Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編22)

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製作編22

アンプユニット2の電源配線を行い通電確認、最終調整と電源の波形確認を行います。

アンプユニット2電源配線

製作中のアンプは、モノラルBTL構成の為、アンプユニットが4枚あり同じ製作作業を4回繰り返す事になります。繰り返しはブログ記事としては面白味が少なく、逆に作業は飽きるため、苦痛に感じる事も少なくありません。まだ2枚目なので気を取り直して作業を開始します。電圧増幅段の電源配線を行います。

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電源基板がすぐ脇なので、配線は短くなりました。逆にドライバ段と終段の電源配線はユニット1よりも長くなります。出力配線も含めてユニット1と同様に配線を行いました。残りは入力信号配線ですが、後で行います。配線はわりとごちゃっとした感じになってしまいました。(本記事のアイキャッチ写真参照)

アンプユニット2終段バイアス電流調整

アンプユニット1と同様に終段のバイアス電流の仮調整を行います。終段の2本のエミッタ抵抗(0.33Ω)の両端電圧をモニタできるようにセッティングして電源オンしました。

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電圧値の挙動はユニット1とほぼ同様です。ヒートシングが熱平衡状態となるのを待ってモニタ値を約310mV(0.47A)に調整しました。

アンプ1最終調整

ヒートシンクが熱平衡状態となっているので、アンプユニットの最終調整を行います。上記の手順の流れから、最初にアンプユニット2の調整を行いました。VR1で出力オフセット調整を行い、VR2で2段目の差動アンプの電流バランス調整を行います。具体的には、ダイオードが接続された側の負荷抵抗のドロップ電圧を反対側の抵抗のドロップ電圧に合わせます。この作業を何回か繰り返して調整を追い込みました。同様にアンプユニット1も最終調整を行いました。最終調整後の各部の電圧は以下のとおりです。

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結果を見ると、いい感じに調整できているとおもいます。初段のJFETのソース電圧値が小さく、もっとIDSS値の大きい物を選別した方がいいとおもいました。終段の電源電圧が約+/-7.5Vまで下がっていますが(無負荷時は約+/-9V)終段とドライバ段の電流を約1A(0.47x2+0.025x2)流している為です。別途電源のリップル波形を確認したいとおもいます。念のため、終段の電源オフ時の各部電圧も確認しておきます。

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表にないポイントは、通常電源オン時と同等値の為省略しています。この結果から終段の電源オフ時にトランジスタに負担がかかっているポイントはない事が確認できました。

電源確認

アンプユニットの最終調整が完了したので、電源波形の確認を行います。その前に改めて電源回路を掲載します。

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最初は終段用電源のリップル波形確認を行います。下の写真はプラス電源のリップル波形です。

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結果は202mVppでした。まあこんなものでしょう。念のため出力電圧波形もモニタしました。写真はプラス電源の出力波形です。

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出力電圧の最小値は7.44Vでした。マイナス電源の確認も行いましたが、同等の為掲載を省略します。次は電圧増幅段の三端子レギュレータの入力電圧のリップルを確認しました。結果は以下のとおりです。

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上がプラス電源でリップル値は59mV、下がマイナス電源でリップル値は52mVでした。負荷電流が終段に比べて圧倒的に小さいので容量の小さい平滑コンデンサでも上記の結果となっています。次回はアンプ2の電源配線から最終調整を行います。

 

つづく(製作編23)

Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編21)

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製作編21

1ユニット分の電源配線を行い、通電確認します。

電源ランプ

前回の記事で電源トランス二次出力の位相確認を行った際に気づいていましたが、電源ランプの点灯動作がおかしいです。改めて電源回路を掲載します。

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電源ランプの点灯仕様は、コンセントインで電圧増幅段の電源が入り、電源ランプが赤く点灯します。その後電源スイッチをオンすると、終段の電源が入り、電源ランプが緑点灯に切り替わります。確認状態では、コンセントインで緑点灯、スイッチオンしても緑点灯のままで、スイッチをオフすると一旦アンバー点灯となり、時間が経つと緑の点灯に変わりました。

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写真上がスイッチオン状態で、下がスイッチオフ直後です。直後といってもブレ防止の為、セルフタイマー撮影を行っているため、スイッチオフ後10秒以上経過している為、だいぶ緑に近い発光状態となっています。配線を見直すと、電圧増幅段用ランプ端子台と終段用ランプ端子台への接続が逆となっていました。上記の点灯動作も納得できます。早速正しい配線に変更した。

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改めてスイッチオフ時の電源ランプ点灯色を確認してみました。

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写真では橙に近いですが、肉眼では赤く点灯しています。

無負荷出力電圧

電源単体確認の最後は、出力電圧の確認です。確認は電源基板内の放電用抵抗のみの無負荷状態です。

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念のため複数ある出力用端子台の全端子電圧を確認しました。これで電源回路の動作確認は完了です。

アンプユニット電源配線

アンプユニットには3系統の電源供給をします。具体的には電圧増幅段、ドライバ段と終段です。終段は基板から電源線直出しですが、電圧増幅段とドライバ段はアンプユニットおよび電源基板の両側が端子台になっています。最初は電圧増幅段用電源ケーブルをつくります。平衡ケーブルをばらして、三つ編みにします。+15Vは赤、GNDは黒、-15Vは白の被覆線です。

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各電線を配線長に比べてやや長くカットして方側を万力で挟んで三つ編み作業をします。三つ編みが終わったらばらけないように両端をインシュロックで束線しました。

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次はドライバ段の電源配線を行います。上の電圧増幅段配線用ケーブルと同じ要領で編み線をつくります。接続先は終段用電源の端子台です。この電線は直出しなので短くカットしすぎると後が大変なので、慎重に長さを決めました。写真は終段用電源基板にドライバ段と終段電源を接続部分です。

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せっかくなので出力配線も行います。この電線も基板直出しなので慎重にケーブル長を決めてカットしました。スピーカーターミナル側はいもネジ止めです。

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通電確認

アンプユニット2枚同時に通電確認は大変なので、この状態で確認をお行います。改めてアンプ回路図を掲載します。

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この段階の通電確認の目的は、終段のバイアス電流の仮調整です。バイアス電流モニタ用に終段の直列に0.33Ωが接続された両端電圧をモニタします。この為にマルチテスタ用のプローブを購入しました。

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抵抗のリードが太く掴むは大変でしがなんとかセットアップできました。念のためオシロスコープで出力波形のモニタも行います。コンセントインで赤く電源ランプが点灯し、スイッチオンで緑点灯に変わります。モニタ電圧の設計値は約310mVですが、みるみる値が大きくなり、最大で380mVくらいまで上がりました。これ以上は危険なので、VR3で再調整をして一旦350mVくらいまで下げました。

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発熱量に比べてヒートシンクが大きいため、熱平衡に時間がかかり2時間ほど放置後に約310mVに調整しなおしました。(本記事アイキャッチ写真参照)時間がかかりましたが、1ユニット通電確認完了です。次回はさらに1ユニット電源配線を行い、両アンプユニットの最終調整を行います。

 

つづく(製作編22)

Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編20)

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製作編20

ヒートシンクパネルユニットにボトムシャーシを取り付けて電源配線を行います。

ボトムシャーシ取り付け準備

ヒートシンクパネルユニットの状態で電源ランプ配線用の電線を取り付けました。具体的には髭のように出ている単線を短くカットして被覆電線を継ぎ足しました。

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継ぎ足し後に熱収縮チューブで処理しましたが、あまり見栄えは良くないですね。その後ヒートシンクパネルユニットのボトム側にボトムシャーシを被せてネジで取り付けしました。

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この状態では、電源一次配線はものすごくやりにくいので、ボトムシャーシの四隅に開けた穴からヒートシンク固定用ネジにアクセスして、電源スイッチ側のヒートシンクを取り外しました。

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ヒートシンクは簡単に取り外す事ができました。すごく便利です。オリジナルのケースのボトムシャーシにもこの穴を追加して欲しいとおもいます。これで電源一次配線の準備は完了です。

電源配線

まずはトランスの一次配線を行います。改めて電源回路図を参考に掲載します。

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初めに電源トランス一次0V配線2本をACインレットに端子に接続します。事前に2本の電線の皮をむき、被覆の端をインシュロックで固定して芯線をよってハンダ処理します。その状態でACインレットの端子にハンダ付けしました。次に終段用トランスの一次100V配線を、フロントの電源スイッチを経由してヒューズソケットの端子へ配線します。ヒューズソケットの端子へは、電圧増幅段トランスの一次100V配線もパラで接続しますが、上記のACインレット配線と同様の手順でハンダ付けしました。

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すっきり配線できたとおもいます。続いて電源ランプ配線を行います。上記で電線を継ぎ足しましたが、それを各電源基板の電源ランプ用端子台へ配線します。

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これでアンプユニットを除く電源配線が完了しました。

電源通電確認

この状態で電源の通電確認を行います。まずはトランス二次巻き線の位相を確認します。初めに電圧増幅段の確認をします。位相確認用にオシロスコープのプローブをブリッジダイオードのAC入力端子に接続しました。プローブのGNDはシャーシGNDを掴んでいます。

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電源スイッチをオフにしてACコードを電源に接続すると電圧増幅段の電源がオンします。その時のオシロの波形は以下のとおりです。

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予想どおり、同相となっていました。トランスの説明書をどこまで拘って作っているかにもよりますが、逆相を示すには、マイナス表記されるはずです。一旦電源オフしてトランス二次配線をやり直します。そこで問題が・・・。このトランスの2次巻き線は2個ありますが、それぞれのタップ配線の被覆の色が共通の為見分けがつきません。仕方ないのでテスタで導通確認をしました。別の巻き線の場合は、抵抗値無限大で同じ巻き線の場合は約.4.8Ωでした。同じ巻き線の端子台への接続を反対にして処理完了です。改めて二次巻き線出力の位相を確認しました。

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無事に正しい位相となった事を確認できました。一旦電源を落として、次は終段用電源トランスの二次出力の位相確認を行います。オシロのプローブを終段電源基板のブリッジダイオードAC入力端子につなぎ直しました。確認は、ACコードを接続してさらに電源スイッチをオンすると終段の電源がオンします。結果は電圧増幅段と同様でした。

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上がオリジナル波形で、下が修正後の波形です。このトランスの二次電線は全電線の被覆色が違うので、抵抗測定は不要でしたが、いきおいでGND配線をハンダ付けしていた為に、修正に手間取ってしまいました。

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これで位相確認は完了です。次回は電源機能確認を行います。

 

つづく(製作編21)

Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編19)

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製作編19

シャーシにトロイダルトランスを取り付け、ボトムシャーシで完結する電源配線を行います。

トロイダルトランス取り付け

電源基板を取り付けたシャーシにトロイダルトランスを取り付けます。トロイダルトランスは、電圧増幅段用と終段用で、それぞれの電源基板の後ろ側に取り付けます。取り付けには、M4のネジを使用しました。

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使用しないタップの配線が多く、トランス間のクリアランスも狭い為、その部分の電線処理が気になります。特に電圧増幅段用トランスの2次配線用の不使用電線が多く、処置に手間がかかりそうです。

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上が電圧増幅段用、下が終段用トランスの仕様です。まずは1次配線の120V入力用の電線の処理をしました。いつものとおり、電線を適当な長さでカットしてφ2.5mmの端末処理キャップを被せてインシュロックで固定しました。

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もう一方のトランスの1次配線用電線も同様に処理しました。次に電圧増幅段用トランスの2次配線用の不使用電線の処理を行います。φ2.0mmの端末処理キャップを被せてインシュロックで固定しましたが、線径が細く引っ張ると端末処理キャップが抜けてしまいました。しばし考えて、端末キャップを被せる前に熱収縮チューブを処理する電線の端末に被せる事にしました。

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万が一、端末キャップが抜けても芯線がショートしないように電線の端が隠れるように被せて収縮させています。また線径がアップして端末キャップが抜けにくくなる事も期待できます。

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未使用電線4本とも同様に処理をしました。その後、端末キャップを被せてインシュロックで固定しました。

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電源トランス配線

次は終段用トロイダルトランスの二次配線を行います。2つの巻き線が独立となっているため、GND入力に2つの巻き線の一端を、残り2極に残った巻き線の端子を配線しました。

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電源基板のGND端子には、2つの巻き線の0V電線(灰と白)を接続しましたが、巻き線の極性は、通電時に確認する予定です。電圧増幅段用トランスの二次配線も同様に電源基板に接続しました。ボトムシャーシ単体の作業はこれで完了です。完成状態はこんな感じです。

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念のためヒートシンクパネルユニットを被せてみました。(本記事アイキャッチ写真参照)なかなかいい感じです。はやく音を聴いてみたくなってきました。

もう1台加工

モノラルアンプなので、もう1台同じ作業を行います。モノラルアンプのつらいところです。終段用電源基板をスタッドに取り付けようとしましたが、スタッド1本の位置が大幅にずれていました。

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おそらく、ポンチ位置ではなくずれた位置に穴をあけてしまったものと思われます。仕方ないので、地道にボトムシャーシの取り付け穴を棒ヤスリで削って対応しました。その他は1台目と同様に作業を進める事ができました。そう言えば、シャーシGNDを取る配線を忘れていました。ラグ端子に電線を2本取り付けます。

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短い方が終段用電源基板へ、長い方が電圧増幅段用電源基板へ接続します。この部分は電流が流れないので、電線径は気にしません。配線先はどちらも電源ランプ用GND端子としました。

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1台目のボトムシャーシも同様にシャーシGND配線を追加しました。こんどこそシャーシ単体作業は完了です。次回はヒートシンクパネルユニットと合体して電源一次配線他を行います。

 

つづく(製作編20)

Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編18)

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製作編18

ケースのシャーシ加工を行い、基板の取り付けを行います。

シャーシ加工準備

ヒートシンクに部品を取り付けた状態で、シャーシ取り付け部品とのクリアランス確認を改めて行います。初めにフロントパネルにサイドパネルを取り付けます。

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さらにリアパネルともう一方のサイドパネルを取り付けました。

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続いて過去に作成済みのシャーシ加工図を外形にそってボトムシャーシに貼りつけます。加工図をシャーシに貼り付けようとしたところ外形が合いません。そういえば加工図作成時にヒートシンクおよびフロント、リアパネル取り付け部品とのクリアランス確認を念頭に作図した為、外形をボトムシャーシの有効寸法にした事を思い出しました。仕方がないので、前後および左右が均等になるように貼り付けました。

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それを組立たパネルのボトムに合わせてみました。

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ボトムシャーシに取り付ける部品は、電源基板2枚とトロイダルトランス2個です。現品を取り付け位置に合わせて置いてみました。

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リアランスは全く問題ない事が確認できました。欲を言えば、全部品をもう少しサイドパネル側に寄せてもいいくらいですが、あまり意味はないのでこのままいきます。

シャーシ加工

一旦ヒートシンクパネルユニットを取り外し、ボトムシャーシの穴あけ加工を行います。基板取り付け用の穴径はφ3.2でトロイダルトランス取り付け用の穴径はφ4.2です。初めに加工図の穴のセンターにポンチで印をつけます。最初はφ2のドリルで穴をあけ、ドリルの刃を変えてφ3.2とφ4.2に穴を広げました。

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バリは、φ7.6のドリルの刃を使ってマニュアルで取り除きます。部品取り付け用の穴あけは完了ですが、現行のウーハー駆動用のアンプ修理時にアンプユニット(ヒートシンク)の取り外しに苦労した経験から、ボトムカバーを取り付けた状態でヒートシンク取り付け用のネジにアクセスできる穴を追加であける事とします。φ7.6の穴をあけましたが、位置出しがうまくできずに、穴をやすりで削って取り外しできるようにしました。

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ボトムシャーシに開けた穴なので見えない為、あまり気にする必要はありませんが、2枚目の位置出しはもう少し工夫してみたいとおもいます。パネルヒートシンクユニットに被せるとこんな感じです。

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同様にもう1枚のボトムシャーシの穴あけ加工を行いました。懸案のヒートシンク取り付け用ネジアクセス用の穴位置ですが、ボトムシャーシをネジで取り付けた状態で位置出しができるように工夫した為、後加工が少しで済みました。手を抜くと、後で手を抜いた以上に手間がかかる典型だとおもいました。

基板取り付け準備

ボトムシャーシには、電圧増幅段用電源基板と終段用電源基板の2枚を取り付けます。取り付けには、10mmの六角スペーサを使います。初めに終段用電源基板取り付け用のスペーサを取り付けました。

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それに電源基板を取り付けようとしましたが、スペーサの位置ば微妙にずれていて取り付けられませんでした。基板を取り付けた状態で一旦スペーサのネジを緩めて締め直したことろスペーサーの位置が矯正されて問題なく取り付けられるようになりました。

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次に電圧増幅段用電源基板を取り付けます。上記と同じ手順で取り付けを試みましたが、スペーサの位置ずれが大きくスペーサのネジを締め込むと基板が取り外せなくなります。仕方がないので、スペーサ取り付け穴を削り位置を合わせました。

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基板間が少し狭いですがきれいに取り付けができました。次回はトロイダルトランスの取り付けを行います。

 

つづく(製作編19)

Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編17)

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製作編17

残り3枚のアンプユニットの通電と動作確認を行います。その後使い回しのフロントパネルとリアパネルを再組立に備えて処置します。

通電動作確認つづき

残り3枚のアンプユニットのうち2枚の通電&動作確認は1枚目と同様に行う事ができました。2枚目の各部電圧は以下のとおりです。

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1枚目の各部電圧とほぼ同じで安定した結果と言えます。正弦波入力による帯域の確認も同様に行いました。

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上が1KHz入力時の出力波形で、下が-3dB(1.7Vpp)出力時の出力波形です。周波数は4.2MHzで1枚目の結果と同等です。特性も揃っています。3枚目の結果は諸略しますが、今までの確認結果とほぼ同等でした。問題は最後の1枚です。通電開始後、終段のバイアス電流を調整するために、VR3を回しましたが終段の電流が思うように増えません。ボリュームを回しきった状態で終段の電流が約0.16Aでした。最後の1枚なのに・・・やれやれ。原因の特定を行います。アンプ基板単体動作確認は問題なかった事から、追加で接続した終段ユニットに原因があると考えられます。終段のトランジスタを実装している基板をざっと確認してみました。各部配線をピンセットでつまんで見たところ、1本が容易に動きました。場所はNPN基板の基板間のエミッタ抵抗接続ポイントです。

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典型的なイモはんだです。ハンダをやり直したところ無事に調整ができました。なんとか4枚の通電と動作確認が完了しました。

2段目バランス検証

前回の記事で2段目差動アンプのトランジスタ印加電圧のバランスをとるためのダイオードを1本へらす検討を行う事としていましたので通電結果をまとめてみました。

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表は、4枚の基板の通電結果から必要なポイントの電圧をピックアップしています。C1とC2は2段目のトランジスタのコレクタ電圧で、C2が出力側です。従ってC1-C2が小さい程、差動アンプのバランスが取れている事になります。R1は2段目差動アンプのダイオードが接続された側の負荷抵抗の電圧です。よってC1-R1は5本のダイオードのドロップ電圧となり、この電圧を5で割ると、ダイオード1本当たりの平均ドロップ電圧となります。C1'は、ダイオードを4本とした場合のC1電圧の推定値で、C1'-C2が変更時のトランジスタのコレクタ電圧の差の推定値となります。この結果から4枚の基板ともに、ダイオードを4本とすると差動トランジスタのコレクタ電圧の差が50%以上小さくなるる事が予想されます。ダイオードを取り付け直す事は面倒なので、追加したダイオードをショートする事にします。

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基板4枚ともに同じ改造を行いました。今回の改造に伴う通電確認は省略します。アンプ組み込み後に確認する事としました。これでアンプユニット4枚が完成しました。

ケース組み込み準備

ケースのフロントパネルとリアパネルは、現行のウーハー用アンプの電源トランスユニット増設の際に交換した物で中古品です。この為、フロントパネル、リアパネルともに必要ば部品の取り付けは終わっています。但し部品への配線は、無造作にカットしたままとなっているため、再配線しやすいように処置をします。

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写真はオリジナルの状態です。2色LED以外の部品にひげのように付いている配線を取り外しました。これでケースへの組み込み準備完了です。次回はボトムシャーシの加工を行います。

 

つづく(製作編18)

Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編16)

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製作編16

前回の記事で紹介した電源接続ジグを使ってアンプユニットの通電および動作確認を行います。

確認環境準備

電源は前回の記事で紹介した電源接続ジグを使ってユニバーサル電源から供給します。ドライバ段と終段の設計上の電源電圧は+/-9.6Vですが、ユニバーサル電源の仕様上+/-6.15Vとしました。電圧増幅段は設計値どおりユニバーサル電源から+/-15Vを供給します。動作確認用に発振器と出力波形モニタ用にオシロスコープも準備しました。初めに前回作成の電源接続ジグを使って終段とドライバ段の電源配線を行いました。

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わりとすっきり配線できました。もう1チャンネル分余裕があるので後々使えそうです。続いて電圧増幅段の電源配線も行いました。

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電源配線ジグのおかげでトータル3系統の電源配線はすっきりできました。

通電確認

電源オンして調整を始めます。基板単体の動作確認後、終段のバイアス電流設定用のボリュームを絞っていたので、終段の電流の調整から始めます。オシロに接続した出力のオフセット値を確認しながら、終段バイアス電流調整用の半固定抵抗を回します。改めて回路図を参考に掲載します。

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終段の電流値は、ユニバーサル電源の電流表示を確認します。一旦0.48A程度まで上げて様子を見たところ、電流値が徐々に上がっていきます。終段の温度上昇による電流の増加です。しばらく調整を続けたところ比較的安定してきたので、VR1で出力オフセットを調整後に、2段目の差動アンプのバランス調整をします。ドライバ段の出力をとっている側は、終段のバイアス電流値がほぼ設計値、出力オフセットを0調整したので、所定の電流値になっています。反対側のコレクタ電流が設計値となるように、VR2を回して調整を行います。確認は負荷抵抗のドロップ電圧で行います。

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しばらく上記の調整を繰り返しながら安定を待ちました。調整時の終段の消費電力は、約5.8W(6.15 x 2 x 0.47)です。本来は約9.0W(9.6 x 2 x 0.47)なので最終状態の約64%の発熱です。この為か、長時間電源オンしてもヒートシンクがほんのり暖まる程度でした。正規の電源と組み合わせた状態で再調整が必要です。現時点の調整後の各部電圧は以下のとおりです。

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結果を見ると初段の電圧は、ほぼ設計値どおりでしたが、初段のFETのソース電位が予想よりも小さくなっていました。2段目の電圧値は終段のバイアス電流を合わせる為に微妙にずれています。2段目は差動アンプの電流バランスがとれれば問題ありません。最後に追加したVceのバランスをとるためのダイオードは入れなかった方が良かったとおもいます。ケース組み込み前にショートさせるか決めたいとおもいます。終段はVbが想定よりもやや大きく、ドライバ段のベース電位も設計値よりも大きめになっていました。全体的にはいい感じになっているとおもいます。

動作確認

基板単体時と同様に正弦波を入力して出力波形を確認しました。まずは1KHzを入力します。その時の出力波形は以下のとおりです。

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出力の振幅は2.4ppです。この状態で入力信号の周波数を上げていき、出力の振幅が-3dB(1.7Vpp)となる周波数を確認してみました。

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上記がそのポイントで、周波数は4.2MHzでした。それまでピークもなく素直な特性です。High ch用アンプとは言え、無駄に広帯域な特性です。幸先のいいスタートが切れました。次回は残り3枚の通電および動作確認を行います。

 

つづく(製作編17)