抵抗は47kの上が100kだったため、少し電圧はあがってしまいますが47kΩとします。基板に実装スペースがないため、ハンダ面に直接取り付けました。

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本来であれば、それぞれの抵抗は各初段真空管差動アンプのプレート端子に接続しますが、通電確認をシンプルにする為に全部まとめて回路の電源(8V)に接続する事にしました。

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通電確認は、まとめた部分をワニグチの電線でつかんで電源に接続します。

通電確認

ここから泥沼のはじまりです。通電確認にはいつものようにユニバーサル電源を使用しました。出力電圧8V、過電流保護を10mAにセットしました。

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初めにオペアンプとロジックICは挿さずに、基板上の電源回路の通電確認を行います。

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初めて使用する低損失三端子レギュレータですが、気にせずに電源オンしました。あらら、過電流保護が働いてしまいました。

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一旦電源をオフにして、ハンダ面を確認します。特に気になる点はありませんでした。念のため、過電流保護の電流値を20mA、30mAに変更してみましたが、状況は変わりません。そういえば、三端子レギュレータに付属の説明書に適切な位相補償をしないと発振するとの記載があった事を思いだし、念のため出力電圧の波形をモニタしてみました。(本記事アイキャッチ写真参照)発振はしていませんでした。ここまで確認して原因が見つけられないため、本格的に配線の見直しを行います。具体的には回路をブロック単位で切り離し、その時の症状の確認を行います。確認は以下のとおり行いました。

オペアンプの電源供給ラインをカット→変化なし

②リレー操作コイルラインカット→変化なし

トランジスタ保護ツェナーダイオード切り離し→変化なし

④半波整流回路入力カット→問題なし

⑤三端子入力ラインカット→問題なし

⑥基準電源用半固定電源ラインカット→変化なし

⑦三端子レギュレータ出力ラインカット→変化なし

上記確認内容を回路図上に記入してみました。

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これを見ると、三端子レギュレータ自体の不良としか思えません。予備のレギュレータは購入していなかった為、今週の作業はここまでか?と一旦考えたものの、三端子レギュレータ交換後に同様の症状に途方にくれている状況が頭によぎり、さらに確認を行うことにしました。

三端子レギュレータ単体確認

三端子レギュレータを基板から取り外し、単体で動作確認してみることにしました。交換の恐れがある部品はリードを曲げずに実装する事にしている為、容易に取り外す事ができました。

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この単体に必要最小限の部品を空中配線して動作を確認してみます。まずは発振覚悟でなにも部品をつけずに通電確認をしてみました。

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ユニバーサル電源の設定は変えずに、電源オン、症状は変わりません。三端子レギュレータ単体のみの配線なので、配線間違いはありません。そこで過電流保護の電流値を少しづつあげていきました。設定が60mAとなった時点で出力に発振波形が現れて、過電流保護が働かなくなりました。やれやれ、どうやらこのレギュレータは電流制限値が小さいと正しく起動しないようです。改めて発振防止部品を空中配線で取り付けました。

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上記同様の条件で電源オンしたところ、発振が止まり5Vの出力が得られる事が確認できました。たかが三端子レエギュレータですが、ここまでの確認でかなり時間をロスしてしまいました。次回はレギュレータを再度基板に実装して、通電確認を進めます。

 

つづく(製作編22)

無帰還広帯域真空管アンプ(製作編20)

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製作編20

部品が届いたのでヒーターとカソード間の耐圧保護回路の実装を行います。

大物部品の配置

基板にスタッドを立てて作業をやりやすくして、端子台やICソケット等の部品配置の起点となる大物部品を仮配置します。

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ICソケットは1つのピンのみハンダ付けして、後で変更ができるようにしてあります。2極の端子台は程良いきつさで、はめ込むだけで問題ありません。3極の端子台はきつすぎて挿さりませんでした。φ1.2のドリルの刃で両端の2極の穴径を広げると抜けない程度で装着する事ができました。続いてリレーを配置します。ヒーター電源の入出力用の端子台脇に設置しました。同様にリレーも1つのピンのみハンダ付けしてあります。

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回路実装開始

大物部品の仮配置が終わったので、電源回路を実装します。場所はヒーター電源の入出力端子台わきです。改めて回路図を再掲載します。

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整流用のショットキーダイオードを端子台と接続し、反対側を平滑用の電解コンデンサと接続しました。その隣に三端子レギュレータ回路を実装します。今回は低損失タイプを選定しましたが、秋月電子のものは入力用の0.1uFのセラミックコンデンサと出力用の電解コンデンサ33uFがキット化されていました。入力部のセラミックコンデンサは添付品を使い、出力側の電解コンデンサは別途購入した回路図で指定した物を使用しました。こんな感じの実装です。

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現状の配線はこんな感じです。

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基板センターの横に走っているラインはGNDです。実装スペースに余裕がないため、被覆電線の使用は避けられそうにありませんが、できるだけ使用せずに頑張りたいとおもいます。次は、コンパレータ回路の入力抵抗を実装します。1MΩ、27kΩともに1/4W品ですが、流せる電流値の違い起因なのか1MΩ品の方がサイズが小さくなっています。

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端子台脇に並ぶ4個が1MΩ品です。続いてコンパレータ入力部にフィルタ用の電解コンデンサを実装します。ICソケットの配置間隔が狭い為、2個のオペアンプに対して共通の配置とする事ができませんでした。

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実装が進んでしまうと後戻りができない為、ここで全体の配置を再検討します。74HC21ですが、4入力ANDが2回路入っています。今回は1回路のみの使用の為、未使用の回路の入力をGNDに落としておきます。そのGND配線を考慮して、14pinのソケットの配置を変更しました。電源ラインのGNDピンが7pinなので、回路1を未使用となるような配置です。配置変更後の全景はこんな感じです。

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実際のGND配線は以下のとおりです。

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2端子未配線なのは、NCと出力ピンです。次の部品実装は、リレー操作コイルの駆動回路です。リレーの操作コイルピンの近くに配置しました。実装部品はトランジスタとサージ保護用のツェナーダイオード、ベース電流制限用の抵抗です。実装はこんな感じです。

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最後の実装部品は基準電圧生成用の半固定抵抗です。電源回路脇に実装しました。残りは配線のみです。ここから先は被覆電線を使わざる得ません。具体的にはオペアンプ電源配線、基準電圧配線、オペアンプ出力配線です。こんな感じになってしまいました。

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赤の電線がオペアンプとロジックICの電源配線、橙が基準電圧配線、黄色がオペアンプ出力配線です。トータルで9本の被覆電線を使ってしまいました。仕方ないでしょうか?本記事のアイキャッチ写真が実装完了時の部品面です。今週末はこの記事の内容の対応しかできませんでした。原因は、本基板実装後の動作確認をどうするかが気になり手が進みませんでした。とほほ・・・。次回は実装完了した基板の通電確認と基板単体の動作確認を行います。

 

つづく(制作編20)

無帰還広帯域真空管アンプ(製作編19)

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製作編19

引き続きヒーターとカソード間耐圧保護対策回路検討を行います。

対策案2仕様確定

前回、ざっくり対策回路を描いたので実装の検討を行います。回路規模から今回終段バイアス回路実装する基板(47x36mm)にはさすがに部品が乗らないと考えて1サイズ上の基板(47x24.5mm)で実装検討を行います。急遽仕様変更して製作した電源回路を実装した基板(写真)と同サイズです。

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改めて前回作成した回路図を再掲載します。

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対策回路の電源は出力電圧は異なりますが、上記写真の電源基板実装の回路と同等です。基板の約1/3のスペースに実装できています。続いて手持ちの大物部品を基板に置いてみました。リレーは12chアッテネータ製作時の残り物のサイズが選定したリレーと同じだった為、代わりに使用しました。

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作業は厳しそうですが、無理すれば実装できそうです。写真上側の2極の端子台2個が監視ポイントの電圧入力です。下側の3極および2極の端子台がヒーター用電源の入出力用です。なんとか部品実装はできそうですが、次の問題は基板の設置スペースです。未実装基板を置いて確認しましたが、シャーシ内に十分なスペースがありません。仕方がないので、取り付け済みの配電用の平ラグを移動して空けたスペースに実装する事にしました。

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基板左側はスタッドが立てられますが、右側は出力トランスがあるためスタッドが取り付けられません。仕方がないので電源基板と同様に基板にスタッドを取り付けてシャーシへの固定はしない事にします。

部品発注

回路図を元に部品の発注を行います。上記で確認したとおり基板実装スペースの制約がある事と、電源電圧に余裕がない為に発注時に部品の再選定を行いました。リレーのドライバICは実装スペースを考慮して選定し直しました。

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2SC2655L-Yです。東芝セミコンダクタのセカンドソース品でサイズも小さく、コレクタ損失900mWで今回の用途に適しています。次に電源回路も見直しました。C電源は負荷電流が10数mAでしたが、今回はリレー操作コイルだけで約23mA消費し、さらにオペアンプ2個とロジックICで電力消費します。三端子レギュレータ印加電圧が心配なため、整流用ダイオードショットキーバリアタイプに変更しました。

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型式はSB340LS(40V3A)で順電圧仕様は0.44Vです。1クラス容量を下げると順電圧を約10%さげる事ができますが、余裕を見た選定をしました。さらに三端子レギュレータも低損失タイプに変更します。

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東芝セミコンダクタ製のTA48M05F(S Q)です。ドロップアウト電圧は0.36Vと低電圧に強くなります。回路をシンプルにする為に、回路GNDをヒーター端子の0V側と同電位としていましたが、ヒーター回路のGNDはインダクタを通してGND接続されるため、その影響が気になり、シャーシGNDを専用に配線する事にしました。上記反映した回路図は以下のとおりです。

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回路の見直しが完了したので発注用の部品表を作成して部品を注文しました。

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一部在庫対応し、今後も使いそうな部品は余裕をもって注文しました。発注先は秋月電子で、総額は送料混みで2,090円でした。正直なところ、ここまでしてSRPP構成とする価値があるのか疑問に思いつつも、趣味なので後戻りも覚悟して進めていきます。次回は部品実装を行い動作確認を行います。

 

つづく(製作編20)